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047_赤の塔の氾濫4

 


 マナスピリチアルを倒した俺たちは冒険者ギルドのギルド会館の前で戦いを繰り広げている冒険者と合流した。

 96式装輪装甲車(クーガー)のブローニングM2重機関銃を撃ちまくりあふれ出す魔物を駆逐する。


「グローセ殿、援軍忝い!!」

「ギルド長、無事で良かったです」


 大きな斧を持ったギルド長のグラガスさんは全身血だらけだ。

 怪我をしているのではなく、魔物の返り血のようで何よりだ。


「ギルド長、私はこのまま赤の塔の出入り口に向かいます。残りの魔物は冒険者で対処を任せてよろしいですね?」

「グローセ殿に頼ってしまってすまないと思うが、今はグローセ殿に全てを任せる! こっちは魔物も減ったので我らだけでも何とかしてみせる!」


 商人のグローセがスタンピードの最前線に立つのは冒険者ギルドの面子を潰す行いだが、今はそんなことを言っている状況ではないとグラガスさんは判断したようだ。

 こういう判断をすぐにできるグラガスさんを素直に凄いと思う。


「お兄さん! 私たちも連れていって!」

「邪魔にはなりません!ですからお願いします!」

「役立ってみせるから!」


 ミホ・イナバ、アサミ・タナカ、カナミ・サンジョウの三人が一緒に行きたいと懇願してきた。

 俺は数秒考えたが、今の彼女たちなら大丈夫だろうと同行を許すことにした。

 一応、グラガスさんにも許可をもらい、96式装輪装甲車(クーガー)の後部ハッチを開き三人を搭乗させる。

 そしてセーラの運転で96式装輪装甲車(クーガー)を発進させる。


「やっぱりお兄さんは日本人だったのね」

「これ自衛隊の装甲車でしょ?」

「馬車より乗り心地が良い」


 三人はヒソヒソと話しているが、聞こえているからな。

 ここまできたら隠す意味もないし、スタンピードが鎮まったらしっかりと話をしよう。


 出てくる魔物を96式装輪装甲車(クーガー)で跳ね飛ばし、更にはブローニングM2重機関銃でハチの巣にしながら進む。

 赤の塔の出入り口である門は開きっぱなしになっている。

 96式装輪装甲車(クーガー)が通れるほど大きな門なのでそのまま門を入ってすぐに停止する。

 門がある後方以外の全方位に魔物の大群がおり、96式装輪装甲車(クーガー)は魔物に囲まれてしまったのだ。


「よし! 皆行くぞ!」

「おおっ!」


 ブローニングM2重機関銃を撃ちまくる。

 撃てば魔物に当たる状況なのでとにかく撃ちまくる。

 その間にリーシアがサンルーヴと三人の日本人少女を連れて後部ハッチから降りていく。


 リーシアが盾を構え突貫し、その後を三人の日本人少女が続く。

 サンルーヴはそのスピードを生かし魔物の間を縫うように移動し、すれ違った魔物は急所を突かれ息絶える。

 五人の戦いを安定させるためにも俺の方も迫りくる魔物に向けてブローニングM2重機関銃を撃ちまくる。

 給弾ベルトの交換も最早慣れたもので、最初に比べれば交換にかかる時間は早くなっている。


「おらぁぁっ!」


 ブローニングM2重機関銃を撃ちながら叫ぶ俺。


「ルビー、リーシアたちのダメージ管理を頼むぞ!」

「任せてッピー!」


 ランク4以上の魔物ばかりだが、物理攻撃の効果がある魔物ばかりなのでブローニングM2重機関銃の弾幕が効果的でよかった。

 周囲の魔物をほぼ殲滅したので武装を96式40mm自動てき弾銃に換装する。

 そして遠方に見える動きの遅いゴーレム系に向かって発砲する。

