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雷の魔導士(前半)

僕を助けてくれようとしたライルは動けない。


僕は必死で火や、水、何でもいいから出そうとする――でもほんの少し、魔力が指先に伝わるだけだった。


僕は、こんな時でも弱い。

何でこんなに弱いんだ。

絶望の淵に立たされたとき、ドラゴンの巨大な爪がゆっくりと振り上がる。


こんなところで終わりたくない。

まだ6年。何のために生きているかもわからない。


強くなりたい。


そう強く想ったとき、僕の手の傷にビリビリと激しい痛みが突き抜け、全身から何かが出そうになった。


ドラゴンは振りかざした爪を一瞬、止めて僕を見た。


「...グ...グァァァ!!!」


一瞬止めたかと思うと、また勢いよく振りかざす。


あ、おわる。


その瞬間。

大きな雷と共に大地が揺れ、ドラゴンの前に1人の男が着地した。

黒いロングコートが風に揺れる。

2、30代くらいの若い男だ。

長い紫がかった黒髪。背中には大きな剣。

男はゆっくり顔を上げる。ドラゴンの瞳よりももっと深い紫の瞳がドラゴンをまっすぐ見据えた。


「でかいな。」


その男はただ一言ボソリと呟いた。


ドラゴンは怒り狂っていた。

雷に撃たれた鱗から紫の魔力が噴き出す。巨大な翼が広がり、暴風が巻き起こった。


「グォォォォォォ!!」

咆哮が空を裂く。

地面が揺れ、瓦礫が吹き飛ぶ。

僕はその場から動けない。


ドラゴンが突如現れた男に咆哮しようとしている。だがその男は動かない。かわりに右手を軽くあげる。指先で空をなぞる。すると空には複雑な魔法陣が一瞬で描かれた。


「展開」


次の瞬間。


ドラゴンが咆哮したと同時に巨大な光の壁がドラゴンの咆哮を跳ね返す。

僕は息を呑む。


男はドラゴンを見上げる。


「悪いな...ガキを狙う魔物は」


背中の剣を抜く。

鋼の音が静かに響く。


「見逃さない」


この男の名は、ヴァルク。


そしてこの出会いが僕の運命を大きく変える。

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