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037_集団面接

 


 キャサリンさんに付いて面接会場に赴く。

 そこには女の子4人と男の子2人の計6人が席に着いていた。

 てか、ここ会議室だ。まぁ、集団面接でもいいか。

 そしてキャサリンさんは簡単に俺の紹介をして会議室を出ていった。後は若い物同士で、ってことだね。え? 違うって?


「改めて自己紹介をします。私はグローセ・ヘンドラー、商人をしています。今回は商売の幅を広げるために人材の紹介をギルドにお願いをし、皆さんが来てくださいました。先ずはお礼を申し上げますね」


 軽く頭を下げ6人の反応を見る。

 ここで俺が頭を下げて当然と思っている奴は要らない。これから俺の下で働こうというのに俺に頭を下げさせるのが当然だと思うようなやつでは仕事を覚えたらすぐにつけあがる。


「では、早速、面接を開始しますね」


 取り敢えずはこの段階で不合格になる者は1人も居なかった。キャサリンさんならちゃんとした人材を紹介してくれると思っていたので、一安心だ。


「先ずは、左の女性から自己紹介と得意なことを教えてください」


 彼、彼女たちの自己紹介と得意なことを纏めるとこうなる。



 カズミ・ウエムラ

 17歳、ヒューマン、女性

 【鑑定(B)】【錬金術(B)】【職人(D)】を持っている。

 あまり自己表現が上手くなく、声も小さめで【鑑定】や【錬金術】のランクを敢えてぼかしていた。



 ローザ

 16歳、兎獣人、女性

 【アイテム鑑定(E)】【情報処理(D)】を持っている。

 大人しい性格に見えるが芯がしっかりしている感じだ。



 ゼナ

 15歳、オーク、女性

 【怪力(E)】【鑑定(E)】【神算(E)】を持っている。

 オーク族なので大柄で見た目も性格も肝っ玉かーちゃんだな。



 ロナウディーナ

 15歳、ヒューマン、女性

 【簡易鑑定(E)】【交渉術(E)】を持っている。

 【交渉術】を持っているだけあって、自己紹介の仕方もかなり堂に入っている感じがする。



 ムーセル

 17歳、ヒューマン、男性

 【鑑定(E)】【算術(E)】【経営術(E)】を持っている。

 貴族の四男なので家を出て平民となったことで家名はない。現在は商人ギルドで働いており沈着冷静で家令タイプに感じた。



 レンドン

 13歳、犬獣人、男性

 【アイテム鑑定(E)】【魔物テイム(E)】を持っている。

 活発な性格でムードメーカー的な感じの男の子だ。



 まぁ、あれだ。一番最初のカズミ・ウエムラは俺と同郷の地球人だ。

 本人は隠しているが、俺には【鑑定(S)】があるので彼女のステータスを見ることができるのだ。

 ハッキリ言って商人や売り子向きの性格には見えない。生産系のスキルを持っているので引き篭もろうとしたが、何らかの理由でそれができなかった、という感じだろうか?


