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061_ダンジョンマスター(三章完)

発売日に合わせて更新日を本日に変更しました。

挿絵(By みてみん)


 


「いっけーーーっ!」

 ヘビの魔物の首が宙に舞った。ミホが最後のヘビの魔物を倒したのだ。

「はぁ、はぁ、はぁ……終わった……?」

「やっと全部倒したよ!」

「あれだけあったMPがもう空です……」

 ミホ、アサミ、カズミが肩で息をしながらヘビの魔物の死体の山を見つめる。倒したヘビの魔物の数はおよそ50匹。魔法攻撃がないのに、これだけの数のヘビの魔物をよくぞ倒したものだと感心してしまう。


「まだ! まだ来る!」

 カナミが警戒を呼びかけた。しかし、他の三人は戦いが終わったと気を抜いてしまっていた。

 そこにボス部屋の一番奥にある、一番大きな穴からシュルシュルーという音とともにヘビの頭が見えた。

「何あれっ!?」

 頭部を見ただけだが、太さが1m以上のあるので胴体の長さがどれほどあるか想像もつかないヘビの魔物が現れた。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 情報:バジリスク ランク6 雌 135歳

 HP:300000

 MP:15000

 筋力:45000

 耐久:40000

 魔力:5000

 俊敏:30000

 器用:10000

 魅力:10

 幸運:10

 アクティブスキル:【石化眼(C)】【石化毒の霧(C)】【毒の牙(B)】【眷属召喚(B)】

 パッシブスキル:【筋力強化(B)】【魔法耐性(C)】

 称号:【ダンジョンマスター】


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ここでダンジョンマスターのご登場ですか。雑魚で疲弊させておいて、最後に美味しいところを頂く感じの登場のしかただ。

 凶悪な牙が見えているけど、あれで噛まれたら毒に侵されるんだろうな。てか、ミホたちのようなか細い女性が噛まれたら、それだけでアウトのような気がするよ。


「何よあれー」

「今ごろ出てくるか~」

「もう、へとへとです……」

 ミホ、アサミ、カズミの3人は一度緩めた気をもう一度引き締めようとするが、そう簡単にはいかない。唯一、カナミだけが戦闘態勢を取っているけど、カナミだけでは厳しいのは言うまでもないだろう。


「ミホたちができないのなら、俺たちがやるぞ?」

「「「「っ!?」」」」

 四人娘が俺の方を振り向いて、睨んできた。そんなに怒らなくてもいいだろ? 今のミホたちを見れば戦闘ができる状態ではないと思っただけだよ。

「やるわ! 最後までやり切ってみせる! 皆、やるわよ!」

「「「とうぜん(です)!」」」

 俺の言葉で気持ちを戦闘モードに切り替えることができたようだ。悪役になるのも年長者の務めですよ。セーラ君や、そんなににやにやして見ないでおくれ。


「ミホ、目を見てはダメ。石化眼ある」

「了解!」

「アサミ、目と牙、潰して」

「OK!」

「カズミ、石化と毒、対処任せた」

「はい!」

 カナミが手早く指示を出していく。それで3人はさらに気持ちを盛り上げたようだ。

「「「「GO!」」」」

 舌をチロチロと出し入れしながらゆっくりと近づいてきていたバジリスクと四人娘の戦闘が開始された。四人娘はよくも気持ちを持ち直したと、戦闘が終わったら褒めてやろう。

 さぁ、最後の仕上げだ。君たちの全てを叩きつけてやれ!


