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026_盗賊対策1

ブックマーク登録者数が8000人を超えました。

沢山の方に読んで頂けているのだと、嬉しく思います。

今後もお読み頂けるように無理せず投稿していきます。

有難う御座います。m(_ _"m)

 


 カフェでのんびりお茶を楽しむ。しかしあまり良いお茶ではないようで香りが今一だ。この世界で一般的に流通しているお茶だとこの程度なんだよな。

 カフェでも開こうかな……おっと、そんなことよりこのケイトという敵対者をどうするか……


『インス、この赤●のケイトという敵対者は盗賊かな?』

『いいえ、敵対者のケイトはマスターとオークションで何度か競った金髪のヒューマン男性の奴隷です』

『あのイケメンの奴隷か……どうすれば良いかな?』

『消しますか?』

『コワッ!……って、できるの?』

『マスターの【時空魔法】を使えば可能です』

『【時空魔法】を? どう使うの?』

『簡単です。敵対者の足元を空間転移の入り口にすれば敵対者はストンと転移門に落ちます』

『え? 空間転移?』

『はい、空間転移です。マスターの【時空魔法】はランクが上がってCになっておりますので空間転移が使用可能となっております』

『え、そうなの?』


 いや~ビックリだわ。いつの間にそんな魔法が使えるようになっていたんだよ!


『因みに他にも使える魔法ってあるの?』

『はい、ありますが説明は後ほどにされた方がよろしいかと』

『あ、そうだね。……で、その空間転移を使って敵対者を転移門に落とすとしてどこに出るの?』

『マスターが行ったことがある場所、もしくは見える範囲のどこかになりますが、今回は上空に放り出せばよろしいかと』

『上空に放り出す? ……それって……』

『1Kmほど上空に放り出せば後は自由落下によって加速して高速で地面に激突してペシャンコです』

『コワッ! ……それはさすがに止めておこうよ』

『それではダンジョンの中にでも放り込んでおきますか』

『……この敵対者って冒険者ランクで言うとどの程度の力量なのかな?』

『はい、冒険者でしたらランクEもしくはDになった程度でしょう』

『ランクDの冒険者をダンジョンの中に1人で放り出したら?』

『この赤の塔の街に来る途中で踏破しました『死者の迷宮』の地上階であれば彼女が死ぬことはないでしょうし、この赤の塔の街に帰ってくるのにも時間が掛かります』

『死ぬ確率は低いんだよね?』

『死ぬ確率は30%程度です。彼女の運が悪ければ死にます』

『ふむ、じゃ、そこでお願い』

『では空間転移を発動させます………………発動完了、ターゲットを『死者の迷宮』地上階へ転移させました』

『……了解』


 視界に映る地図に先ほどの赤●はなく、他の赤●もないのでケイトという敵対者は『死者の迷宮』に強制転移させられたのは間違いないだろう。

 しかしインスって何でもできるな。てか、俺要らないよね?


「追跡者の気配が先ほど急に消えたのですが、サンルーヴは追跡者を感じますか?」

「いないワン。きゅうにけはいがきえたワン」

「居ないのか? 諦めて帰ったわけではあるまい? 主、どう思う?」

「まぁ、居なくなったのならそれで良いじゃないか。今のうちに家に帰るぞ」 


 その内、3人にもインスの存在を教えないとな……

 取り敢えず盗賊がいつ襲ってくるか分からないから早く家に帰りアンナたちの負担を減らしてやらないと。

 地図を出して敵対者だけを表示するようにしておく。家に近付くと家の周囲に赤●が4つ存在するのが分かる。便利だわ。


「「「お帰りなさい」」」

「「「「ただいま(ワン)」」」」


 店に皆と入ると店長のルル、店員のデイジー、護衛のカンナが迎えてくれた。アンナとイズナは交代で護衛をしているので今は家で休んでいる。今のシフトだと護衛の負担が大きいな。もっと護衛を増やさないとそのうちアンナたちが疲れ果ててしまう。


