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038_マンション

 


 家の庭は広いが、敷地は有限なので建坪を増やすためには上に高い建物を建てることになる。

 現在、【通信販売】で購入できる建物は鉄筋コンクリート製の10階建て(3階から10階まで選べる)マンション、軽量鉄骨の3階建てアパート、木造3階建ての家、他には何と小規模の学校や病院まであった。

 まぁ、住居なので鉄筋コンクリート製の4階建てマンションを建てようと思う。

 さすがの俺も10階建てのマンションをこの世界に建てる勇気はない。


 この赤の塔の街は魔物対策として築かれた防壁の上に街ができているので、基礎は岩や石だ。だから基礎はしっかりしているので杭をいれたりする必要はない。

 出来上がっている建物を購入して決めた場所に設置すればそれでOKだ。


 4階建てマンションは1階はエントランスと会議室と管理人室があるので1部屋だが、2階から4階まではそれぞれ4部屋あり全部で13部屋となる。

 間取りは13部屋全て同じで3DK。各部屋魔改造したバストイレも完備しているし、コンロは火災を考えIHクッキングヒーターを魔改造したものにしている。

 広さは無いがハッキリ言って母屋よりも住環境は良いので、後から母屋にも色々改造を施そうと思う。今までは借家だったので遠慮していたが、今は俺の家なのだから。


「主……これは何だ?」

「ごしゅじんさま……すごいワン」

「ん? 皆の宿舎だけど?」

「グローセさん、それは見れば分かります。リーシアさんや私たちが聞いているのはこのような建物が一瞬で建ってしまったことを聞いているのです!」


 俺の後ろで俺が何をするのか見ていたリーシア、サンルーヴ、セーラの3人が皆驚愕の表情をしていた。

 考えたらこんな大きな建物が一瞬でできたら、そりゃ~驚くわな。


「あ~、この件も含め、3人に話があるんだ。建物の中に入って話そうか」


 せっかくなのでマンションの1階に設置されている会議室を使うことにした。

 会議室は広いスペースで、学校の教室よりやや広い感じを受ける。そして備品として長机とパイプ椅子がすでに設置されていた。長机1台にパイプイス3脚がセットされており、それが横3×縦5=15セットあるので単純に45人が入れる大スペースだ。