 カナミの放った矢がバジリスクの右目に刺さった。いきなりいい仕事をする。

 それを見たミホが盾でバジリスクの顔面を殴りつけた。バジリスクはたまらず鎌首を持ち上げた。

「うりゃーーーっ!」

 アサミの槍がバジリスクの胴体に突き刺さったが、バジリスクが力を入れたことで筋肉が槍を挟み込んで抜けなくなったアサミはバジリスクの尻尾で跳ね飛ばされた。

「きゃっ」

 地面に叩きつけられたアサミがぐったりする。

「アサミ!」

「集中!」

 ミホがアサミに気を取られそうになったところに、カナミが大声を出して集中を促した。これによってミホは間近に迫ったバジリスクの攻撃をなんとか盾で受けることができた。

 しかし、盾よりも大きな口が盾を咥える形となって、盾を持つミホの左腕にバジリスクの長くて鋭い牙が刺さった。

「ぐっ!」

 ミホは顔を歪めて痛みを我慢していると思ったら、右手で持っていた剣で左腕に刺さっている牙を切り裂いた。

 1歩、2歩と後退したミホの左腕には深々とバジリスクの牙が刺さっているので、とても痛々しい。

「カズミ! 解毒!」

 痛々しいミホの姿を見て呆然としていたカズミにカナミの怒号が飛んだ。

「う、うん!」

 詠唱を始めたカズミから既に目を離してバジリスクを見据えているカナミは速射で矢を連続で撃ち続けバジリスクを牽制する。

 矢が雨のように振ってくるものだから、バジリスクもたまらず後方に下がったが、ただ下がるだけではなく倒れているアサミにターゲットを変えたようだ。


「ちっ!」

 アサミへ向かったバジリスクを見てカナミが舌打ちをした。雑魚ヘビの魔物の死体が邪魔でバジリスクを牽制できない。

 そこでカナミがとった行動は、なんと、走り出すことだった。雑魚ヘビの魔物の死体が邪魔なら、バジリスクが狙える場所へ行けばいい。そう思ったのだろう。

 雑魚ヘビの魔物の死体の山に陣取ったカナミが必死の形相で矢の速射を行った。

 その時だった。雑魚ヘビの魔物の死体の山の中から雑魚ヘビの魔物の口が現れカナミの足に噛みついたのだ。

「きゃっ」

 カナミはバジリスクをアサミに近づけないように必死だった。だから、見落としていたんだ。雑魚ヘビの魔物の死体の中にまだ生きている雑魚ヘビの魔物がいたことを。

「カナミ!」

 丁度回復魔法を受け終わったミホがその光景を目の当たりにして悲鳴のような声をあげた。

 ミホが駆け寄ろうとしたところにバジリスクが戻ってきてミホに【石化毒の霧(C)】を吐いた。カナミの方に意識がいっていたことで、【石化毒の霧(C)】の直撃を受けてしまったミホは体が徐々に石化し始める。


「ここまでだな。リーシア、サンルーヴ、セーラ、介入するぞ!」

 俺の声を聞いた3人が反応した。

 リーシアは大きく踏み込んで一瞬でバジリスクに接近したかと思ったら、ショルダータックルをぶちかました。巨大なバジリスクもリーシアのショルダータックルを受けて無事ではなく、顔面が大きく変形するほどのダメージを受けた。

 サンルーヴはカナミの足に噛みついた雑魚ヘビの魔物の首を切り裂いた。

 俺はMP7を構えてバジリスクに警戒しながら移動して、倒れているアサミのもとに向かった。それと同時にカナミにはカズミが向かって行った。

「アサミは無事だ。回収する!」

 大声でアサミの無事を告げてから、左手でアサミの鎧を掴んで安全圏まで引きずっていく。


「カズミ! カナミをこっちに」

「はい!」

 サンルーヴは既にバジリスクに向かっていったので、カズミがカナミを引っ張ってきた。

「俺はミホを連れてくるから、2人のことは任せたぞ」

「はい」

 俺はバジリスクとリーシア、サンルーヴが戦っているそばで倒れているミホに駆け寄った。その横をゴーッと火の球が飛んでいった。セーラの魔法だ。

 ドカンと轟音を響かせてバジリスクの胴体が2つに分かれたのを横目で見ながら、ミホを回収し、他の3人のところに連れていった。

「これを飲ましてやるんだ」

 俺が取り出してカズミに渡したのはエリクサーだ。どんな傷でも、どんな毒でも、どんな病気でも治す魔法の薬。それをミホとカナミに飲ませれば石化や毒は治るだろう。アサミに至っては大した傷もないので、カズミの魔法で回復してやれば問題ない。


 カズミが3人の面倒をみてくれるので、俺はストレージからバレットM82A1を取り出して三脚を立ててスコープを覗いた。照準を合わせてトリガーを引く。今では心地よい振動となった衝撃を体に受けると、バジリスクの眉間に大きな穴が開いた。

「あーーーっ! 主、俺が殺ろうと思ったのに!」

 俺がバジリスクを殺してしまったので、リーシアの抗議の声がボス部屋の中に響いた。


「すごい……私たちがあんなに苦労したバジリスクが……」

 ミホが呟いたのが聞こえた。

 確かに瞬殺だけど、俺の場合は武器がいいからだ。リーシア、サンルーヴ、セーラの実力は本物だけどね。


「おめでとう。ソナタらはこの『蛇神の迷宮』のダンジョンマスターを見事討伐した」

 やっぱり初回クリアボーナスがあった。

「我は蛇神である」

 白いヘビの神様かな? それともコブラのような神様かな? などと考えてしまう。


 

三章は本話にて完結となります。

四章は今書いていますので暫くお待ちください。

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