 遠くで爆発が起きる。狙いは正確だ。

 数体のゴーレムを巻き添えにして爆散する。


 ゴーレムの足が遅いので接近を許すこともなく倒してしまった。

 そして現れる、化け物。


「グローセさん!」

「こっちでも見えている!」


 山のように巨大な体をノッシノッシと揺らしながら近づいてくるその魔物はアースドラゴンだ。

 SWGでは二十五層のエリアボスとして現れるランク7の竜種。

 硬く、そしてHPが異常に多い化け物だ。

 SWGではこのアースドラゴンを倒すまでに何度も死んだ記憶がある。

 それほど硬いのがこのアースドラゴンなのだ。


「ランク7……こんなのが……」


 セーラが絶望する声が聞こえる。

 無理もないと思うが、俺は何故か笑みを零している自分を認識する。

 そう、俺には対物ライフルのバレットM82A1がある。

 覚えているだろうか、このバレットM82A1は二段階の魔改造が施されており、ランク7を超えるドラゴンの鱗でさえ撃ち抜く威力を誇るという説明文を。

 俺は徐にバレットM82A1魔改2のスコープを通しアースドラゴンを見据える。

 その狙いはアースドラゴンの眉間、ど真ん中だ。

 トリガーに指をかける、そして発砲。

 肩に衝撃を感じ、そして次の瞬間、アースドラゴンの眉間に穴が開く。

 更に撃つ! 撃つ! 撃つ! 撃つ!

 アースドラゴンの頭部が原形を留めないほどの数の弾丸を浴びせる。

 そして今までにないステータスの上昇を感じる。


『マスター、職業のテイマーのレベルが100になりました。上位職業に転職します』

『え? 神殿に行かなくても転職できるの?』

『レベルが100に到達し上位職業に転職する場合のみ可能です』

『そ、そうなのか……』

『転職先は次の二つから選択できます。ゴッドテイマーもしくはデミウルゴスのどちらに転職しますか?』

『インス、ゴッドテイマーは完全にテイマーの上位互換だと思うが、デミウルゴスはどういう職業なんだ?』

『マスターの仰る通りゴッドテイマーはテイマーの上位互換です。そしてデミウルゴスはテイマーと生産職を組み合わせたような職業だと思っていただいて構わないでしょう』

『なるほど、更なる上位職業か付加価値が増えた職業か、ってわけだな……』


 ゴッドと付くくらいだからゴッドテイマーの能力は凄いものになると予想できる。

 しかし幅を広げるという意味ではデミウルゴスも捨てがたい。

 どっちにするかな……


『よし、俺は―――――』


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 俺がアースドラゴンを倒したことでスタンピードは終息した。

 そして冒険者ギルドから今回の支援に対して大金がもらえた。

 更に倒した魔物、俺が倒したと分かる死体は全て俺が引き取れることになった。

 グラガスさんは義理堅いな。


「グローセ・ヘンドラー殿を伯爵に叙爵するものなり」


 ランク7のアースドラゴンを倒した俺は国から伯爵に叙爵されることになった。

 これは国から褒美をと言われたためだ。

 しかし俺は商人なので他国に行くこともある。

 貴族では気軽に他国へ赴けないことから爵位は要らないと断っていた。

 だが、ランク7のアースドラゴンを倒した俺に何の褒美も出さないのは国の沽券にかかわると国側も引き下がらない。

 それにランク3以上の魔物を倒せる冒険者には爵位を与えるのが国の基本方針なのでどうしても受けてほしいと役人が地面に頭を付け必死に頼み込むもんだから仕方なく受けることになった。


