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サバイバル  作者: 伊右衛門


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移住編3

○オレたちはバスに戻り、今後の計画を立てた。

まず大事な事は二人の救出だ。

やつらの壊滅や女性の救出は目的ではない事を確認する。

もちろん、捕らえられている女性を救出するチャンスがあれば救出するが、二人を犠牲にしての救出はありえない。

みんなには内緒だが捕らえられている女性を囮にして二人が助けられるなら、オレはそうするつもりだ。

別に女性たちを見殺しにしたい訳じゃないけどね。


最も集中力が低下する夜明け間際にこちらから攻撃を行う。

攻撃された相手はこちらを確認する為に基地から出てくるだろう。

ある程度、敵が拡散したら基地内に侵入して監禁されている二人を救出する。

大雑把な計画はこんな感じに決まった。

本当はもっと情報収集をしたり内部の構造を調べたりしないといけないのだろうが、あまり時間を掛けてオレたちが殺害した二人が戻ってこない事で警戒レベルが上がるのは困る。


問題は相手が持っている小銃だが、全員が持っている訳ではない事は確認した。

オレと優子さんが侵入部隊で田中さんの指揮でみんなが攻撃部隊だ。

相手の小銃は当たり前だが、こちらの弓やクロスボウより威力が高く射程が長い。

しかし、弓には弓の利点がある。

それは曲射が可能な事、火矢などが簡単に使える事だ。

攻撃は遮蔽物に隠れて、灯油などを利用した火矢の曲射がメインになる。

それ以外にもガソリンなどを使って火攻めにするつもりだ。

攻撃にはトリカブトの毒矢も使うつもりだ。

知恵と勇気だけでは武器の差を埋められないので悪どさもプラスさせてもらおう。


捕まっている二人に危険が及ぶかもしれないが、敵の方が武器が勝っている以上これ以外の方法を思い付かない。

数本だけだが、さとるさんがしゃれで作った鏑矢がある。

射ると独特な音がするのでこれを聞けば二人はオレたちが来た事が分かるはずだ。

そうすれば二人の事だから自力で脱出してしまうかもしれない。

そこまでは期待しすぎかもしれないが、こちらに協力はしてくれると信じる。


オレと優子さんは夜中の間に基地の近くまで接近する。

少し離れた林の中でせっせとガラス瓶にガソリンを入れて火炎瓶を作る。

必要なのはガソリン、瓶、布だけだがガソリンまみれになれば銃の使用はしにくくなるだろう。

ちなみに大先生のアドバイスで中に砂糖や1円玉を削った粉を入れた火炎瓶も作ってみた。

なんでも対人用には、こっちの方がいいらしい。

大先生、なんでそんな事知ってんの?


周囲が徐々に明るくなってきた。

そろそろ、開始予定時間になるな。

オレたちは基地の近くまで移動して待機する。

基地の前には警備をしている男が二人いるがほとんど警戒はしていないように見える。

圧倒的な武器を持っているやつらからすればゴブリンは驚異にならないのだろう。


空に甲高い独特の音が鳴る。

鏑矢だ。

オレと優子さんは立ち上がる。

優子さんは基地の前に立つ二人に矢を射る。

オレは火を付けた火炎瓶を二人に投げる。

まずはこの二人を無力化しないといけない。

優子さんの矢が一人の胸辺りを射抜く。

オレの投げた瓶が二人の足元で割れ、炎で辺りが明るくなる。

砂糖を混ぜた事で粘性の増したガソリンが足にこびりついたのだろう一人が炎の中で躍り狂う。

優子さんの矢で胸を射られた一人はそのまま炎の中に倒れていく。

基地の中に逃げようとした男の背中に矢が刺さり、男が倒れる。


オレは火炎瓶を基地の中に投げ込む。

火を付けた物もあるが、目的は辺りにガソリンを撒く事なのでどんどん投げていく。

優子さんが弓を引き絞り周囲を警戒してくれる。

空に火矢が幕のようになって飛んでくる。

なんか花火みたいできれいだな。

ただこの花火は天空ではなく地上で爆発する。

数度、火矢が空を彩り基地の中が炎で明るく照らされる。


基地の中で悲鳴や怒号が響く。

できれば、女性に被害が無ければいいなぁ。

オレと優子さんは林に伏せて様子を窺う。

基地の中から男たちが数人、半裸で現れる。

手には鉈や斧、シャベルをもってるやつもいる。

彼らは怒鳴りながら周囲を警戒する。

そこに再度、火矢が空から降り注ぐ。

大地が炎に包まれ、何人かの体に火矢が刺さる。

火矢をくらい倒れた男の体が炎に包まれる。

火だるまになる事を免れた男たちが基地の外に走っていく。

火矢が射られた方を目指しているのだろうが、すでに攻撃部隊は移動しているはずだ。


10人以上が基地から走っていく。

う~ん、隊列もなにもなくばらばらに走っていってる。

いいのか、あれ?

