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崩壊した世界でみんなで楽しく生きていく〜サバイバル〜  作者: 伊右衛門


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冒険者編8

○「はぁ~」

マスターのため息が車内にむなしく広がる。

「仕方ないって。安全だから島に来た人たちなんだから」

落ち込んでいるマスターをとりあえず慰めてみる。

マスターが落ち込んでいるのは、島から冒険者希望の移住者が一人も出なかったからだ。

ゴブリンがほぼ駆除されてこれから交易が始まる安全な島から、まだまだゴブリンなどの変異体(モンスター)が跋扈する島外で危険な冒険者をやろうって人は珍しいんじゃないかな~

「でも、一人ぐらいはいてもいいじゃない」

「う~ん、小説なんかでも冒険者って変わり者扱いしてる事が多いから難しいんじゃない?」

「やはり傭兵ギルドの方が男っぽくてかっこいいんじゃないか?」

いや、田中さんそれはどっちもどっちだと思うよ。

「まぁ、これから男の人も入るだろうから大丈夫だよ」

「あのアマゾネス集団に入ってくるような男なんてホントにいるのかしら?」

アマゾネスってお姉さんたちに知られたらひどい目に合うよ。

でも、確かにあの集団に入るのは勇気がいるだろうなぁ。

しかも、結構みんな好き嫌いが激しそうな感じだしねぇ。

これは無理かな?

「まぁ向こうで入団希望者もおったからその中に男もおるんじゃないか?」

いや、たぶんいないと思うよ。

「これからがんばって冒険者って仕事の地位を向上させるしかないんじゃない?」

「そうよね。あたしたちががんばれば男の子も入ってくれるわよね」

「そう、そう」

でも、活躍するのはお姉さんたちだからもしかしたら女性の仕事になるかもなぁ。

うちのギルドみたいなゆる~いパーティー編成だと妊娠出産もしやすいかも?

「やっぱりそうなのねぇ」

あっ車内だから心の声が聞こえちゃった。

出来るだけ離れてるんだけどなぁ。

「人の肩に手をかけといてなに言ってるのよ!」

おや?おかしいなぁ?


オレたちはそんな話をしながら基地に向かって行った。

もちろん、塩も干物もすごい量を持たせてもらったよ。

本当に豊漁なんだな。


基地に着いたオレたちは大先生やさとるさんに報告に向かう。

持って帰った塩や干物はお姉さんたちに渡す。

みんな大喜びだ。干物はおいしいし、だしも出るからね。

食事が楽しみだ。


「その馬のような変異体が気になりますね」

さとるさんは島に移住した人が見た変異体(モンスター)が気になるようだ。

「動物にも感染するんですかな?」

これまで動物への感染は確認されてなかったよね。

「ウイルスが変化した可能性もありますし、ライカンスロープの可能性もありますね」

そっか。ライカンスロープの可能性もあったな。

獅子男は獣人だったが完全に獣化するタイプがいる可能性もあるか。

「我々が知っている変異はごく一部ですから、世界的に見ればいろんな変異がいるでしょうね」

さとるさん、なんかうれしそうだな。

いろんな報告を済ませてオレたちはすぐに働きはじめた。

オレたちが基地を離れている間、みんなは休み無しで働いてくれていたのだから当たり前だ。

約1名は精神的なショックを受けていたけど、働いていた方が気も晴れるだろう。


オレは明日から近くの集落に行って動かなくなった車を撤去するという依頼にかかる事になった。

これってギルドでやる仕事かなぁ?なんか、オレだけガテン系な依頼が多いような気がする。

まぁ、近くの集落だし簡単だからいいけどね。

オレたちが戻ったので優子さんは明日はお休みだ。

つまり、今夜は優子さんとゆっくり出来るって事だな。

オレがにやにやしてるのを優子さんがじとっとした目で見ている。


食事を終えたオレと優子さんは部屋に戻る。

今夜のメニューは猪鍋とふかしたジャガイモだ。ここでは定番に近いメニューだがうまかった。

「おいしかった?」

「あれを食べると帰ってきたって感じる」

もしかしたら今夜の食事当番だった香織さんたちが気を使ってくれたのかもしれないな。

「あっそうだ。おみやげ」

オレは首からぶら下げていた小さな袋を優子さんに手渡す。

そこに入っていたのは小さな貝殻だ。

「うわ~きれい。これどうしたの?」

浜をぷらぷらしてる時に見つけたのだ。

ちょっとショボいけどきれいだったから貰ってきた。

「ありがとう」

喜んでくれてなによりです。


優子さんが静かにオレに抱きついてくる。

オレもそっと優子さんの背中に手をまわす。

あ~いい匂いだ。優子さんの匂いだ。

「もう匂いフェチ」

優子さんが軽くオレに頭突きをしてくる。

「さびしかったよ」

そのまま、ぐりぐり頭を擦り付けてきた。

もう、しんぼうたまらん!


結局、そのまま朝までオレと優子さんは愛を確認した。


「優子さん、服とごはん持って来たよ~」

オレはベッドで毛布にくるまる優子さんに猫なで声で話しかける。

昨夜っていうか今朝は少々やり過ぎた。

久しぶりだったので歯止めが効かなくなってしまったのだ。

毛布の中からにゅっと手が出される。

オレはその手にそっと服を渡す。

服を掴んだ手が毛布の中に戻り、毛布の中がごそごそ動いている。

「優子さん、もう大丈夫だって」

昨夜は優子さんを見る度に襲いかかってたから警戒してるなぁ。

毛布が少し下ろされそこから優子さんの目がオレをじ~っと見ている。

「オレ、もう落ち着いたよ」

しばらく、オレの様子を観察してもう大丈夫だと判断したのか優子さんの顔が毛布から出てきた。

「真人、昨日はやめてって言ってもやめてくれなかった」

「すいませんでした」

オレは優子さんに頭を下げる。

昨日のオレはちょっとひどかったよな。

「身体中、(あと)だらけでしばらくお風呂入れないよ。みんなと一緒なのに」

「申し訳ありませんでした」

オレはさらに深く頭を下げる。

優子さんは少しため息をついて、下げているオレの頭をわしゃわしゃ撫ではじめた。

少し爪がたって痛いけど、がまんだ。

「私一人だと真人の相手出来ないんじゃないかな~」

「そんな事ないって。昨日は久しぶりだったから特別だよ」

あれほど離れるのは初めてだったからなぁ。

「でも、これからギルドのお仕事で離れる事もあるかもしれないよ」

「それはあるかもしれないけど」

これからギルドが忙しくなれば会えない日が増えるかもしれない。

寒くなれば大先生やさとるさんは活動時間が短くなるだろうし、そうなると医療知識を持った優子さんは忙しくなってしまうだろう。

「私、まだヒリヒリっていうかジンジンするもん」

優子さんが唇を尖らせる。

「ねぇ真人、香織の事、真剣に考えてみたらどうかな?」

香織さんの事かぁ。でもなぁ

「私、香織だったらいいよ。香織とならうまくやっていけると思うの」

う~ん。

「でも、香織さんがオレの事を好きかどうか分かんないよ」

優しくしてくれるけどそれが好意とは限らないんじゃないかな?

「だから、真人から香織の気持ちを確かめるの!」

それ、トロールと闘うより難しそうだなぁ。

「分かった?」

「は~い」

はぁ、大変な事になったなぁ~



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