 3人は真ん中の長机のパイプ椅子に座り、俺は教壇のような台の前に立って3人と向かい合っている。

 何だか教師になった気分だが、これから話すことは俺にとって、そして俺と結婚している彼女たちにとってとても重要なことなのだ。


「先ずは3人に俺の出身について話しておきたい。俺は日本という国の出身だ」

「主の出身? ニホン?」

「グローセさんはこの辺の顔立ちでもありませんから異国の出身だと思っていましたが、ニホンという国名は初めて聞きました」

「……ワゥン?」


 リーシアとセーラは聞いたことがないと頭を傾け、サンルーヴはもともと魔物だったのでそういう話は分からないようだ。


「セーラが聞いたことがないのは当然だよ。日本はこの世界とは違う異世界の国だから」

「……それは」

「俺が生まれ育った世界ではスキルも魔法もなかった。だけどそういった便利なものがなかったために科学文明が発達しているんだ」

「「「……」」」


 さすがに突拍子もない話なのでポカーンとする3人。


「そして俺はこの世界に転移する前にスキルや魔法を手に入れている。そのスキルによって砂糖や胡椒など元の世界にある品を手に入れているんだ」


 俺は3人に俺のスキルのことを話した。

 アクティブスキルである【鑑定】【偽装】【魔道具作成】【テイム】【使い魔】【強化】【サーチ】【精密射撃】。

 魔法スキルである【時空魔法】。

 ユニークスキルである【通信販売】【ナビゲーターα】【魂喰い】。

 3人は何も言わず俺の話を聞いてくれた。

 そして俺を受け入れてくれた。


「主が異世界人であろうと、なかろうと、俺の主に変わりはない!」

「ワン!ごしゅじんさま、だいすき!ワン」

「そうです、グローセさんが私たちの大事な人だということに変わりはありません!」

「3人とも……ありがとう!」


 俺は3人に近寄り1人1人を抱き寄せ感謝の抱擁をする。


「しかし、それだけの凄いスキルや魔法を持っているのだ、明日からはダンジョン踏破に向けて頑張ろう!」

「そうだワン!」

「そうですね、戦闘向きの【精密射撃】もありますし、ダンジョンをサクッと踏破しましょう!」


 え?……いや、それは……勘弁してくれよ……


 何故かダンジョン踏破に向けて頑張るということになってしまった俺だが、どの道地球に帰る方法を探すことになるので無理をしない程度にダンジョンの踏破を目指そうと思う。


 数日後、店は休業にして、従業員用マンションへの引っ越しが行われた。

 新規で雇う人たちはあまり荷物が多くなかったので大変ではなかったが、ルルたち母屋で過ごしていた皆は色々な物を購入していたので引っ越しが大変だった。

 とは言え、マンションへの引っ越しが何とか無事完了した。


 ブラハムは貴族のこともあるので外に顔を見せるのは不味く敷地内の管理をしてもらっているので、敷地内の管理人として1階の管理人室に入ってもらった。

 ルルとデイジーは2階の角部屋、アンナ3姉妹は4階の角部屋、レッジーナたち3人は4階の角部屋(アンナたちの逆側)。

 基本は2人部屋なのだが、12帖が2間あるので4人程度なら問題なく入居できる。

 新人たちは2階に女性4人と男性2人に分かれて入居してもらった。これで13部屋の内、5部屋が埋まった。


「なんですかこれは!?」

「それは魔道コンロ(魔改造したIHクッキングヒータ)でこうやってボタンを押すと鍋とかを温めることができる」


 入居した皆に設備の説明をすると皆が驚きの声を上げる。

 部屋は綺麗でベッドはフカフカ、トイレや風呂が完備されておりトイレは水洗式のシャワートイレだし風呂はいつでも温かいお湯が出る。しかもエアコンもあるので暑さ寒さにも対応できるし、冷蔵庫もあるので食料の保存もできる。

 至れり尽くせりのマンションの説明をすると皆が皆、俺をジト目で見てくる。おかしいな、喜んでもらえると思ったのに。


「こんな便利な生活、王家でも無理ですよ!」


 貴族家出身のムーセル君が吠えた!

 ムフフ、王族なんて目じゃない生活をさせてやるから頑張って働いてね。

 そしてその中でもカズミ・ウエムラは俺を同郷の地球人だと分かったようだ。なのに俺と目を合わそうとしない。


 落ち着いたところで会議室で全員を集め親睦会をしようと思う。

 長机をくっつけて全員で料理を運ぶ。

 今日の料理は【通信販売】で購入したイタリアンの名店のモッツアレラチーズのピザ、同じくイタリアンの名店のパスタ、アメリカからは赤身肉の特大ティーボーンステーキやある州の名が冠となっているチキン、日本からは伊勢の近くの土地で育った和牛の霜降りステーキと銀座の名店の鮨、中国からは北京ダックと小籠包、そして海藻たっぷりのサラダにコーンポタージュやミネストローネスープ。

 飲み物は酒類としては赤ワイン、白ワイン、ビール、ウイスキー、そしてブランデー。ノンアルコールはオレンジジュースやアップルジュース、烏龍茶や緑茶など何でもござれだ!


「お、美味(おい)しい!」

「うん、美味(うま)い!」


 全員が料理を堪能する。

 これが地球の食べ物だ! これらの料理がまた食べたかったら頑張って働いてくれヨ!


 カズミ・ウエムラは久しぶりの地球の味に涙を流しながら料理を頬張っていた。何だかリスやハムスターのように頬袋がぷくりと膨らんでいるのが面白かった。

 俺からは彼女に地球の話はしない。彼女から話しかけてくれるのを待つ。彼女が地球に帰りたいのであればその手助けをするのは吝かではないが、それは彼女が俺に心を開いてからの話だ。

 ハジメの街で会った脳筋3娘のように何も考えず、この世界をゲームか何かと勘違いしているような人では危なくて手を差し伸べる気にもならないが、彼女のようにこの世界に馴染めずに苦しい生活をしていた感じの人を助けるのは良いだろう。

 俺は聖人君子じゃないのだから、助ける相手を選んでも良いと思う。


 さてと今日は何をするかと言えば、今現在死にスキルとなっている【使い魔】を試してみようと思う。

 インス曰く【使い魔】は俺が込める魔力とイメージによって召喚する使い魔が決定するらしい。

 そうなると魔力はできるだけ込めるにしてもどういった使い魔が欲しいかイメージする。

 ……って、どんな使い魔をイメージすればいいのだろうか?


『インス、イメージが思い浮かばないんだけど……』

『マスターはどのような使い魔が欲しいのですか?』

『え~っと、俺の嫁たちが傷ついた時に回復ができるのが良いな~なんて』

『回復ですか……回復を使うとなると……あまり多くはないですね……あ、あれなんか良いでしょう!』

『おう、それだ!……って、どれ?』


 

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