「変わったことはなかったかい?」

「買取が多い以外は特に何もありませんでした」


 特に変わったことがなかったので先ずは一安心だ。今日の買取だけで倉庫が7割ほど埋まっている。過去最高の買取数だと思う。よくここまで集まったものだと感心する。

 倉庫内の魔物の死体を全てストレージに回収する。殆どランク1の魔物だが2割ほどはランク2の魔物が混じっている。

 これらを【通信販売】で販売すると320万円を少し超えた。まだ開店して数日だが過去最高の販売額となった。


 今の【通信販売】を次のランクのCに上げるには5億円の取引額が必要になる。この額を取引するのにどれだけの時間が要るか分からないけど、塵も積もれば山となるって言うし地道に金額を積み上げるしかない。

 それはさて置き今後のために幾つか話し合いを行った。

 先ず、アンナたち護衛組の補強だが、アンナたちも24時間フルで家や店の警護をするのは3人では片手落ちになると考えていたらしく俺の提案は満場一致で了承された。

 増員に関しては冒険者ギルドに依頼を出すことにしたが、アンナの知り合いを冒険者ギルド経由で雇う方向で話を進めることになった。


 盗賊の件だが、この【サーチ】を覚え更に空間転移とのコンボでピンポイントで狙い撃ちできるようになったので家を見張っている盗賊への対応はしやすくなった。

 問題は盗賊を空間転移でどこに飛ばすかだが、元々盗賊は赤の塔内で活動しているので赤の塔内に放り出してもあまり効果は無いと思うし、上空に放り出すのはさすがの俺でも気が引けるので転移先を考える必要がある。


『どこか閉じ込めておける場所とか簡単には出てこれない場所はないかな?』

『それでしたら赤の塔で盗賊が活動していない8層以上に放り出せば良いと思います』

『それって俺が8層に一度行かないとダメってことだよね?』

『はい』

『……はい、って……』

『リーシアたちが居ればすぐに到達できますよ』


 仕方がないので翌朝は赤の塔に入って8層を目指すことにする。

 だがその前にリーシアたち3人に求められたとは言え彼女たちを抱いたのは間違いないので俺も覚悟を決めて3人を妻とすることにした。


「リーシア、サンルーヴ、セーラ、話があるんだ」

「何だ、主?」

「なにワン?」

「何でしょう?」

「その……なんだ……俺はだな……それでだな……」

「主、何が言いたいのだ? 男ならハッキリ言うのだ!」

「ごしゅじんさま、どうしたワン?」

「グローセさん、どうしました?」


 てか、3人一度にプロポーズって、どうすればいいんだ? プロポーズなんかしたことないのに、3人を相手にどうやってプロポーズすれば……


『マスター、正直に言えば良いのです。マスターの3人に対する気持ちを正直に』

『正直に……か。分かった、インスありがとう』

『いいえ』


「俺は3人が好きだ。だから俺と結婚してくれ!」

「「「っ!……」」」


 ストレートに、インスに言われたように正直に、俺は3人にプロポーズした。

 もっとムードのある場所や雰囲気を作ったほうが良かっただろうか、と今更ながらに後悔するが、プロポーズ自体に後悔はない。

 呆然と佇む3人、断られるのだろうか? それとも受け入れてくれるのだろうか?

 できることなら受け入れてほしいのだが……


「あ、あの、返事は今すぐでなくて構わないから考えてほしい」

「「「よろこんで!(ワン)」」」

「え、あ、本当に?」

「勿論だ! 主となら喜んで!」

「ありがとう、リーシア」

「うれしいワン!」

「これからもよろしくな、サンルーヴ」

「わ、私で良いのでしょうか?」

「君が良いんだ、セーラ」


 3人は俺に抱きつき暫く離れなかった。そしてそのまま………………

 翌朝、朝日が顔を出す頃まで愛し合っていたので昼近くまで睡眠をとってから朝昼兼用の食事を摂って赤の塔に向かうことになる。


 しかしこの世界では結婚式もなければ新婚旅行もないと言う。

 結婚は役所か所属ギルドに届け出を行いそれで終わるのだそうだ。

 今すぐではないが、結婚披露パーティーをして新婚旅行に行こうと思う。


 リーシア、サンルーヴ、セーラの3人は俺がやる気になったと嬉しそうにしているが、俺の生活の安寧のために仕方なく行くのだ。そして俺の可愛い妻たちと幸せな家庭を築くためにも邪魔者には消えてもらう!


