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崩壊した世界でみんなで楽しく生きていく〜サバイバル〜  作者: 伊右衛門


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拡大編9

○ドンッ

大地に飛び降りたオレは周囲を見回す。

近くで眠っていたゴブリンたちがオレが飛び降りた足音でモゾモゾと動き出す。

降りてきたばかりで気づかれては面白くない。

ドシュ

槍を振るい起き出してきたゴブリンたちの頭を一気に撥ね飛ばす。


ふむ、ゴブリンや変異体は城壁から少し離れた所で眠りについているようだ。

オレが降り立った場所にいた不運なゴブリン以外は周囲に見えない。


現在、オレは優子さんと香織さんという素晴らしい妻と嫁のおかげで充実した夜の生活を送る事が出来ている。

しかし、戦闘に関して言えば決して満足出来ているとは言えない。


ゴンの両親の敵討ちみたいな感じだったトロールとの戦いはまずまず満足出来た。

玲子の実兄である獅子男との戦いは集団で倒す事になったのでいまいち満足出来なかった。

一対一なら満足出来ただろうが、状況的にそれは不可能だった。

白いドラゴニュートとの戦いは全く満足出来ず、面白くなかった。

この町から攻めてきた人間至上主義者との戦いでは不満ばかりが残った。装備的には充実していたが鍛練不足で個々の戦闘力が低すぎた。

あれでは玲子とのじゃれあいの方がずっと楽しかったぐらいだ。

この町を包囲したトロールの集団には内心期待していたのだが、玲子たちライカンスロープとの相性の悪さでオレは存分に戦う事が出来なかった。

トロールは限定された空間で足を止めて真っ正面から戦う分には面白い相手なんだが、玲子たちライカンスロープと広い空間で戦うとそのスピードで圧倒されてしまうようだ。

それなりに期待していた分、裏切られたような気分でがっかりした。


結果、オレの戦闘に対する欲求不満は限界を突破したのだ。

こんな欲求不満の状態ではかなり危険だ。

そこで町を包囲しているこいつらで欲求不満を解消してみる事にしたのだ。

ゴブリンは戦闘力的に満足出来る相手では無いが数で補ってもらおう。

本命は未確認の変異体だ。

こちらには期待している。


どうか、楽しい戦いになりますように・・・

どっかにいるかもしれない神様にお祈りしてみる。


オレは静かに城壁から離れていく。

日が落ちるとまだまだ冷える時期だ。

集まった変異体は城壁から少し離れた林の中で休んでいるだろう。

そう考え林に向かっていく。

戦いへの期待で雄叫びでもあげたいがここはぐっと我慢だ。

雄叫びなんてあげるとみんなにすぐに気付かれてしまう。

包囲していた変異体が何故か倒されていたという事にしないとバレた時が怖い。

特に今は町に妻と嫁がいる。あの二人には絶対に内緒にしなくてはいけない。

あの二人が怒るとほんとに怖いからね。


林の中をそっと観察する。

ゴブリンたちは地面に丸くなって眠っているようだ。

その間に見える大きな個体は未確認の変異体だろう。

人工の光が失われて知ったが月はかなり明るい。

これだけ明るければ戦うには充分だ。

しかも周囲には敵しかいないので動く者全てを倒せばいい。


オレはがさがさと音をたてて林の中に入っていく。

物音に気付いたゴブリンたちが動き出す。

一番近くにいたゴブリンの腹を槍で貫く。

「ぐぎゃぁぁ!」

槍の先でゴブリンが悲鳴をあげて暴れる。

その悲鳴で眠っていた他のゴブリンや変異体が目覚める。

悲鳴をあげ暴れていたゴブリンが静かになった。

充分に役目を果たしてくれたゴブリンの死体を槍を振って投げ捨てる。


侵入者(オレの事ね)に気付いた変異体たちがオレを囲んでいく。

もうちょっと緊張しててほしいもんだな。

おかげでいらん手間がかかってしまった。


変異体たちがオレを囲んでいくのを静かに待つ。

警戒しているのか、すぐに襲いかかってはこない。

ふむ、ある程度知性の高い変異体が集まっているのかな?

もっと、こう動物的に動くと思ったんだが・・・

オレを取り囲む変異体たちを見回す。

さくやさんを凶悪にしたような半猿半蛇の変異体。

昼間倒した変異体の仲間なのだろうか?四本腕で四本脚の蜘蛛のような変異体。

全身の体毛が一切無い人型の変異体。

逆に全身毛むくじゃらの変異体はまるで直立した熊のようだ。

う~ん、探していた女王蜂のような変異体はいないなぁ。

まぁ、どんな姿なのか分かんないんだけどね。


さて、そろそろいいかな。

オレは槍を構えて腰を少し落とす。

オレが攻撃体勢になった事に気付いたのだろう。

変異の何体かが襲いかかってくる。

正面から突進してくる二体の変異体の胴体を槍で切り裂く。

おっさんが鍛えた槍は二体の胴だけでは無く背骨まで断ち切る。

二体の上半身が吹き飛び、その切れ目から臓物がぼとぼと大地にこぼれ落ちる。

周囲に一気に血の匂いが広がる。

「ぐわあぁぁぁ!」

血の匂いに興奮した熊のような変異体が咆哮をあげ向かってくる。

その大きく開いた口に槍を突っ込む。

突き出す力と突進力で槍の穂先が変異体の後頭部から突き抜けた。

「ぬう!」

そのまま槍を捻ってその巨体を捩じ伏せる。

「があぁぁ!」

今度は悲鳴をあげ熊のような変異体がのたうち回る。

頭部を槍で貫通したのに頑丈な奴だ。

のたうち暴れる熊の頭に踵を踏み降ろす。

ぐしゃ

湿った音を立てて頭が潰れる。

びくびく痙攣する体躯をオレを取り囲む変異体どもに蹴り飛ばす。

それを見た変異体の気配が明らかに変わる。

人望(?)のある変異体だったのかな?

