表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

第0話 始まりはワンコ


「なにここ」


 知らない場所に出たと思ったら、目の前に知らない人が現れ、突然土下座をし始めた。


「なにこれこわい」


 俺は土下座するその人に恐る恐る声を掛ける。


「…あ、あの〜すいま『スマンかった!!』………」


 声を掛けた瞬間、恐ろしい速さで顔を上げ、再び土下座したその人の物凄い形相に、思わず短い悲鳴を漏らした。


「『…………』」


 その人は土下座の姿勢で、俺は仰け反った姿勢のまま固まっていたが、流石に埒が開かないと思って俺から声を掛けてみる。


「何について謝っているのか判らないですけど、顔を上げて下さい」


 さっき思わず悲鳴を上げてしまった気まずさからつい顔を背けてしまう。

 その人が顔を上げたのを目の端に見たので、気になっている事を聞いてみようとしたがその人に手で遮られる。


『そなたが言おうとしている事は判っておる。……順を追って話そう。ワシは人間達に神と呼ばれとる存在じゃ。そなたが此処にいるのはワシが此処に呼んだ。此処は人間界でいう天国と地獄の間じゃな。三途の川とかの認識でよいじゃろうて。……そうじゃな。そなたは死んでしまった…いや、ワシが死なせてしもうた……。そなたは本来なら事故に遭う事も無い、老衰で死ぬ筈じゃった。ワシのミスじゃ…本当にスマンかった…この通りじゃ』


 目の前のその人…神様が頭を下げた。神様が言う事がすんなりと俺の中に入ってくる。

 やっぱり、俺は死んだんだよな。だよなぁ…グッシャグッシャのトマトのようになった俺が生きてる訳ないよなぁ…。

 そう言えば、死ぬ寸前に助けた珍しい毛並みをしたワンコはどうしたんだろう。


『あの犬ならワシじゃよ』


ゑ………?

(゜Д゜)ポカーン


 目の前で神様が犬の姿に変わった。


「エ゛エ゛ェェェェッ!!!!?」


 実は助けたワンコが神様だったんだ!

Ω<ナ、ナンダッテー!?


『…僕を助けてくれてありがとう。そして、ごめんなさい』


 ワンコは哀しそうに鳴くと申し訳なそうに(こうべ)を下げる。

 ワンコの頭に手を置くと優しく撫でる。

 ワンコは気持ち良そうに撫でられて、尻尾を嬉しそうに左右に振る。


『君は変わった人間だね…。そうだ!死なせてしまったお礼っていう訳ではないけど、転生させてあげるよ!勿論、転生特典も付けちゃうよー☆』


 突然人が変わったような(今はワンコ)口調と雰囲気の神様に少しビビりつつ、頭で思案した事を伝えてみる。

 神様だからか俺の考えが伝わったみたいで、すぐにそれは叶えられるようだ。


『しかし、君は欲が少ないねー。動物と会話出来る、動物に好かれ易くなる、サバイバル技術の向上、身体能力アップとか。…まあ、いいか。そろそろお別れだね。今度こそ長く生きれる事を願ってるよ。じゃあね、バイバイ。○○○くん』


 神様が作り出した扉の前で、最後に振り返ると神様が俺の生前の名前を呼んで、光の粒子となって消えていた後だった。

 扉を潜ると急にふんわりとした眠気に包まれ、俺は意識を手離した。


『あんな能力じゃあとても生き残れるとは思えないなー。よっしー!おまけに色々付けてしまおう☆』


 本人の預り知らぬ所で神様による魔改造が施されているとは彼は露程も知らないのであった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