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プロローグめいたもの。
その昔、甲斐国に一人の男がいた。
天下一の大大名、戦国時代最強の武将と呼ばれた男がいた。
無敵の騎馬軍団を率い、彼の旗印たる“風林火山”の四文字は、後世にまで語り継がれた。
その名は、武田信玄。
この物語は、武田信玄の物語……ではない。
彼の旗の四文字になぞらえたつながりを与えられながら、年月とともにその事を忘れ散り散りになった四つの家の物語。
それぞれの末裔である少年少女が、運命と偶然により一つところに集まった、その顛末である。
この物語が最後に行き着く先、それは、また別の物語……