「グローセちゃん、おめでとう♪」

「ありがとうございます、キャサリンさん」


 叙爵式は王都で行われる。

 俺は今後、伯爵であり、商人ギルドの名誉顧問であり、冒険者ギルドの名誉顧問になるそうだ。

 急に肩書が増えすぎてわけわからんわ。


 赤の塔は高ランク冒険者によって三度に渡り調査が行われスタンピードの終息が確認されたことで今は以前同様開放されている。

 しかし今回のスタンピードによって冒険者も少なくない死者が出ており、冒険者ギルドに活気が戻るまでに時間が必要だ。


 それから俺が雇っていたアンナを始めとする冒険者たちは全員の生存が確認されている。

 しかしアンナが片腕を失う大怪我をしており、冒険者への復帰は絶望的となってしまった。

 だから俺はアンナと双子の妹たちに提案をする。


「今後は俺の家臣にならないか?」


 ベッドに横たわり痛々しく包帯を巻かれたアンナへの提案は驚きだったらしい。


「私は冒険者としても兵士としても役に立てません……」


 グッと唇を噛み悔しさを滲ませるアンナ。

 それを見て涙を流す双子の妹たち。


「何も剣を握ることだけが仕事ではない。俺はアンナの人柄が信用たりえると思っているのだ」

「信用……」

「直ぐにとは言わないからしっかり考えて返事をしてくれ」


 右手を失ったのだから長居をするとアンナも疲れるだろう。

 そう思い帰ろうとしたらアンナから声をかけられた。


「グローセさん、私で良いのですか?」

「勿論だ」

「私の方からお願いします。私を、いえ、私たち三人を家臣にしてください」

「有難う。今からアンナ、カンナ、イズナは俺の家臣だ」

「「「よろしくお願いします!」」」

「「お姉ちゃん、良かったね!」」


 三人は涙を流して喜びあった。

 そこで俺はストレージから取り出した薬をカンナに渡しアンナに飲ませるようにと言って部屋を後にする。

 そして数秒後、三人が大声をあげたのが聞こえてきた。

 部屋の外からでも分かるほどの大声だったので看護婦が部屋に飛び込んでいったのを横目で見て俺は病院を後にする。


「あれを渡しても良かったのですか?」

「構わないよ。あれは試作品だから効果は本物より劣るからね」


 先ほどカンナに渡した薬は俺がつくった薬だ。

 転職してデミウルゴスになった俺はマジックアイテムだけではなく、薬品もつくれるようになったのだ。

 そして先程の薬は試しにつくってみたエリクサーだ。

 試しにつくったので本来のエリクサーよりも効果は劣るがそれでも片腕を再生させる程度の効果はあるだろう。



 氏名:グローセ・ヘンドラー

 職業:デミウルゴス・Lv1

 情報:ヒューマン 男 20歳

 HP:3500000(A)

 MP:5000000(EX)

 筋力:120000(A)

 耐久:140000(A)

 魔力:200000(EX)

 俊敏:150000(A)

 器用:200000(EX)

 魅力:200000(EX)

 幸運:100

 アクティブスキル:【鑑定(S)】【偽装(S)】【神器創造(D)】【テイム(S)】【使い魔(B)】【サーチ(A)】【身体強化(B)】

 パッシブスキル:【強化(S)】【精密射撃(S)】【生産品質向上(A)】【魅力向上(A)】

 魔法スキル:【時空魔法(B)】

 ユニークスキル:【通信販売(C)】【ナビゲーターα】【魂喰い(D)】

 犯罪歴:

 称号:【C級ダンジョン踏破者】【強者喰い】【ドラゴンスレイヤー】


 【神器創造(D)】どのような効果のアイテムであろうと創造できる。Dランクは一日に二回のみこのスキル使用できる。

 【生産品質向上(A)】生産物の品質を向上させる。

 【魅力向上(A)】常時魅力値50パーセント向上、テイム時の魅力値200パーセント向上。

 【ドラゴンスレイヤー】ドラゴンを単独討伐した者にのみ与えられる称号。対ドラゴン戦において全ての攻撃力が50パーセント向上する。


 UP ⇒ 【テイム(S)】【使い魔(B)】【強化(S)】【サーチ(A)】【精密射撃(S)】【身体強化(B)】【魂喰い(D)】

 昇華:【魔道具作成(D)】⇒【神器創造(D)】



 ステータスもえらいことになっているし、もうやだ。


 

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