マンション編6
隣の部屋の前に移動する。
確かここは気配がしなくなった部屋だよね。
少し迷ったが、チャイムは鳴らさずに部屋に入ることにする。
とりあえず、ドアノブをひねりドアを開ける。
なんか慣れてきたな、オレ。
ドアを開けるといやな匂いがする。この匂いは…そっと、匂いのする風呂場の扉を開ける。
ありゃあ、お亡くなりなっている。
ゴブリンになるぐらいなら人のままで・・・
こんな状況なら仕方ないかもしれない。
シャワーヘッドを利用して首を圧迫したらしい。
風呂場を選んだのは、せめてもの気遣いなのだろう。
とりあえず、故人の冥福を祈り、風呂場の扉を閉める。
気を取り直して、部屋の物色に移る。
使えそうな物はあるかな?
おぉ、この部屋の住人は、かなりガタイのいい男性のようだ。
オレでも、着れる服が結構ある。
オレは、期待して玄関の下駄箱を物色する。
オレは、靴が欲しいんだよ。
革靴はさすがに履けないけど、スニーカーやサンダル系ならなんとか履けそうだ。
やったね。
ここの住人が水虫じゃなかったことを祈りながら、足を突っ込んでサイズを確認する。
サンダルはなんとかなるし、スニーカーも紐を緩めればなんとかなる。
部屋を探して大きめのバッグに服や靴を放り込む。
他にも食料を少しとカセットボンベなどの日用品を発見した。
この部屋はお宝部屋だな。
まだ、なにかないかとベランダを見てみると何に使うのか、バールが転がっている。
手に取ってみると金属の塊なので頑丈そうだ。
武器として貰っていこう。
ありがたく使わせていただきます。
さぁ、4階最後の部屋の探索だ。
この部屋からは気配がしないと、北村さんは言ってたけど、念のため、チャイムを鳴らして室内の反応を確認する。
やはり、反応無し。
ドアノブをひねって開ける。
やはり、無人のようだ。北村さん、すごいね。
室内を物色してみるとここの住人は女性だったようだ。
4階には3人の女性が住んでいたのか。
部屋の荷物から、大学生のようだ。
軽く物色してみるが、オレに必要な物はあまり無いだろう。
人が隠れられるクローゼットや押し入れは確認するが、タンスの引き出しなどは遠慮した。
この状況でプライバシーを尊重しても無意味だろうが、この部屋の詳しい探索は北村さんにお願いしよう。
さて、自室に戻ろう。北村さんが寝室に入ってないことを信じて!
部屋に戻ろうと階段に出ると、ふと思い付いた。
エレベーターは動力がないのである程度安全だが階段は登ってこれるので危険だ。
オレはお宝部屋に戻り、寝室からベッドを持って来る。
さすがお宝部屋ベッドもダブルサイズで、階段を塞ぐのにぴったりだった。
これで階段も、多少は安全になるだろう。
このベッドを不安定な階段で動かすのは、かなり大変だろう。
音をたてれば、北村さんの耳にひっかかるだろうしね。
オレは一仕事終えて自室に戻った。
ドアの前でチャイムを鳴らして、自分の名前を名乗る。
しばらくして確認したのだろう、北村さんがドアを開けてくれる。
「おかえりなさい」
「ただいま」
オレは収穫を持って自室に入る。
「どうだった?立花くん」
「北村さんが言ったとおりでした」
オレは、4階の状況を北村さんに報告する。
「そう、4階に残っていた他の皆さんは、全員お亡くなりになったのね」
「ゴブリンになっていた住人は、オレが殺しました。」
「それは、・・・仕方ないわ。こんな状況だもの」
オレは、ただ、説明しただけなのだが北村さんは、オレがショックを受けていると考えているようだ。
オレは全く気にしていないんだけどね。
「それより、北村さんはこれからどうしますか?北村さんの部屋の鍵は、オレが壊してしまったのであの部屋は危険だと思います。エレベーターは使えないけど、階段は登ってこられますので」
「そうね」
「階段も一応塞いで来ましたし、4階からこの階までの安全は確認しましたが、やはり最上階に移動した方が安全だと思います」
「やっぱり、そうよね。せっかく、生存者同士会えたんだし、お互い、できるだけ協力した方がいいわよね」
とりあえず、オレはカセットコンロでお湯を沸かし、コーヒーを入れる。
「一人で部屋にいる時は、カセットコンロもいつガスが無くなるか、びくびくしながら使ってたわ」
北村さんがつぶやくように言う。
そうだろうなぁ。北村さん一人では、ゴブリンの群れはかなりの脅威になるだろう。北村さんは、肉体変異で聴覚が上がっているようだが、それ以外は普通に見える。詳しくは分からないけど・・・
「とりあえず、隣の空き部屋は、鍵を見つけたのでその部屋を使ったら、どうでしょう」
オレは提案してみる。
601号室は北村さんの部屋同様鍵を壊してしまったので、隣の部屋がベストだろう。
空き部屋なので家財道具は無いが、部屋のレイアウトは同じだから、北村さんの部屋の家財道具を移動させれば、ほぼ同じ部屋になる。
ベッドなど、今夜必要な物は今日中に移動させればいい。
オレの提案を聞いた、北村さんは、少し驚いているようだ。
何で?




