表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/93

020_エピローグ

 


 赤の塔の街はデカかった。ハジメの町なんか比較にならないほどにデカかった。

 先ず、目を引いたのが街に到着する1時間以上前から見えるほどの巨大な塔。それが赤の塔である。

 そして赤の塔が見えてからトラックで走り数十分ほどで見えてくる巨大な防壁。ハジメの町の城壁どころの話ではなく、それよりも遥に規模が大きい。この防壁は街を守る物ではなく、防壁で囲った赤の塔から出現する魔物を外に出さないための物だと言う。

 過去に赤の塔からランク6の魔物が出現し人類に甚大な被害を齎したらしく、その経験からこれだけ堅牢な防壁が築かれたとのことだ。byセーラ。


 そして俺はこの赤の塔と赤の塔の街を知っている。

 この『赤の塔』と『赤の塔の街』について俺が知っているのは名称が『紅蓮のダンジョン』と『紅蓮の街』だ。これらの名称は俺がまだ地球に居た頃にプレイしていたSWGスマート・ワールド・ゲートに同じ形で同じ形状の街があったのだ。

 これまでもチョイチョイSWGと同じ魔物が現れていたが、これは一般的な魔物なので被っていても不思議はないと思っていたが、この赤の塔と赤の塔の街のようにSWGと酷似した設定があるとはね。塔の中も同じ……ということはないよな?


 赤の塔の街は巨大な防壁の上に築かれている。そして巨大な防壁の内側にある建物は冒険者ギルドの巨大な建物だけで赤の塔の入り口の前にドドーンと城のような建物が築かれている。これもSWGと同じだ。

 俺たちは赤の塔の街に到着する前にトラックを降りてストレージに回収した。そこからは歩きだが、現れる魔物はリーシアとセーラが瞬殺する。俺はそれを指を(くわ)えて見ているだけ、指を銜えてってのは比喩だよ、実際には銜えてないからね。

 赤の塔の街に近付くにつれ魔物は強くなるようで赤の塔の防壁間際ではランク3の魔物が何度か襲ってきた。とは言え、ランク3の魔物ではリーシアとセーラが瞬殺するので俺の【通信販売】の取引額の肥やしになるばかりだ。


 あの『死者の迷宮』のダンジョンマスター初回討伐特典でツキヨミ様にサンルーヴは獣人にしてもらい俺たちと話せるようになった。獣人になったサンルーヴはスッポンポンだったので【通信販売】でコンバットスーツや下着を購入しセーラが持っていた外套を羽織っている。セーラの服では大きさが合わないので外套だけ借りている。

 実を言うとサンルーヴは獣人化したことでスキルが減っている。【牙術】と【爪術】が消失しており増えたスキルはない。

 ただ、今まで魔物ということもあって職業に就けなかったサンルーヴだが、獣人化したことで晴れて職業に就くことができるようになった。

 赤の塔の街に到着したらいのいちばんに神殿へ行く。ハジメの町にあった神殿よりも大きいその神殿に金貨2枚を寄進して職業に就く。寄進の額は神殿の大きさに比例するらしい。


「どんな職業に就いたのだ?」


 シスターと部屋から出てきたサンルーヴはとても満足そうな顔をしていた。


「にんじゃになったワン」

「にんじゃですか? あまり聞かない職業ですね」

「うむ、聞いたことがないな。主は知っているのか?」


 知っているも何も忍者発祥の地である日本出身ですが、何か?


「恐らく斥候や暗殺系の職業だね」

「斥候ですと私と被りますね……」

「かぶる? にんじゃだめだったワンか?」

「いえ、大丈夫ですよ。よしっ、決めました! 私転職します!」


 いきなり転職すると言いシスターを引き連れて部屋に入っていくセーラ。てか、被っていても良いと思うけど?

 セーラは『狩人』、サンルーヴは『忍者』なのでそこまで被っているわけじゃないと思うけど。でもセーラも狩人に限界を感じていたようだし好きにすれば良いと思う。


 暫くして部屋から出てきたセーラも何やらニコニコ顔である。満足いく転職ができたようだ。まぁ、セーラの転職後の職業は【鑑定】を使うまでもなく分かっているけどね。


「気に入った職業があったようだね?」

「はい! 良い職業に転職できました!」


 満足気な口調に自然と口角が緩むセーラ。

 セーラの職業は宿を取ってからユックリ話すと言うので宿屋街に行き高級宿に泊まる。男女別の二部屋に泊まろうとしたら、リーシア、セーラ、サンルーヴの3人から「一部屋で!」と受付の紳士が引くほどの勢いで言われたのでスイートを取る。

