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017_死者の迷宮1

 


 赤の塔の街に行く途中で野営をしようと街道から少し脇に入ったらなんかお城が建っていた。いや、お城だった廃墟があった。

 リーシアやセーラが面白そうだから探索しようと言うが、俺は気が乗らない。


「何か金目の物が残されているかも知れませんよ?」

「主は俺が守るから大丈夫だ!」

「ワオン!」


 見た目がもうお化け屋敷だし、今にも崩れ落ちそうなお城だった建物を見上げ2人と1匹はノリノリだ。

 結局押し切られ廃城に足を踏み入れる。


「サンルーヴ、先行して索敵をしますよ」

「ガウ!」


 セーラとサンルーヴが先行してリーシアが俺の傍に付く。いやいや、おかしいよ、何でセーラとサンルーヴで索敵するの? せめてサンルーヴは残ってよ。何かあったら怖いじゃん。

 暫くするとセーラとサンルーヴが戻ってくる。


「前方の角を曲がると広場になっていますがそこに魔物が居ます。どうもゾンビのようです」

「ぞ、ゾンビ! 大丈夫なの?」

「ゾンビは動きが遅く頭を破壊すれば倒せますので大丈夫ですよ」

「主、俺に任せろ!」

「ワオン!」


 角を曲がると確かにゾンビが居た。それもウヨウヨともう数えきれないほどのゾンビだ。


「どうするの、これ?」

「ぶっ飛ばすに決まっている!」

「あ、あの、リーシアちゃん? 数が半端なく多いのですが?」

「問題ないぞ、主!」

「大丈夫ですよ」

「ガオ!」


 そう言うと1人と1匹はゾンビの群れに突貫していった。てか、リーシア君、君が突貫してどうするのよ! 君は俺の護衛じゃないのか!

 残ったのは俺とセーラ。セーラは複合弓からシュパッ、シュパッ、と矢を放ちゾンビの頭部に命中させる。

 リーシアは斧を一振りすると2体のゾンビの頭部を破壊し、その逆の手に持っている大盾を振り上げゾンビを弾き飛ばす。

 サンルーヴに至ってはゾンビの頭部を踏み台にしてピョンピョン飛び回り次から次にゾンビの頭部を破壊していく。


 もうやだ、この娘たち。


「主、終わったぞ」


 ゾンビの体液を全身に浴びたリーシアやサンルーヴが笑顔で近づいてくる。バッチいから触るなよ。

 触りたくないけど触らないとストレージに回収できないし、ストレージ内にあるか触っていなければ【通信販売】で出品できないので嫌でもゾンビだった物に触るしかない。


 それからもドンドン奥に進み、地下に降りる……階段を見つけてしまったので降りてみる……俺は嫌だと言ったんだけど無理矢理連れていかれる。


「ゴーストですね、物理的なダメージを与えることができないので少し厄介な魔物です」

「じゃぁ、帰ろう!」

「何を言っているのだ、主は魔法発動体の杖を持っているではないか」


 え? 俺に戦えと?

 いやいやいや、それは怖いじゃん! もし反撃されたらどうするんだ!


「俺が主を守るから大丈夫だ!」

「微力ながら私も援護します!」

「ガウガウ!」


 何か無理押しされちゃった。はぁ~、勘弁してくれ。


「ゴーストに限らず死霊系の魔物には光や火、それと雷系の魔法がよく効きます。他の属性でもダメージを与えることができますが、闇属性の魔法は効果ありません」


 今俺が持っている魔法の杖は炎、水、風、大風、土と回復の杖なので、アイテムポーチから炎の杖を取り出し構える。本当は火の杖で良いみたいだけど、MP込め過ぎて1発で壊してしまったからなぁ。勿体なかったな……


『インス、炎の杖にはどの程度のMPを込めれば良いかな?』

『はい、15から25程度で十分です。最大で50ほどであれば壊れることもないでしょう』

『サンキュー』


「MP25を消費し、我が敵を炎の渦にて焼き滅ぼせ、ファイアストーム!」


 車、車、車、と書いて(とどろき)と言うけど、轟轟(ごうごう)と燃え盛る炎の渦が俺のMPと引き換えに現れ2体固まっていたゴーストを炎の渦に飲み込んだ。

 10m以上はなれているのに炎の渦から発せられる熱が俺の顔を火照(ほて)らせる。

 暫くして炎の渦が収まるとゴーストは消えており、ゴーストの居た場所に2つの魔石が落ちていた。

 ゴーストは討伐すると魔石しか残さないようであまり美味しい獲物ではない感じだ。


「ゴーストの魔石は高値で売れます」


 魔石を拾い上げて俺に手渡してきたセーラが嬉しそうに言う。

 そんなに高値で売れるのか? ゾンビなんか1体でたった12000円だったんだぞ?

 早速【通信販売】でゴーストの魔石を売りに出すと、何と1個105000円にもなった。魔石だけでこの値段って凄いよね?


 地下1階はゾンビとゴーストしか出ないようでゴーストが出てきたら俺が魔法をぶっ放す感じで進んでいく。そしてかなり奥に現れた大きな扉。


「ここってもしかしてダンジョンじゃないですか?」

「うむ、ダンジョンの可能性は高いだろうな」

「ガウ?」

「ダンジョンだとするとこの扉は」

「ボス部屋だと思います」


 やっぱりボス部屋なんだね。


「ボス部屋だとすると、入ると一定時間は扉が開かなくなります」

「うむ、物理が効けば良いが、ゴーストのような魔法でしかダメージが与えられないような魔物だと主頼みになる。主、MPは大丈夫か?」

「MPは問題ないけど、帰ろうよ……」

「何を言っているのだ、そこにボス部屋があるのに入らないなんてあり得んだろ!」


 リーシア(お前)はどこの登山家だ!

