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025_オークション

 


 赤の塔の街で一番大きな建物は商人ギルドのギルド会館だ。次いで大きいのが領主館でお城のような冒険者ギルドのギルド会館は正確には赤の塔の街の郊外となるので対象外だが、最前線を守る要所なので堅牢に造られ規模も商業ギルドよりも大きいのは間違いない。


 赤の塔から毎日色々なアイテムが冒険者により冒険者ギルドに齎されている。このアイテムの中でも特に珍しい物や高額な物は毎月商人ギルドで行われるオークションに出品される。

 オークションの開催頻度が毎月なのは宵越しの銭を持たないと言われる冒険者の懐具合やあまり長く待てないという冒険者気質を考慮してのことだが、それだけの商品がひと月で溜まるからでもある。

 因みにオークションに出品される商品は赤の塔から得られるアイテムだけでなく商品となる物であれば食材から奴隷まで何でも出品できる。


「広いね」

「うむ、500人は入れそうだぞ、主」

「ひろいワン」

「確か600人を収容できる会場だそうです」


 会場のロビーには出品される商品名と簡単な説明が掲示されており、それを見る限り俺が欲しいと思っているスキルスクロールは2つ共出品されるようだ。他にも色々と有用なスキルスクロールの出品もあるので資金に余裕があったら入手したいと思う。


「【気配感知】と【空間把握】の前回の落札価格は、【気配感知】が800万円で【空間把握】が1200万円ですね」


 セーラが冊子を片手に俺にレクチャーしてくれる。

 どうやら過去の落札価格とかが載っている冊子がフロントで売っているらしい。いつの間にそんな物を買っていたのだ?


 オークションが始まった。俺の左にリーシア、右にセーラ、何故か俺の膝の上にサンルーヴが座る。俺の膝上は最終的にサンルーヴが座っているが3人が希望した激戦区だった。


 最初は商人ギルドのギルド長の挨拶があり、その後に副ギルド長から落札についての注意事項の説明だ。

 落札時は速やかに現金で支払い商品を受け取る。商品が奴隷だったり大きくて会場に持って入れない場合は支払い後に商人ギルドが一時的に保管してくれるが、それもオークション終了後2時間以内に受け取りがない場合は商人ギルドで処分することになる。


 最初の出品は奴隷だ。ロビーに出品の順番が記載されていたので分かっていたが奴隷の多くはうら若き女性かイケメン少年だった。恐らくそういう方面の需要があるのだろう。どういう方面かって? そんなの決まっているじゃないか! 夜のお友達だよ!

 奴隷のオークションはスルーした。そういう方面の奴隷なので美女揃いで俺の心が何度揺れたことか……左右に座るリーシアとセーラの視線が怖かったので参加はしていない。

 あれから2晩続けての4Pプレイをした後なので他の女性に心動かすわけにはいかない! と俺の良心が言っている。


 続いての出品は武器・防具などの武具だ。

 ミスリル製の剣に始まりアダマンタイト製の槍など色々出品されていた。どれも素晴らしい物ばかりだったが衝動買いはしていない。

 武具の出品が終わるとアクセサリーになる。ここで俺はミスリル製の指輪を見て思わず購入を決定! 出品数が丁度3個なのでそれぞれ300万円、320万円、350万円で購入しました。これをリーシア、サンルーヴ、セーラの指にはめてやる。左手の薬指を出してきたからはめてあげるが、こんな場所ではムードもへったくれもない。いつかちゃんとプロポーズをしようと思う。


 ニマニマする3人を他所にとうとうスキルスクロールの出品が始まった。

 既に970万円を使っているがその程度で今の俺の財力は底をつくことはないのだ。それに狙いは【気配感知】と【空間把握】なので2つだけなら大丈夫だろう。


「次の出品は【空間把握】のスキルスクロールです。斥候職や地図職人には極めて有用なスキルです」


 司会進行役の職員と思われる性格のきつそうな女性が商品の簡単な説明と開始値をコールする。


「開始値は500万円から」


 この【空間把握】のスキルスクロールはそこそこ出るらしく過去3回の落札価格は1200万円、1300万円、1200万円と安定している。だから1000万円を超えた辺りから俺も競に参加する。

 俺が1100万円をコールするとどこからか1200万円がコールされる。そちらを見ると金髪のイケメン君が5人の女性を侍らせ嫌らしい笑みを俺に向けてきた。しかも侍らせている女性は皆奴隷の印である首輪を着けている。そんなイケメンの笑顔……何だかムカつく笑顔だ。イケメンだし、イケメンだし、イケメンだし!


