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033_赤の塔12層

 


 前回の探索でゴーレムのような魔物にはサンルーヴの短剣では致命傷を与えることは難しいと考える。

 まぁ、石のゴーレムに対し短剣ではどうにも威力不足だというのは俺でも分かる。

 それでもリーシアの斧はガシガシゴーレムを削るし、セーラの魔法も爆発系は強力でゴーレムに対して有効だ。

 だから思った以上にスムーズに進むことができた俺たちは次の層である12層に到達した。


「う゛~ごーれむきらいワン」

「得手不得手は誰にもあるから気にしてはいけませんよ」


 落ち込んでいるサンルーヴをセーラが慰める。

 どう考えてもゴーレムとサンルーヴは相性が最悪なので仕方がない。

 12層でもゴーレムが俺たちの行く手を阻む。


『マスター、【サーチ】のランクがDからCに上がりました』

『お、了解。【サーチ】は結構ランクが上がるのが早いな』

『はい、常に私の方で【サーチ】を発動させておりますので、そのためでしょう』

『なるほど、今までと変わった内容を教えてくれ』

『はい、先ず範囲がこれまでの300メートルほどから1キロメートルほどになります。それに今までは人や魔物しか認識できませんでしたが、罠や宝箱を発見できるようになりました。更に急激に近付いてくる敵性反応があれば警報を鳴らすことができます』

『え、そんなに範囲が増えるの? 一気に範囲広がり過ぎだけど広いに越したことはないのでありがたいし、罠や宝箱の発見もありがたい! でも警報はインスが居るので微妙だな』

『ありがとうございます』

『今後も宜しく頼むな』

『はい!』


 しかし【サーチ】の範囲がかなりチートになってきた。これは素直にありがたいと思う。

 まぁ、俺にインスがいるし、サンルーヴも居るから簡単に接敵されないと思うけど、それでも俺にはとても良いスキルだと思う。


 その後もゴーレムを倒しながら進む。

 そして俺はある場所に来ている。

 スマート()ワールド()ゲート()の中盤で散々世話になった場所だ。


「ここは?」

「ちょっと待ってくれ……よし、ここだ」


 俺が大きな岩の下まで移動すると、バンッと地面が爆ぜて大きなゴーレムが現れる。

 そのゴーレムは綺麗な銀色をしダンジョン内の光がそのボディーに反射してとても神秘的だ。

 しかしその美しさとは対照的にこのゴーレムは極悪なのだ。

 この赤の塔の内容はここまでSWGと全く同じなのでこのミスリルゴーレムのPOP条件もSWGと同じだと思っていたけど、本当に同じだった。

 こうなるとやっぱりこの赤の塔はSWGの紅蓮のダンジョンということになる。


「主!」

「ごしゅじんさま!」

「グローセさん!」


 3人が俺の周囲に展開し、ミスリルゴーレムを警戒する。

 ミスリルゴーレムと俺の間にリーシアが立ち大盾を構え、俺の右にはサンルーヴ、左にはセーラが陣取る。


「あれはミスリルゴーレムだ。魔法が効きにくいのでリーシアが前面に立って削ってくれ」

「「「了解 (わかったワン)」」」


 ミスリルゴーレムが動き出したのに合わせ、俺は【時空魔法】のヘイストをリーシアに付与する。そしてミスリルゴーレムにはスロウで弱体を試みるが、弾かれたようだ。


「セーラ、炎系の魔法を!」

「分かりました!」


 俺の指示で賢者というレア職業に就いており魔法に長けたセーラがファイアストームを放つ。

 ミスリルゴーレムの周囲に炎の渦ができ、ミスリルゴーレムを焼くが魔法耐性が高いのでダメージは多くない。

 だが、ミスリルというのは魔法耐性はあっても熱を伝えやすい。中に人がいたらサウナどころの話では済まないだろう熱量をセーラはミスリルゴーレムに与えている。


「よし、次は水かできれば氷系の魔法を!」

「分かりました!」


 ガンッ、とミスリルゴーレムとリーシアが接触する。

 力と力のぶつかり合い、肉薄する力、ギリギリと静かな攻防だが、とても俺が入ることのできない空間だ。


「リーシアさん!」


 セーラの魔法の準備ができたのでリーシアに合図するとリーシアは大盾を右にずらしミスリルゴーレムの重心を崩し隙を作る。

 そこにセーラのブリザードが発動する。まるで北極に吹き荒れる吹雪きのように視界を遮るほどのブリザードがミスリルゴーレムを襲う。

 数秒後、表面が凍り付きギギギと動きが悪いミスリルゴーレムの姿が露わとなるので俺はリーシアに指示を出す。


「リーシア、斧だ!」

「了解だ!」


 ガギンッ、と甲高い音が鳴り響くとミスリルゴーレムの体にパキパキとヒビが入る。そしてヒビが次第に大きくなりガラガラと崩れる。

 SWGではこのミスリルゴーレムの討伐が中盤の資金稼ぎとなっていた。魔法も効きにくいし耐久力もあるのだが、炎と氷の魔法使いがいればあっと言う間に倒すことができるのだ。

