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049_新婚旅行2

 


 王都のダンジョンは十三層までは確認されている洞窟型のダンジョンだ。

 歴史はそれほど古くなく百年ほど前に発見されている。

 これまで踏破者が出ていないほどに難度の高いダンジョンらしい。

 俺が確かめているわけではないので真意のほどは不明だが、そう言われているのでそうなのだろう。


 王都の近くにあるだけあってダンジョンに入っていく冒険者は多い。

 赤の塔にも引けを取らないほどの冒険者の数だ。

 話を聞くとダンジョンのスタンピードを抑制するためにこのダンジョンに入る冒険者には優遇処置があるのだという。

 王都のダンジョンがスタンピードなど起こしたら被害は甚大になることからの優遇処置らしい。


 優遇処置などあったら冒険者が王都に集まり過ぎて他の地域にあるダンジョンに人が集まらないのでは?と思うが、それも対策がされているという。

 何でも王都周辺の指定された地域で生まれ育った冒険者のみに優遇処置が有効らしく、他の地域への流出や流入がこれによって抑制されているそうだ。


 そんなことはどうでもいい!

 俺は今、そのダンジョンの十二層に到達した。

 十二層で出てくるのはランク4の上位の魔物だ。

 ランク4の魔物の中でも強い魔物が大量に出てくるので普通の冒険者だとなかなか先に進むことはできないだろう。

 上位の冒険者ならランク4程度の魔物はどうってことないらしいが、この十二層から魔物の密度が劇的に上がり物量で押されるらしい。


 そんな十二層をリーシアたちは鼻歌交じりで進む。

 96式装輪装甲車(クーガー)で現れる魔物を轢き殺し、集まってくる魔物をブローニングM2重機関銃でハチの巣にしていく。

 セーラが運転し、ブローニングM2重機関銃はリーシアが撃つ。

 圧倒的な破壊力を堪能するリーシア。


 セーラやサンルーヴもブローニングM2重機関銃を撃ちたいと言ったが、振動が激しいので二人は早々に諦めた。

 しかしパワー型のリーシアだけはブローニングM2重機関銃の振動を快感と言い嬉々として撃ちまくっている。

 なんか納得できる……。


 洞窟型のダンジョンなので所々で道幅が狭く96式装輪装甲車(クーガー)が通れない場所もあるが、その時は降りて歩くだけなので問題ない。

 罠だって【サーチ】で事前に分かるし、今の俺たちの進行を阻むものは何もない状態だ。


「主、給弾ベルトを頼む!」

「もう撃ち切ったのか、早すぎだろ!」

「接近戦も良いが、偶には一方的に攻撃するのも良いものだ!ハハハ!」


 脳筋リーシアちゃんには遠距離攻撃の手段がなかったが、ブローニングM2重機関銃のように弾幕を張れる武器はスキルがなくても魔物に当たるから嬉しいようだ。

 ただ、俺が撃つよりも無駄弾が多いので弾の消費が激しい。

 インスが大量に給弾ベルトをストレージ内に入れておいてくれたから良かったけど、困ったものだ。


 十三層、ランク4の圧倒的な数の中にランク5の魔物がちらほら混ざるエリア。

 しかしここで天の声が聞こえた!


『マスター、【通信販売(C)】が【通信販売(B)】にランクアップしました。これにより一部のスキル、地対空ミサイル、戦車の一部、ヘリコプター(非武装)などが購入できるようになりました』


 とうとう俺も空を飛べる日がきたようだ。

 洞窟型のこのダンジョンでは役に立たないが、ヘリコプターは普通に乗ってみたい。


『スキルはどんなものがあるかな?』

『マスターの役に立ちそうなものでは、【結界術】はいかがでしょうか?』

『それって防御的なスキルかな?』

『防御にも使えますが、敵を拘束したり結界を足場にして空中を歩行などもできます』

『おお~、空中歩行か~いいねぇ~、それ購入で! それと地対空ミサイルも購入して、後は戦車もほしいけど、お金足りるかな?』

『一両であれば問題ありません』

『じゃぁ、戦車も購入しておいて』

『了解しました。改造も三段階目が解放されておりますので改造も施しておきます』

『購入したものだけじゃなく、今ある武装も改造をしておいてくれるかな』

『了解しました』

『じゃ、お任せ改造で!』


 インスとの打合せも終わり俺たちは順調に進み十四層に足を踏み入れた。

 誰も到達していない十四層。【サーチ】で確認するとまだランク4の魔物の方が多いが、ランク5の数も増えているエリアのようだ。


「このまま二百メートルほど進むと十字路にさしかかるのでそこを右ね」

「分かりました」


 セーラの運転で俺はナヴィゲーター役となり道案内をする。

 洞窟型のダンジョンなので間違って進むと行き止まりや魔物が大量にいる大きな部屋に出る。

 しかし俺には【サーチ】があるので道に迷うことはないし、罠や魔物の配置だって分かる。便利なスキルだ!