 スイートなだけあって大きな部屋風呂があり、早速堪能させていただきました。そしたらいきなり風呂の扉が開きリーシア、サンルーヴ、セーラが入ってきたのでビックリだ。


「な、何してるんだ!?」

「主の背中を流すのは従者の務めだろ?」

「ごしゅじんさまといっしょに おふろはいるワン!」

「わ、私は嫌だと言ったのです!」


 筋肉質だが出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいるリーシア。ステータス上では15歳だがどう見ても小学生なサンルーヴ。そして柔らかそうな双丘をタオルで隠し恥ずかしそうなセーラ。

 俺は3人の姿を目に焼き付けるも風呂から飛び出すように出る。俺の理性が限界を振り切る寸前だ。我慢した俺を褒めてくれ!

 今回のことはどうせリーシアの仕組んだことだろう。リーシアは俺に抱かれようと迫ってくるのだ。美人に迫られて悪い気分ではない、むしろ嬉しいがこの世界に転移してきてこれからのことに不安もあるので自制をしている。

 俺自身は地球に帰る必要性を感じないが、あの金髪さんがぬるま湯な異世界ライフを許してくれると楽観視はできない。


 俺を追い出し(本人の受ける印象)、ユックリ風呂に入っていた女性陣が風呂から上がってきた。部屋で食事を摂りながら皆の職業やステータスの確認をする。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 氏名:グローセ・ヘンドラー

 職業:テイマー・Lv60

 情報:ヒューマン 男 20歳

 HP:900(C)

 MP:15000(EX)

 筋力:300(C)

 耐久:300(C)

 魔力:750(C)

 俊敏:300(C)

 器用:3000(S)

 魅力:3000(S)

 幸運:100

 アクティブスキル:【鑑定(S)】【偽装(S)】【魔道具作成(E)】【テイム(B)】【使い魔(E)】

 パッシブスキル:【強化(E)】

 魔法スキル:【時空魔法(C)】

 ユニークスキル:【通信販売(E)】【ナビゲーターα】【魂喰い(E)】

 犯罪歴:

 称号:【C級ダンジョン踏破者】【強者喰い】


 【使い魔(E)】使い魔を召喚し使役する。

 【強化(E)】契約者を強化し、取得経験値も増える。

 【ナビゲーターα】既存ナビゲーターのツクヨミ式バージョンアップ仕様。

 【魂喰い(E)】止めを刺した相手の能力やスキルをランダムに1つ吸収する。

 【C級ダンジョン踏破者】C級のダンジョンを踏破した者に与えられる称号。魔物から得られるアイテムの品質や能力の上昇効果がある。

 【強者喰い】自分より遥かに強い強者を葬った者にだけ与えられる称号。スキル【魂喰い】を得られる。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 氏名:リーシア・オーガン

 職業:アタックガーディアン・Lv50

 情報:オーガ(変異種) 女 15歳 従者

 HP:9000(S)

 MP:300(E)

 筋力:2000(S)

 耐久:2000(S)

 魔力:100(E)

 俊敏:500(B)

 器用:200(D)

 魅力:200(D)

 幸運:5

 アクティブスキル:【百武の守り(B)】【破壊の斧(B)】【鉄壁(D)】

 パッシブスキル:【身体強化(A)】【斧盾術(B)】【体術(D)】

 魔法スキル:

 ユニークスキル:【絆】

 称号:【C級ダンジョン踏破者】


 【鉄壁(D)】発動時に被ダメージを削減する。

 【体術(D)】体の動かし方にプラス補正。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 氏名:サンルーヴ

 職業:忍者・Lv1

 情報:狼獣人(ブラッドウルフ種) 女 15歳 従者

 HP:5000(B)

 MP:1000(C)

 筋力:1000(B)

 耐久:300(D)

 魔力:500(C)

 俊敏:2500(S)

 器用:700(B)

 魅力:1000(B)

 幸運:5

 アクティブスキル:【立体起動(B)】【回避(E)】

 パッシブスキル:【脚力強化(B)】【隠影術(E)】【気配感知(E)】【暗殺術(E)】【双短剣術(E)】

 魔法スキル:

 ユニークスキル:【絆】

 称号:【C級ダンジョン踏破者】


 【回避(E)】発動すると回避率が向上する。

 【隠影術(E)】影や風景に隠れ行動することで発見されにくくなる。

 【気配感知(E)】周囲の気配に敏感になる。【気配察知】の上位スキル。

 【暗殺術(E)】暗器や毒などの暗殺術に優れ、足音もなく近付き獲物を仕留める。

 【双短剣術(E)】短剣を両手に装備して戦う術に優れる。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 氏名:セーラ

