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サバイバル  作者: 伊右衛門


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閑話3

★部屋に戻ったわたしは自分の気持ちをゆっくりと考えてみる。


これは感謝なのだろうか?

危険から助けてもらったのは事実だ。

あの時はもうこれでおしまいだと思っていた。


そんな時に彼が助けてくれた。

その後もわたしたちが生きていけるように手助けしてくれた。

もちろん、お屋敷のみなさんも助けてくれたがわたしは彼の事をいつも目で追っていた。

肉体が大きいから目立つのだ。


彼は美しい女性といる事が多かった。

彼女はわたしたちにも優しかった。

決して、不用意に立ち入る事はせず、そっと見守り支えてくれた。

みんなも彼女に感謝している。


わたしと彼女は年齢が近く話しも合った。

彼女から弓を教わる時に少し彼について聞いてみた。

彼女は彼を愛していた。彼も彼女を愛していた。

眩しく羨ましく微笑ましかった。

でも、ちょっぴり胸が痛かった。


ある日、森に一人で行った。

少し危険だけど弓は持って来ている。

教わった罠を自分なりに改良してみたので仕掛けに行ったのだ。

わたしが作った罠は自分で言うのもなんだが出来が良く、獲物がかかることが多い。

獲物がかかると彼もみんなも喜んでくれる。

獲物に気づかれないように静かに歩く。


なにか物音がした。

森の奥が熱いような感じがする。

なんだろう?

わたしは注意しながらそっと近づいた。


あの二人が森の中で愛し合っていた。

激しく愛された彼女は蕩けるようになり、彼は野獣のようだった。

わたしは思わずその行為に見いってしまった。

二人は貪るように愛し合っている。

わたしが経験したただモノとして扱われるそれとはまったく違っていた。


激しく愛し合っていた行為が終わった。

今、動くと彼女に気づかれてしまう。

彼女は気配に対して敏感だ。

わたしはそのままじっと身を潜めていた。

やがて二人が去っていった。

良かった。気づかれなかった。


わたしはほっとして二人が愛し合っていた岩にそっと手を振れた。

冷たいはずの岩肌が二人の体温で温まっている。


岩肌に何かが付いている。液体でも固体でもない、ゼリー状のモノ。

わたしは導かれるようにそれにふれた。指に付着したそのモノを半ば無意識に舐めてみる。徐々に自分の身体に染み込んでくるみたいだ。

肉体の中心が熱くなるのを感じる。

かつてのように無理矢理熱くされるのでは無い。

わたしの肉体が自ら熱く潤んでいく。

わたしの指が無意識に動き始めた。


わたしは我にかえった。

なにをしているんだろう?

あさましい。

自己嫌悪に浸りながら村に帰った。

罠を仕掛けるもの忘れてしまった。


でも、その夜、わたしは昼間の事を思い出しながら自分を慰めた。いや、あの味を思い出しながら・・・

あれを思い出すだけでわたしは情けないほど潤んでしまう。

あんな目にあったのに・・・わたしは淫らだ・・・


いろいろあってわたしは冒険者とやらになった。

最初の依頼は彼と一緒だった。

その依頼の最中、夜営することになった。

わたしは彼の寝顔をはじめて見た。

村のみんなの中には彼を怖がる者もいる。

確かに彼からは男というより雄の匂いがする。

あの件が忘れられない者にはこの雄の匂いはキツいだろう。

しかし、あの件から立ち直った者には人気がある。

そういった者にはこのむせかえるような雄の匂いがたまらないのだ。

だが、そんな者も彼女の存在を忘れはしない。

彼も彼女も我々の命の恩人だ。

みんなのように二人の事を応援するべきだ。

頭では理解している。

しかし、あの味を知ってしまったわたしにそれを忘れる事は出来ない。

あの味を思い出した事で、また肉体が潤んでしまう。

たとえば、今、彼の毛布の中に潜り込んだらどうなるのだろう?

彼女のように激しく求められるのだろうか?

・・・決してそうはならないだろう。

彼は彼女以外を求めていない。

彼は女を求めているのではないのだ。

それが理解できる自分が悲しく感じる。

わたしはすこし泣いた。


わたしたちは依頼を果たし、基地に向かっている。

彼はご機嫌でにやにやしている。

彼はすぐに表情に出るのだ。

それがかわいいと思ってしまう。

我ながら、かなりの重症だ。


彼はわたしの後ろからゆっくり歩いている。

無意識なのか、わたしの歩調に合わせてくれている。

彼は後ろからわたしのどこを見ているのだろう?

髪だろうか?

背中だろうか?

もっと露骨なとこを見ているのだろうか?

でも、どこも見ていないのかもしれない。


わたしは彼がどこを見ているのかを知りたくていきなり振り返った。

彼は優しくわたしを見ていた。

それが分かると口が勝手に動き出した。

マズい、マズい、マズい。

優しく笑っていた彼の表情が困ったように歪んだ。

今、言ってはいけない。

それは牝としての本能だった。

わたしはとっさに以前の事のお礼を言った。

きちんと頭を下げたのは自分の表情を隠すためだ。


それからいろいろな事を話した。

さっきの事をごまかす為でもあるが、気になっていた事を思いきって聞いてみる。

彼から見たらわたしたちは汚らわしいのだろうか?

これまでの彼の態度からそうではない事は分かっているが聞いてみたかった。


わたしたちは無事に基地にたどり着いた。

ゲートで彼女が待っていた。

彼女を見つけた時の彼の表情はさっきよりずっと優しく笑っていた・・・


彼と別れ、わたしは宿舎に向かう。

彼は彼女と今回の件を報告に行く。

わたしはそれをじっと見ていた。


彼の太く大きな腕はわたしのウエストを越えるだろう。

肉体の割りに頭が小さい。

首は太く筋肉の筋が浮かんでいる。

背中の盛り上がりがすごい。


そっと彼の味を思い出す。

疲れているのに、今夜は眠れそうになかった。


自分を押さえる自信がどんどん崩れていく。


彼と二人になるのは危険だ。


でも、二人になりたい・・・





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