 1300万円をコール。イケメンが1400万円、俺が1500万円、そのまま100万円単位で俺とイケメンが価格を上げていってイケメンが2000万円をコールしやがった。とうとう【空間把握】の過去最高額となる2100万円だ。俺がコールした。

 コール後イケメンの顔を拝んでやったら結構オコみたいです。俺を睨んでいますよ。人類共通の敵であるイケメンをギャフンといわせてやる!


 思わぬ出費となったが、まだ俺の資金には余裕がある。

 次の【気配感知】は過去3回の落札価格は1100万円、700万円、800万円、価格は多少上下しているが問題ないレベルだ。

 幾つかのスキルスクロールを挟んで【気配感知】のスキルスクロールの競売が始まった。この【気配感知】は斥候職だけでなく冒険者に大人気のスキルなので何人もの冒険者が競に参加している。そして例のあのイケメンも競に参加している。

 イケメンが700万円とコールしたので俺は800万円をコールする。それを聞いたイケメンは俺を一瞥し一瞬殺気を放ってくる。その殺気に反応したうちの3人娘たちがイケメンを射殺すかと思うほどに殺気立つ。

 止めなさい、周囲の商人さんたちが青い顔しているから。


 結果として1400万円で俺が落札したが、この【気配感知】の出品は2つあるのでもう一つの落札が始まった。

 あのイケメンが気合を入れて落札しようとしているが、俺も競に参加する。決してイケメンへの嫌がらせじゃないよ、リーシアやセーラにも持たしてやりたいじゃん。

 イケメンは1500万円まで頑張ったが、俺が1600万円をコールし落札した。

 これで予定のスキルスクロールは全て購入したのでここで退席する。


「思った以上に出費してしまったな。でも必要な物に金を惜しむことはしないのだ!」

「ごしゅじんさま、よかったワン」

「主は金の使い方が派手だ」

「確かにグローセさんは金に糸目をつけない方ですね」


 オークションの途中で席を立ったので帰りの道は混雑もなく表通りに出ることができた。しかしここで思わぬ邪魔が入る。


「ごしゅじんさま、だれかあとをつけてくるワン」

「え? ……誰か分かる?」

「う~ん、しらないひとだワン」

「グローセさん、取り敢えずそこのカフェにでも入り様子を見ましょう」

「了解」


 セーラの提案で入ったカフェでお茶とお茶菓子を頼んで俺たちを尾行していた人を逆に観察する。


『そう言えば、ストレージ内のスキルスクロールを使用することはできるかな?』

『可能です。使用しますか?』

『ああ、【気配感知】と【空間把握】を使ってくれ。運用はインスに任せるよ』

『分かりました。ではご指示を実行します………………スキル取得を確認しました。【気配感知】と【空間把握】を統合し【サーチ】に昇華させます。………………【サーチ】への昇華を完了しましたのでマスターの視界に地図をアップします』

『……あ、あの……スキルの統合って何?』

『はい、【気配感知】と【空間把握】のように相性の良いスキルを統合しより良いスキルに昇華させることを統合と言います』

『そんなことできるの?』

『通常はできませんが【ナビゲーター】が【ナビゲーターα】に昇華しましたのでできるようになりました』

『へ、へぇ~そうなんだ……』


 初めて知りましたよ? そういうことは早く言ってほしいな。

 はぁ、インスのことは後から確認するとして今は目の前に現れた地図の確認だ。


『この地図ってこの周辺の地図だよね?』

『はい、【サーチ】によって周辺の地形を読み取り更に指定したモノを表示できる機能があります。現在はマスターに敵意を持っているモノのみ地図に表示しております』

『つまりこの赤●が俺に敵意を持っている奴なんだね?』

『はい、そうです。現在は【サーチ】のランクが低いため、半径50m程度の範囲でしか表示できませんが、ランクが上がれば範囲は広がりますので非常に有用なスキルです』

『了解。で、この赤●の横に記載があるのは名前かな?』

『はい、名前と種族、必要であればステータスも表示できますが、見づらくなると思い名前のみ表示しております』


 

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