「グローセさん、行き止まりです……」


 俺の指示通りに運転していたセーラが悲しそうな視線で俺を見てくる。

 セーラが悪いわけではないのでそんな顔をしなくてもいいのに。

 もう、可愛いなぁ~。ナデナデ。


「主!何をしているのだ!?」

「あ、セーラが可愛くてつい」

「可愛いだなんて」


 照れるセーラもいいね~。

 おっと、リーシアが降りてきた。


「リーシア、96式40mm自動てき弾銃に換装してくれ」

「む、何かあるのか?」

「いいから、いいから~」


 渋々と言った感じで武装を換装するリーシア。


「換装完了だ!」

「よし、目の前の壁に向かって発射だ!」

「む、主が言うのであれば……」

「おう、撃って!」


 リーシアがてき弾を発射すると目の前の壁に着弾し、爆発する。

 更に二発目発射すると壁に穴が開いてその先に空間が現れる。


「ほう、隠し部屋か?」

「ごしゅじんさますご~いワン」

「何かありますね」

「皆、96式装輪装甲車(クーガー)から降りてくれ」


 この先は小さなスペースがあるだけで96式装輪装甲車(クーガー)は乗り入れられない。

 だからここで96式装輪装甲車(クーガー)を降りて一度回収をする。


 四人で壁の先のスペースに進む。

 そこには宝箱が鎮座していた。


「サンルーヴ、罠があるようだから解除を頼むよ」

「わかったワン」


 忍者っ()サンルーヴにかかれば罠の解除、カギの解除など朝飯前だ。

 宝箱の前にチョコンと腰を降ろすとコチョコチョと何かをする。


「できたワン」

「もう解除できたのか、早いな」


 リーシアがサンルーヴの早業に感嘆しながら宝箱に近づき、蓋をあける。

 中には金の延べ棒がぎっしりと詰まっており、更にその上には見たことのある本が置いてあった。


「これはスキルスクロールですね」

「何のスキルスクロールだろう?」


 こういう場合は鑑定をっと。


 種類:操縦のスキルスクロール

 説明:適性がある者が読むことでスキル【操縦】を覚えることができる。


 何だ?【操縦】のスキル? いったい何を操縦するんだ?


『このスキルを覚えますとどんな乗り物でも操縦が可能になります』


 おお~、これは俺にヘリコプターを乗り回せと言っているのか?


「そんなスキルがあるのですね?」

「ならば、主が覚えるべきだろう」

「ごしゅじんさまワン」


 それじゃぁ、あり難くスキルを覚えるとしますか。

 俺はスキルスクロールを開く。そうするとキラキラとエフェクトを発生させ俺の胸の中に入ってくる。


『スキル【操縦】を覚えました』


 おおお、これでヘリコプターも操縦ができるな。

 【通信販売】で購入した乗り物の操縦方法は頭の中に入ってくるけど、車の延長線上にある96式装輪装甲車(クーガー)と全く未知のヘリコプターでは話が違ってくるだろうからありがたい。


「金塊の回収も終わったし、行くぞ主!」


 リーシアが宝箱の中の金の延べ棒を全部マジックバッグに回収し終えたので俺は引きずられるように元の通路に戻る。

 そしてそこで96式装輪装甲車(クーガー)をストレージから出す。

 通路は狭いので方向転換できないので一度ストレージに入れてこうして出せば百八十度の方向転換が可能だ。


「む、何か変わったか?」

「そうですね、少し変わったような?」

「かわったワン」

「……あ、これ魔改造が三段階目になっているね」


 インスが気を利かせストレージに入れておいた間に魔改造をしてくれたようだ。

 更に強力になって戻ってきた96式装輪装甲車(クーガー)を駆り、魔物を蹴散らし十四層を進む。

 歩きではないから楽で良い。戦闘の方も更に魔改造されたブローニングM2重機関銃でハチの巣だ。


 十五層、十六層、十七層、十八層、十九層と大して時間もかからず踏破してとうとう二十層に到達した。

 非常に快適な新婚旅行ですよ、そうです、これは新婚旅行です!

 はぁ、もうこの際だからこのダンジョンの最深部まで行ってやるぞ!


「主。アタックガーディアンのレベルが100になったぞ!」

「お、良かったな、リーシア!」

「うむ、何でも転職できるというから転職してみるが、キラーガーディアンかガーディアン・デストロイが選択できたからガーディアン・デストロイにしておいたぞ!」


 何だよその物騒な職業は!?

 どっちもヤバそうな職業だから脳筋リーシアが更に脳筋になりそうだ。不安だわ~。

 俺は苦笑しリーシアにおめでとうの言葉をかける。


 その後、サンルーヴとセーラも転職イベントを迎え、サンルーヴはNINJAマスター、セーラは大賢者に転職した。


 

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