「ぎゅわぁぁ」

妙な声をあげて変異体たちが一気にオレに襲いかかってきた。


ーそうそう、それでいいんだ!

槍を縦横無尽に振り回し、変異体たちを撃退する。

がくん

踏み出した右足が不意に止まる。

半猿半蛇の尾がオレの足に巻き付いている。

「ふん!」

尾が巻き付いたまま右足に力を込め半猿半蛇の変異体を引き寄せる。

まさか、片足で引き寄せられるとは思わなかったのだろう。

変異体の顔が驚愕に歪む。

「よう!」

すぐ近くまで引き寄せた半猿半蛇の頭を握る。

「じゃあな!」

掴んだ頭を握り潰す。

潰れた頭から目玉や脳みそが飛び散る。

オレの半身に血が降り注ぐ。

ペロリ

「はははっ」

思わず笑いが溢こぼれる。


蜘蛛のような変異体は背後からの攻撃が得意なのか、玲子の時と同じようにオレの背中にしがみついてきたが、そのまままとわりつく手足を引き千切る。

玲子とは膂力が違うのだよ!そんな細い手足でオレを拘束するのは不可能だ。

毛の無いハゲ変異体は人型なのに骨が無いのか、全身をくねらせてオレに襲いかかってきた。

なんかでかい触手のようで気持ち悪い。触手は美女には似合うがゴリマッチョには似合わない。

「キモいんだよ!」

近付いて来るハゲ変異体を槍で薙ぎ払う。

「あん?」

ハゲ変異体に当たった槍が滑る。

体表から油のような粘液を出しているようだ。

「ますますキモい!」

近付いてきたハゲの頭付近を掌底で打つ。

衝撃でハゲ変異体の頭がへこむ。

大地に転がるハゲ変異体を見て、ふと思い付く。

ガキンッ

近くの岩を槍で擦ってみる。

ボッ

飛び散った火花を浴びたハゲ変異体の体躯に火が灯る。

ひょっとしてこいつの体躯を搾れば油が簡単に手に入るんじゃないかな?

まぁ、食用油には使えないだろうけど。

ただ倒すだけでは無く有効利用出来る変異体もいそうだな。

後でゆっくり調べてみよう。


その後も多いに戦いを楽しんだ。

肉体的に脆弱なゴブリンは槍を振るうまでも無く、移動するオレの肉体に当たっただけで死んでいく。

戦いで興奮した他の変異体が踏み潰したり棍棒代わりに使ったりもしている。

また、血の匂いでとち狂った変異体の中にはゴブリンたちを食い始める個体までいる始末だ。

もしかしたらゴブリンたちは戦力というより食料として利用されているのかもしれないな。


徐々に空が明るくなってきた。

周囲を囲んでいた変異体たちもほとんどゴブリンばかりになってきている。

大型の変わった変異体は大体倒した。

さすがに200体以上の大型種を倒すのはオレにも骨が折れた。

いつも使っている槍はすでに折れ曲がり、予備の槍も最後の一本を使っている。

オレは鎧で身を包んでいるが、何度も攻撃を受けその鎧もぼこぼこに変形してしまった。

特に針のような牙を口の中一杯に生やした変異体に噛まれた傷が酷い。

傷は深くは無いのだが、肉を持っていかれてしまった。

ムカついたからそいつの頭はお返しに噛み潰してやった。

結構、旨かったので驚いた。

変異体の利用方、真剣に考えた方がいいな。


大型の変異体を倒す度に注意していたのだが、例の妖精もどきは出てきていないと思う。

オレも戦闘で興奮していたから確実では無いが、少なくても倒した個体から妖精もどきは飛び出していない。

う~む、あれはトロールにしか寄生しないのだろうか?


周囲にわずかに残る大型の変異体を狙って倒していく。

視界の中に残った最後の大型種を倒した時、その胸がもぞもぞ動き始めた。

その胸に手を突っ込む。

まだ、生きていた変異体が暴れるが押さえつけ手を内部に突き入れる。

手の中に何かを捕まえた。

その手を変異体の体躯から引き抜く。

血塗れの妖精もどきがオレの手の中でじたばた暴れている。

ー見っけ!

妖精もどきは口を開いてオレの指を噛んでくるが、掌を刺されるような感覚は無い。

攻撃してくる生き残りのゴブリンたちを槍で薙ぎ払う。

妖精もどきを助けようとしてるのか?

疑問はあるが、オレは妖精もどきを握ったまま自分の懐をごそごそ探る。

取り出した紐を苦労して暴れる妖精もどきの首にしっかり縛り付ける。

ーこれで良し!

オレは手を開いて妖精もどきを解放した。

妖精もどきは紐を着けたまま、オレの手から飛び立っていった。




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