「主、どうしたのだ?」

「え、あ、何でもない」

「そうか、あまりボーっとしていると魔物に喰われるぞ」


 リーシアちゃん、それは笑えないからね。ここダンジョン内の6層だから笑えないよ。

 それとセーラは元々名前で呼んでくれていたので良いが俺のことをリーシアは「主」と言うし、サンルーヴは「ごしゅじんさま」と言うのだが、結婚するのだから名前で呼んでくれと言っても「主は主だ!」とか「ごしゅじんさまはごしゅじんさま、だワン」と拒否された。


「ごしゅじんさま、どうしたワン?」

「顔色が悪いようですが疲れましたか?」

「大丈夫だよ、ちょっと考えごとをしていただけだから」


 3人は出てくる魔物を次から次と薙ぎ倒し進む。そう言えば魔道具を作ろうと思って忘れていたのを思い出す。既に材料となるブラックウルフやレッドウルフの皮は手に入れているから後は俺がそれを加工してスピードブーツを作るだけなんだけど盗賊の件もあるから先ずは盗賊を片付けてからだな。


「なにかくるワン!」

「今までの魔物より遥に強い気配です」


 え、それって……危険なんじゃ?


『マスター、【サーチ】に反応が、ステータスを表示しますか?』

『頼むよ、インス』



 情報:ウルドラゴ ランク3 雄 12歳

 HP:13000

 MP:500

 筋力:900

 耐久:900

 魔力:600

 俊敏:900

 器用:400

 魅力:100

 幸運:10

 アクティブスキル:【咆哮(D)】【爪術(D)】【牙術(D)】【超加速(D)】

 パッシブスキル:【堅牢(D)】



 なんとなくだけど予想はできていた。ステータスを見る限り3人の敵にはならないと思う。


「ウルドラゴが近付いてくる。スキルは【咆哮(D)】【爪術(D)】【牙術(D)】【超加速(D)】【堅牢(D)】」

「了解だ」


 俺が警戒とウルドラゴのスキルを報告すると木々の間からウルドラゴが飛び出してきた。

 先日遭遇した冒険者たちが壊滅しそうになったウルドラゴ、本当に狼の姿にドラゴンのような鱗が特徴の魔物だ。


「任せろっ!」


 リーシアが飛び出してきたウルドラゴの前に躍り出ると、常闇の鎧の左籠手から大きな盾が現れウルドラゴの突進を受け止める。そして弾き飛ばすように盾を大きく振る。

 ウルドラゴは数m弾き飛ばされたように見えたが綺麗に着地しダメージがあるようには見えない。

 リーシアとは分が悪いと思ったのかウルドラゴは一瞬消えたかと思うほどの加速をしリーシアをすり抜けて狙いを俺に変えた。スキルの【超加速】を使用したのだと瞬間的に思う。

 そして俺の方が御しやすいと思ったのだろうが、俺だって強くなっているんだ、一方的に蹂躙される気はないぞ!


 タンッ!


 俺だって守られるだけの存在じゃないんだよ!

 俺の手には改造された『MP7魔改α』。その『MP7魔改α』は威力重視の魔改造がされているのでドラゴンのような鱗で身を守っているウルドラゴの眉間に風穴を開けてくれる。


 ドサッ!


 ウルドラゴは眉間を撃ち抜かれ地面に力なく落ち数度ピクピクと痙攣し動かなくなる。


「グローセさんやりますね!」

「ごしゅじんさま、すごいワン!」

「む、すまぬ。少し油断してしまった」


 セーラとサンルーヴが俺を褒めてくれ、リーシアはウルドラゴに抜かれたことにやや落ち込み謝ってくる。


「リーシア、そんなに気にするな」

「いや、主を守るのが俺の役目なのに主に魔物を近づけてしまった。気が緩んでいたようだ、今後はこのようなことが無いように細心の注意をする」


 変な所で生真面目なリーシアが気合を入れなおしズンズンと歩き出す。俺はセーラと視線を合わせ苦笑いをするしかなかった。


 

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