 職業:賢者・Lv1

 情報:ヒューマン 女 16歳 従者

 HP:1000(D)

 MP:5000(S)

 筋力:200(D)

 耐久:200(D)

 魔力:2000(S)

 俊敏:400(C)

 器用:600(B)

 魅力:1000(A)

 幸運:20

 アクティブスキル:【視力強化(B)】【集中(B)】【魔物鑑定(C)】

 パッシブスキル:【弓術(B)】【気配察知(B)】【魔力操作(E)】

 魔法スキル:【風魔法(D)】【炎魔法(E)】【氷魔法(E)】【雷魔法(E)】【神聖魔法(E)】

 ユニークスキル:【絆】

 称号:【C級ダンジョン踏破者】


 【魔力操作(E)】魔力の操作に長け、MP消費削減、魔法威力増加。

 【炎魔法(E)】炎を操作する魔法。

 【氷魔法(E)】氷を操作する魔法。

 【雷魔法(E)】雷を操作する魔法。

 【神聖魔法(E)】回復系魔法やアンデッド系魔物の浄化に特化した魔法。




 俺もそうだが、皆もパネェわ。

 インスに聞いたけどサンルーヴの忍者は斥候や隠密系職業の上位職業だし、セーラの賢者も魔導師系職業の上位職業だ。リーシアのアタックガーディアンもそうだが、これらの3つの職業は勇者や英雄並みの希少な職業なんだよな。

 俺自身のテイマーもそれなりに珍しいが3人の職業には負けるよ。


 見てもらえばわかるが、俺はあのツキヨミ様にインスのヴァージョンアップを希望したのだ。インスの『回答の権限がない』という制限を外してほしい。それができない場合は俺の質問に対して何らかの行動指針となるヒントを出せるように、と希望した。

 そして得られたのが【ナビゲーター】のヴァージョンアップアイテムの『英知の書』だ。この『英知の書』を読んだことで【ナビゲーター】が【ナビゲーターα】にヴァージョンアップした。

 そしてインスは俺の質問に対する回答制限はあるもののヒントを出せるように制限が緩和されているのだ。


 そしてあのリッチ(ダンジョンマスター)を倒したことで【強者喰い】という称号を得て【魂喰い(E)】なんていうユニークスキルを手に入れてしまった。これって能力吸収系や強奪系のヤバいスキルだよね? 最強系主人公一直線って感じ?


 リーシアについては簡単でリーシアがツキヨミ様に希望したのは最高ランクの装備だ。リーシアは俺を守るために必要な強さは自分の努力で手に入れるが、そのリーシアに追従できる強力な装備が欲しいと希望した結果、『常闇の鎧』という鎧を手に入れた。どうも防具以外に武器まではツキヨミ様もくれなかったようだ。

 だから俺が【通信販売】で黒魔鉄の斧を購入して渡してやったので今はそれを使っている。

 因みに『常闇の鎧』は黒魔鉄の鎧よりも防御力が高いだけではなく、『自己修復』や『形態進化』という効果が付与されている恐ろしくハイスペックの鎧なのだ。


 サンルーヴについてはツキヨミ様への希望は俺との会話だったが、それを拡大解釈したツキヨミ様がサンルーヴを獣人にしたらしい。そして忍者という職業に就いたことで元々俊敏が高かったサンルーヴが更にスピード特化になってしまった。

 獣人化したことでHPと耐久は下がったがそれ以外は軒並み上がっているので強化されたと考えていいだろう。

 まぁ、スピード特化で【回避】なんてスキルもあるのだから「当たらなければどうということはない!」だね。


 セーラはツキヨミ様からペンダントを貰っていた。最初にそれを見た時はセーラも女の子なんだと思ったが、【鑑定】してみたらビックリ! 『賢者の卵』という名のペンダントだった。

 この『賢者の卵』というペンダントの効果は『職業を選ぶ時に強く願えば賢者を選択できる』という破格の性能だ。

 元々、魔導師系の風魔法使いという職業に就いていたが、ソロではなかなかに厳しい職業だったらしくソロ向きの狩人に転職した経緯があるらしく、仲間を得てなおかつサンルーヴ(この時はブラッドウルフ)が斥候として優秀なので本来の魔導師系の職業に戻ろうと考えていたところにツキヨミ様が現れ願いを叶えてくれると言うのでこのような流れになったそうだ。


 皆、自分の進みたい道に進んだ、って感じらしい。リーシアやサンルーヴは俺に絡んだ選択のような気もしないではないが、本人たちがそれで満足なら何も言うことはない。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