 誰がこの攻略法を見つけたのかは分からないが俺が始めたころはまだメジャーな攻略法とはなっていなかったので資金稼ぎをさせてもらった記憶が鮮明に残っている。


「よし、破片を回収だ!」


 暫くして大量の破片を回収し終えた俺たち。

 次のPOPまでは凡そ10分と記憶しているから残り1・2分あるので休憩と思っていたら、何やら視線が痛い。


「……何かな?」

「グローセさん、魔物が出現するのを知っていましたよね?」

「あ……うん……何となく……」


 そういえば3人はSWGのことは言ってないからな……

 ジト目の3人も可愛いな……


「主……まぁ、いい。だが、次からは事前に教えてくれ」

「り、了解だ」


 最初にミスリルゴーレムがPOPすることを伝えておいた方が心構えができていいだろうが、何故ミスリルゴーレムのことを知っているのかと聞かれると答えに困ってしまう。

 彼女たちとは出会ってまだ時間は経っていないが、主従の垣根を超えた信頼関係が構築されていると思っている。だから早めに異世界人だと打ち明けよう、と心のなかで固く決意する。


 その後、ミスリルゴーレムを何度もPOPさせては倒すを繰り返し行い、家に帰る。


『マスター、【通信販売】のランクがDからCにランクアップしました』

『おっ! とうとう上がったか! 今回解放された能力を教えてくれ』


 ミスリルはかなり高額の素材なので大量に売った俺のスキルである【通信販売】のランクが上がった。

 インスにストレージに入れたミスリルを【通信販売】で売っておいてほしいと頼んでおいたので俺が一々売る必要はない。

 以前聞いた時にはランクアップにまだ1億円以上あったし、それから時間もあまり経っていなかったのでミスリルゴーレム8体分のミスリルを【通信販売】で売っただけで1億円超えとなったことになる。ミスリルぱねぇ。


『はい、先ずは改造のグレードが更に上がりました。次いで購入できる商品のラインナップがほぼ倍になっております』


 うん、改造もラインナップも嬉しいね!

 早速、MP7の追加改造をしよう!


『了解しました。通常の銃弾の威力が更に上がり、また弾丸に火、風、回復の属性から1つ選び付与することができるようになりました』

『属性弾か! 1つしか選べないの?』

『はい、1つしか選べません』


 1つか、でもこれで魔法の杖が無くても魔法みたいな属性攻撃ができるようになるってことだ!

 しかも通常弾の威力も上がっているから通常攻撃でも期待できるぞ!

 付与する属性は何にしようかな……。


『因みに属性はそれぞれどのような効果があるの?』

『はい、火属性の場合は単純に燃え盛る炎を纏った弾丸を発射しますので破壊力が上がります。風属性は風や空気による抵抗を軽減し着弾時の貫通力と命中率が向上します。回復は弾丸を打ち込んだ対象が回復するという矛盾した効果になります。因みに回復の場合は着弾時の痛みもありません』

『ほうほう、どれも魅力的な効果だね……これって複数の銃を用意しておいてそれぞれに違う属性を付与するのは可能なの?』

『問題ありません』

『OK! じゃぁ、MP7をあと2丁購入しそれぞれに違う効果を付与してくれるかな』

『了解しました。MP7を2丁購入します……購入完了。次いで改造を行います………………………………改造が完了しました』

『了解だ、それと【通信販売】は次のランクまでに必要な金額は幾らかな?』

『はい、次は総取引額が20億円でランクアップしますので、今後の取引額として14億9321万2058円の取引が必要になります』


 うへ~、20億円かよ。次までは遠いな……と思ったけどミスリルゴーレムという金づるが居るから意外と早いかも!



 @MP7魔改2

 MP7を二段階改造したサブマシンガン。

 二段階目の改造によって火・風・回復属性から1つの属性を付与し攻撃や回復を行える改造が施されている。

 ランク4程度の魔物であれば軽くハチの巣にできるだろう。


 

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