オレと優子さんはフェンスを引きちぎって内部に侵入する。


あの二人の情報によるとマスターたちが監禁されているのは隊員宿舎の最上階のはずだ。

あの団地みたいな建物がそうだろう。

基地の中は突然の攻撃に混乱している。

この混乱が続いている内になんとか二人を救出したい。

オレと優子さんは建物の陰を伝い宿舎に近づく。


オレたちは物陰から宿舎の様子を窺う。

宿舎の前で一人の男が他の者に指示を出してる。

あれがリーダーかな?

まずいな、リーダーは警戒体制の強化を指示しているようだ。

でも、あれがリーダーならえらく小さいな。

山賊のリーダーだから熊みたいな大男を想像してたんだけど、身長なら優子さんより低い。

美咲ちゃんぐらいかな?


さすがにこちらが2人だけで侵入してるとは思ってないみたいだ。

まぁ、あれだけ好き勝手してきたんだ。

攻撃されるだけの事をしている自覚はあるんだろう。

リーダーは集まった男たちに武装を指示している。


ん?リーダーは小銃を持っているが、集まった男たちは小銃を持っていない。

なんで?そういえば、さっきの半裸男もだれも小銃を持ってなかったな。

それによく考えるとこれまで銃声を聞いてないんじゃないかな?

これまで小銃を持っていたのはリーダーと警備の二人だけだ。

・・・ひょっとして、反乱を警戒して普段は武装させていないのか?


チャンスか?今ならリーダー以外は銃を持っていない。

さっき10人以上が基地から出ていったから、中にいるのは20名弱のはずだ。

もちろん、女性は除く。

そして、ここには20名近くの男がいる。

つまり、ここでやつらを倒してしまえばかなり楽になるのは間違いない。

問題はリーダーの小銃だ。

オレと優子さんは視線を合わせ頷く。


オレたちは静かに移動する。ここからでは周囲の男たちが邪魔でリーダーが狙えない。

少し移動して停められている車の陰で止まる。

ここからならリーダーを狙える。

優子さんがゆっくり弓を引く。オレはそっと槍を構える。

二人で呼吸を合わせる。


優子さんの弓から静かに矢が放たれる。

オレの手から槍が唸りを上げ飛んでいく。


優子さんが放った矢はリーダーの右目に刺さった。

オレが放った槍はリーダーの前に立っていた男の腹を貫きリーダーの胸を貫く。


そこからは簡単だった。

オレの姿を見た男たちは抵抗をやめ、あっさり降伏した。

えらく拍子抜けの態度に驚いてしまう。

しかし、男たちから話を聞いて納得する。


オレたちがリーダーだと思っていたあの小男はリーダーでは無かった。

本物のリーダーは昨日の二人が戻って来なかった事で何かを察知したらしい。

あの二人を探しに行くと言って基地を出てから戻ってきてないそうだ。

だらけた警備の男、簡単に基地を出て行った男たち、武装してなかったこいつら。

全てリーダーが不在だったからだ。

リーダーの容姿に関する情報を取ってなかった事が悔やまれる。


あっさりと仲間ごと基地を捨てて逃げ出した本物のリーダーの決断がちょっと怖いな。

でもまぁ、マスターたちは救出できるからいいか。

マスターたちはここの最上階で無事だ。

もし、リーダーが戻ってきた時に二人を殺しでもしていたら自分たちがヤバイと思った男たちはマスターたちには手を出せなかったようだ。

素早く動いて良かったみたいだ。


優子さんが空に向けて鏑矢を2本放つ。

成功の合図だ。


オレが男たちを見張っている間に優子さんは最上階に向かう。

男たちを脅して聞き出したところ、これでフルメンバーだそうだ。

基地から走っていったやつらは攻撃してきた相手を追ったのではなく、どうやら逃げ出したらしい。

本来は攻撃された時は宿舎に集合する決まりなのだそうだ。

リーダーが戻ってこないまま不安な一夜を過ごしたら、いきなり襲撃されて逃げ出したのだろう。

まぁ、今後生きれるかどうかは不明だがね。


基地のゲートの方からバスが走ってきた。

どうやら、みんなも無事みたいだ。

宿舎の中から聞き覚えのあるバリトンのおねえ言葉が聞こえてくる。

こっちも無事みたいだ。


やれやれ、良かった。


オレはそう思って頭をばりばり掻きながら、空を見る。

すると、不意に誰かに胸の辺りを押された。


ん?なんだ?


押された胸の辺りを見ると黒くなってる。

伏せたりいろいろしたから汚れたんだな。


宿舎の入り口を見るとさとるさんが優子さんの上に覆い被さっている。

こらこら、何してんの?情熱的な感謝でもやり過ぎだよ。

オレはそう言おうとしたが口の中が熱くて言葉が出てこない。

マスターがものすごい顔でこちらに走ってくる。

マスター、ひげだらけだ。


そんな事を考えながら、胸を撃たれたオレはゆっくり膝から倒れた。




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