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崩壊した世界でみんなで楽しく生きていく〜サバイバル〜  作者: 伊右衛門


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接触編1

○オレと優子さんは無事、島に上陸することが出来た。


この島は本土から橋で繋がっているが、島自体がそれほど大きくないので人口は一万人ぐらいなのだそうだ。

この島を選んだのはこの先の島にも橋が繋がっているので、ここで生存者を発見出来なくても、次の島に行く事が出来るからだ。



もっとも、橋の状況を見た限りでは生存者がいると考えられる。

さとるさんによるとゴブリンウイルスからの変異率は2%前後なので、この島で生き残っているのは200名から300名ぐらい。

その後の混乱でさらに人口が減っていると考えると100名ぐらいだろうか?



二人でゆっくりと島を回る。

こうしているとデートに来たみたいだ。

このままデートを楽しんでしまいたいが、そうもいかない。

生存者を探さないと。



生存者が橋を見張っていると仮定した場合、オレたちが来たことは分かっているはずだ。

だから、島内に入れば接触してくると思ったんだけど、誰も来ないなぁ。

「あのね、車を担いで歩く人に会うのはけっこう勇気がいると思うよ」

・・・そうだね。

相手を警戒させてしまったかもしれない。



とりあえず、二人で車を降り歩いて探索してみる。

オレはともかく、優子さんをいきなり攻撃したりはしないと思いたい。

まぁ、優子さんの感覚を考えると不意打ちは不可能に近いんだけど。



オレが車を降り周囲の安全を確認する。

大丈夫かな。

そのあと、優子さんが車から降りる。

車から降りた優子さんがある一点を見ている。



いきなり、家の影から矢が射られた。

風をきって飛んでくる矢を見る。

矢は優子さんではなく、オレに向かってきている。

景色がゆっくりと動く。

こちらに向かってくる矢の回転が見える。

オレは飛んでくる矢を手で打ち払った。

その矢が地に落ちると、次の矢が射られる。

矢は家の中から射られている。

オレはその家に、突進した。

後ろで優子さんがオレの名を呼んでいるが、かまわず、その家に体当たりをする。

家はオレの突進に耐えられず、室内に突入する。

室内には、弓を手にした二人の男性がぽかんと立っている。

家の壁を破って侵入してくるとは思わなかったのだろう。

オレは驚いて硬直している二人に掴みかかり、窓に向かって放り投げる。

開いていた窓から二人の体が庭に落ちる。

地面に叩きつけられた二人が呻き声をあげる。

するとそこで、優子さんのどなり声がした。

「真人!」



現在、オレはさっきの家の庭に正座している。

そして、優子さんにお説教されている。



その後ろでさっきの二人が微妙な顔で苦笑している。

あの後、優子さんは庭に投げ出された二人とオレの間に立ちオレを止めたのだ。

オレが突進した時も優子さんは待つように言っていたのだが、いきなり攻撃されたオレは優子さんの声を聞かずにそのまま家に侵入してしまった。



「生存者の人を探しに来たのに、なんでいきなり応戦しちゃうの!」

優子さんがオレの耳を引っ張る。

優子さん、痛いです。

「まぁ、いきなり矢を射ったわしらも悪かったんだし、その辺で許してあげたらどうだい?」

被害者の二人が優子さんにとりなしてくれる。

そうだよね。

いきなり、矢を射かけられたんだもん。

仕方ない反応だよね。


「そっちのでかいのがお姉さんを捕まえてるのかと思ってな。でかいのもすまなかったな」

でかいのってオレ?

二人にはオレが優子さんを捕まえているように見えたらしい。

失礼な!

これでも村では、ベストカップルなんだぞ。

一組しかカップルがいないのは置いとく。


優子さんはまだ少し怒っていたが、二人がオレの味方をしてくれたので許してくれた。

ありがとう、お二人さん。

ところで、あんたらだれ?