『インス、全員働いてもらおうと思うけど、どうかな?』

『はい、彼らには(・・)問題が有るようには見えません』

『……つまり彼ら以外には……問題が有る、と?』

『分かりません。ただ、ムーセルは貴族の出ですから、そちらの情報も得た方が良いでしよう』


 当然の懸念だな、紐付きでは後々面倒な話に成りかねない。

 6人にはそのまま待ってもらいキャサリンさんに彼の親について聞いてみることにした。


「ザカライア伯爵なら問題ないわ♪ 私が保証するわよん♡」

「どのような方ですか?」

「この赤の塔の街の周辺にはどれほどの街があるかグローセちゃんは知ってるかしら♪」

「……不勉強で恥ずかしいのですが、あまり地理については……」

「商隊が片道5日以内の移動時間の場所に6ヶ所街があるわ♪」


 街というとそれなりに規模が大きいはずだ。俺がこの世界に転移させられた時最初に訪れたハジメの町よりも大きいと考えて良いと思う。


『はい、街は人口10万人以上になった町のことです。都市とも言う場合があります』


 なるほど、人口10万人ともなると日本でも市になれそうな規模だ。


「王都もその中の1つだけど、ザカライア伯爵は王都に次ぐ2番目、この国全体でも3番目の街を統治している実力者よ♡」

「そのような大貴族の御子息を私のような無位無冠の者の下で働かせるのは問題があるのでは?」

「そんなこと無いわよ♪ ムーセルちゃんは既に貴族ではなく一般人だし、本人もそうだけどザカライア伯爵もそのようなことを気にすることは無いわ♡」

「そうなのですか?」

「ザカライア伯爵は人柄、能力、共に素晴らしい方よん♡ それにグローセちゃんの上白糖や胡椒など大量に買っていただいているわ♡」


 キャサリンさんがそこまで言うのであればと、彼……彼女を信用してムーセルを採用することにした。

 6人全員を採用することを伝えるとそのまま個人単位で雇用条件を詰める。

 そして全員が住み込みを希望したので暫くは宿屋を俺が手配すると伝える。勿論、宿屋の費用は俺が出す。

 そして業務としてはゼナ、ロナウディーナ、レンドンの3人で買取受付、査定、現金の管理を行ってもらう。簡単に言えば営業マンやそのアシスタントだ。

 ムーセルとローザの2人には業務管理や勤退管理をメインにしてもらう。所謂、幹部候補生だな。

 カズミ・ウエムラには製造部や開発部的な生産をお願いしようと思ったけど、彼女の能力では少量の生産であれば問題ないが、大量となるとMPが不足して難しいと言うのだ。

 そういえば、彼女のMPはそんなに多くなかった。


『【錬金術】はMPを大量に消費します。その点ではマスターの【魔道具作成】と同じですが、マスターはMPを強化しておりましたし、今では倒した魔物から吸収もできますので彼女のようにMP不足になることはまずありません』

『俺の【魔道具作成】や彼女の【錬金術】ってそんなにMPを消費するスキルなの?』

『はい、通常の生産系スキルに代表される【鍛冶術】や【木工術】などは体に技術を覚え込ませたり技術を磨くことで良い製品を作ります。しかし【錬金術】はMPがないと話になりません』


 厳しい言い方だが、説明を聞くと俺もそう思うし、彼女自身そう思っただろうな。


『【魔道具作成】や【錬金術】などはMPを消費し物質を作り出したり物質を変質させるスキルなので生産職と言っても根本的には魔法使いに似ているのです。ですからMPが少ない彼女には【錬金術】も宝の持ち腐れとなっています。バランスが悪いスキル構成ですね。【職人】を取得せずにMPの底上げをしていれば【錬金術】でそれなりに稼げていたかもしれません』

『お、おぅ……そうなんだ……考えもしなかったけど、そういうことなら俺たちはMP依存の生産職ってわけか……彼女の作業量を増やしたり、MPの最大値を増やす簡単な方法はないの?』

『簡単な方法が1案、やや難しいのが2案、難しいのが1案あります』


 そんなにあるのか……


『簡単なのは?』

『MP強化系のスキルを手に入れることですね。ただ、MP強化系のスキルはあまり多くドロップしないのでオークションに出品される数も少ないです。3、4回のオークションで1つ出品されれば良い方で酷い場合は1年待っても出品されません』

『オークションに出れば後は財力の問題なので俺的には簡単な部類だけど、出品数が極端に少ないから時間が掛かるってことか……』

『はい、そうなります。ただ、マスターは幸運値がMAXなので早く手に入れられる可能性も高いと思います』

『なるほど、ここで幸運値が威力を発揮するのか……じゃ、やや難しいのは?』

『一つ目はポーションを馬鹿飲みさせ作業量を増やせばMPも鍛えられ増えるでしょうが、これは経費がかかるのと彼女がポーションをどれだけ飲めるかによります』

『食は細そうな感じに見えるよな……二つ目は?」

『はい、二つ目は職業を魔術師系に転職させ魔物と戦わせレベルを上げMPの最大値を上げることですが、彼女の性格は戦闘に向きではないようです』

『まぁ、そんなものか……最後に難しい方法は?』

『ランク6の魔物であるマナスピリチアルの魔石に特殊な加工をするとMPの最大値を強制的に上げる薬になりますし、効果も高いです』

『……あれかよ……難しいと言うよりは面倒な奴だよな……』


 マナスピリチアルはSWGでも出てきた魔物で、恐らく赤の塔の20層のボスとして出てくるはずだ。

 MPブーストには丁度良い素材をドロップし、その素材は加工しなければ使えないが、それでもMPブーストの素材なのでSWGでも人気があった。

 SWGの中盤ではMPをブーストする為にマナスピリチアルマラソンをした記憶があるけど、その素材のドロップ率が低いのだ。恐らく5パーセント未満のドロップ率なので20回倒して1個ドロップすれば良い方だ。

 こんなドロップ率でも効果が良いので人気があったのだ。

 マナスピリチアルに関しては20層に行かなければ話にならないし、戦闘は彼女に確認が必要で、オークションは毎回チェックするとして、最初はポーション馬鹿飲みが一番手っ取り早いな。


 全員が現在の宿や寄宿舎を引き払うことになった。

 俺の借りている家は7LDKの母屋なので全員を受け入れるだけの部屋はない。

 母屋には俺とリーシアたち3人が使っている部屋、ルルとデイジーが使っている部屋、アンナ3姉妹が使っている部屋、レッジーナたち冒険者が使っている部屋、ブラハムの使っている部屋、俺が製作や【通信販売】で購入した商品を置くのに使っている部屋、の6部屋を使用しているので空き部屋は1部屋しかなく足りないのだ。

 詰め込めば入らないことはないが、それは俺の主義ではないのでキャサリンさんに頼み家を買い取ることにして敷地内に新しく家を建てることにした。

 因みに新しく建てる家は【通信販売】で購入できるようになった家を購入し設置しようと思っている。それまでは彼らに宿屋を手配した。


 

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