 この娘たち、ボス部屋入る気満々なのね。もう何も言わないけど、君たちの脳筋ぶりは改善の余地があると俺は思うのだよ。あの脳筋3人娘と変わらないじゃんか!


「少し休んだら入るぞ」


 もうリーシアが主みたいになっているね。

 1時間ほど休憩して軽食を摂る。この廃城のダンジョンに入ってから4時間ほどが過ぎているので小腹も空いていたので美味しくサンドイッチを食べる。

 デザートのチョコムースとダージリンティーはリーシアとセーラに好評だ。

 サンルーヴには主食に牛のもも肉5Kgとデザートにカルガモ1羽を与えた。どっちも主食だよな? まぁ、サンルーヴが喜んでいるから良しとしよう。


「あれはグールにハイゴーストですね」

「グールは俺たちに任せてもらおう。主はハイゴーストを頼む」


 グールは人間に比べるとやや劣るらしいが、ゾンビよりも動きが素早いそうだ。そんなグールが10体も居るし、中央にはグールを従えるようにハイゴーストが1体フワフワ浮いている。

 グールの見た目はゾンビを筋肉質にした感じでパワーがある感じだ。そしてハイゴーストも普通のゴーストより大きく、どうやら【凍える声】というスキルで敵対するものに恐慌の状態異常を与えるそうだ。


「主が魔法を発動させたら攻撃開始だ」


 リーダーシップを発揮するリーシアに頷く。そして皆を見てから詠唱を始める。


「MP45を消費し、我が敵を炎の渦にて焼き滅ぼせ、ファイアストーム!」


 杖が壊れない程度にMPを込め、ファイアストームを発動させる。俺たちの目の前にこれまでの数倍の規模の炎の渦が現れハイゴーストと周囲に居たグールを飲み込む。

 炎の渦は轟音を立てながらあらゆるものを焼き尽くさんとするほどの勢いで燃え盛る。


「グローセさん、少しやり過ぎですよ」

「主がこれほど戦闘に飢えていたとは思わなかったぞ」

「ガウガウ」


 ちゃうよ、反撃されるのが嫌だからできるだけMPを込めて一撃必殺を狙っただけだよ。それなのにハイゴーストだけじゃなく周囲に居るグールまで巻き込んでしまうとは思ってもいなかった。

 てか、あのスタンピードで経験値が一杯入ってきたのでレベルが上がって45のMPなんて大したことないのが恐ろしい。

 経験値は俺自身が得る必要はなく、従者や従魔が得ると一定の割合で俺にも入るようなのでリーシアやセーラ、そしてサンルーヴが戦闘で得ると俺にも自動で何割かが入ってくる。

 直接得るよりは少ないが、それでも戦闘が好きな2人と1匹なのでドンドン俺に経験値が入ってくる。


 炎の渦が終息すると焼け焦げた床にグールだったと思われる塊が幾つかとハイゴーストの物と思われる魔石が転がっている。

 どうもファイアストーム1発で戦闘は終わったようだ。一方的な虐殺とも言う。



 氏名:グローセ・ヘンドラー

 職業:テイマー・Lv21

 情報:ヒューマン 男 20歳

 HP:390(C)

 MP:4150(EX)

 筋力:110(C)

 耐久:105(C)

 魔力:100(C)

 俊敏:105(C)

 器用:1252(S)

 魅力:1222(S)

 幸運:100

 アクティブスキル:【鑑定(S)】【偽装(A)】【魔道具作成(E)】【テイム(D)】

 パッシブスキル:

 魔法スキル:【時空魔法(D)】

 ユニークスキル:【通信販売(E)】【ナビゲーター】



 氏名:リーシア・オーガン

 職業:アタックガーディアン・Lv25

 情報:オーガ(変異種) 女 15歳 従者

 HP:3100(S)

 MP:122(E)

 筋力:954(S)

 耐久:964(S)

 魔力:40(E)

 俊敏:242(B)

 器用:71(D)

 魅力:71(D)

 幸運:5

 アクティブスキル:【百武の守り(D)】【破壊の斧(C)】

 パッシブスキル:【身体強化(C)】【斧盾術(C)】

 魔法スキル:

 ユニークスキル:【絆】



 氏名:サンルーヴ

 情報:ブラッドウルフ ランク3 女 15歳 従魔

 HP:6500(B)

 MP:610(E)

 筋力:900(B)

 耐久:650(C)

 魔力:120(E)

 俊敏:1050(B)

 器用:110(D)

 魅力:110(D)

 幸運:5

 アクティブスキル:【牙術(D)】【爪術(D)】【立体起動(D)】

 パッシブスキル:【脚力強化(D)】

 魔法スキル:

 ユニークスキル:【絆】



 氏名:セーラ

 職業:狩人・Lv17

 情報:ヒューマン 女 16歳 従者

 HP:296(C)

 MP:266(C)

 筋力:134(B)

 耐久:56(D)

 魔力:56(D)

 俊敏:144(B)

 器用:264(A)

 魅力:92(C)

 幸運:20

 アクティブスキル:【視力強化(D)】【集中(D)】

 パッシブスキル:【弓術(D)】【気配察知(D)】

 魔法スキル:【風魔法(E)】

 ユニークスキル:【絆】


 

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