オレたちは、さっきの家から近くの家に移動して話し合うことにした。

さっきの家は壁に大穴が空いて危険だからね。

オレのせいだね。ごめんなさい。

お二人のうち40代後半の人が田中、40代半ばの人が佐藤と名乗った。

田中さんと佐藤さんね。

・・・偽名じゃないよね。


お二人の話によるとこの島には予想通り100名ほどの生存者がいるとのことだ。

正確な人数を教えてくれないのは警戒しているからだろう。

生存者の人たちは二つの集団に別れて行動している。

集団が別れているのは一ヶ所で生活出来る場所がなかったからで二つの集団はお互いに協力しているそうだ。

また、なにかあった時に全滅を避ける狙いもあるんだろう。

二つの集団は島の警備をする自警団を共同で組織して島で生き残っている。

自警団が必要なのは、もちろんゴブリン対策もあるが、パニック初期にここにもホブゴブリンが襲撃してきたからだ。

それから、島の生存者は橋に釘付きの角材を置き島を封鎖した。

無理もないだろう。

最初に襲撃を受けた時には、それなりの犠牲が出たそうだ。


もちろん、橋を渡るオレたちの姿は自警団の人たちに見られていた。

歩いて橋を渡る奴らはいたが、車を担いで渡って来る奴がいるとは思わなかった自警団はちょっとしたパニックになったらしい。

そこでお二人がオレたちを偵察に来たのだ。

偵察してると、オレが車から降りてきた。

そして、優子さんが降りた時にお二人はオレから優子さんを助けるチャンスだと思って、矢を射ったのだ。

まぁ、優子さんが捕まっていると思い込んでいた二人からすればチャンスに見えるだろう。

自分たちがオレの注意を引けば優子さんが逃げることができる。

そう思い攻撃してきたのだ。

いい人たちだ。

自分が危険になるかもしれないのに・・・


オレが少し感動しているとお二人が実状を暴露してくれた。

この島の生存者は男女比がやや片寄っており、女性の数が少ないらしい。

なるほど。

若くて美しい優子さんは助ける価値が高いのね。

・・・オレの小さな感動を返せ。


しかし、オレたちからすると都合がいいんじゃないかな?

こちらは男女比の片寄りが彼らよりはるかに顕著だ。

なんせ若い女性は、優子さんと美咲ちゃんを含めると16名いるのに健全な男性はオレとさとるさんの二人だけ。

マスターは当然除外だ。


100名の集団に優子さんと美咲ちゃんは除外するとして、14名の女性が加わると男女比の片寄りはかなり是正されるのではないだろうか。

オレと優子さんは視線で確認して、オレたちの村の事をお二人に話すことにした。

こちらには若い女性が多く男性が少ない。

女性たちが望むなら移住してもいいと考えていること。

もちろん、移住を受け入れるつもりであることも。


「うれしい話だが、わしらだけで決める訳にはいかん話でもある」

そりゃそうだ。

お二人が集団の代表者二名に会って相談することになった。

来たばかりのオレたちは残念ながら同行は出来ない。

オレたちが悪意をもってここの偵察をしている可能性を考慮すれば当然の選択だろう。

オレと優子さんはここで待つことにする。

この島にはゴブリンはいるが、ホブゴブリンはいないのでオレたちからすれば安全な環境だ。

お二人は自警団と一緒にいることを進めてくれたが遠慮しておく。

こちらもまだ警戒はしておくべきだろう。

話からして自警団は10名前後らしいのでなんとかなるけどね。


翌日、オレたちのところにお二人と一緒に二人の人物がやってきた。

集団の代表者だろう。

「田中さんたちから話は聞きましたが、お二人から詳しいお話を聞かせてもらいたくてやって来ました」

代表の一名がオレたちに頭を下げる。

年は30代になったばかりぐらいだろうか?

集団の代表だからもっと威圧的な人を想像してたんだけど、えらく腰が低い。

「わしが勤めておった会社の若社長だ」

田中さんがオレの耳打ちする。

なるほど。

率先していくのではなく協調して集団をまとめているのだろう。

もう一人は60代のおじさんからおじいさんにランクアップしたような人だ。

「学校の先生をしとった人だ」

両方の集団とも平和的な集団みたいだね。


優子さんがオレたちの現状を説明する。

オレが話すと威圧的になるかもしれない。

優子さんなら代表の二人も質問しやすいだろう。


「なるほど。お話は田中さんたちから聞いていたとおりですね」

若社長が納得したように頷く。

「しかし、いきなり移住するのは難しいだろうね」

おじいさんが腕組みをして悩む。

この島はかなり安全な環境だ。

ここを離れるのは難しいだろう。


「いきなり移住するのは無理だと私も思います。今は自分達以外にも生存者がいた。それが分かっただけでも大きな前進です」

優子さんの言葉に代表の二人だけでなく、オレたちも頷く。

バタバタした出会いだったので忘れてしまうが、オレたちが生存者の集団に会ったのはこれがはじめてだ。

自分達以外はみんなゴブリンやホブゴブリンみたいになってしまったのではないか?

だが、そうではない事が証明されたのだ。

これなら各地にも生存者の集団がいるだろう。

そう信じることが出来る。


「未来があったんだ」

オレが呟いた一言に全員が大きく頷いた。




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