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サバイバル  作者: 伊右衛門


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探索編6

○今、オレたちは村の女性たちを屋敷の食堂に集めて、これまでの調査で分かったことを説明している。

もっとも説明しているのは、さとるさんでオレは食堂の外に居るんだけどね。

オレまで食堂に入ると狭くなってしまう。

いやぁ、残念だけど仕方ないよね。

オレも説明したかったんだけどね~。


中では、女性たちからの質問にさとるさんが丁寧に答えている。

「私たちは子供を生まなければここに居られないんですか?」

「そんなことは決してありません。あくまで妊娠出産は自由意思です。今回の調査で皆さんが妊娠可能であることが分かったので、それを報告しただけです」

さとるさんの言葉に女性たちは安心したみたいだ。

おおむね、女性たちは今回の説明に好意的な反応だね。


今後の生存者探しのことも説明される。

「もし、他の生存者の方が居たらどうするんですか?」

「他にも生存者がいることは確実だと考えています。生存者の方が望むならこちらに移住してもらいますし、皆さんがその生存者が住んでいる所に移住を考えるなら全力でサポートします」

基本的にはみんなの意思に委ねるしかないのだ。

「生存者の探索は真人くんが中心になって進めてくれます」

えっ?オレが中心なの?

聞いてないよ。


女性たちの視線が一気にオレに向く。

「生存者の方に会ったことはあるんですか?」

「これまで生存者に会ったことはないよ」

もちろん、まともな生存者のことだけど。

「でも、オレたちがいることが他に生存者が居る証拠になると思う」

オレたちは極端に優れてる訳じゃないと思う。

普通の人の集まりだ。

マスターやさとるさんという人がいてくれたのはアドバンテージになるだろう。

だが、他の地域にもさとるさんのような人はいると思う。

マスターみたいな人は珍しいだろうけどね。


「生存者の中には男性もいるだろうし、その中にはいい人もいると思う。そんな人がここに来てくれたら、みんなが幸せになる可能性が増えると思うよ」

もちろん、ここから出ていく人もいるだろう。

しかし、それが幸せになるためならかまわない。

個人の幸せを犠牲にすれば、ここは必ず破綻する。

もちろん我慢は必要だけどね。

女性たちは静かにオレの話を聞いていてくれた。

優子さんやマスターたちも黙って聞いてくれている。

そんなに注目されると照れてしまうよ。



「私たちを幸せにしてくれる人がいるんでしょうか?」

「幸せにしてくれる人は難しいと思うけど、幸せになっていく人なら、必ずいると思う」

女性たちの中には過去のことを気にしてる人もいるだろう。

しかし、だからこそ幸せになるべきじゃないかな?

甘い考えかもしれないけど、がんばった人には幸せになって欲しい。



そんな感じで説明会は終わった。



こちらの真意はみんな分かってくれたと思う。



これまで以上にがんばろう。

みんながいてくれるから、オレは人でいられる。



一人だったらオレは怪物になっていただろう。

衝動を消すことはできないだろうが飲み込まれないようにしよう。



それから、本格的に探索先の選定を行う。

人口が多すぎても危険だし、少なすぎても生存者を発見できない。

しかも、船を運転できないので橋で行ける島限定だ。

なかなか難しい条件だが、いくつかの島を選びだした。



これから、優子さんと二人で島に探索に行く。

生存者の人がいるといいけど。



優子さんと一緒に行くのは屋敷の防衛力低下を防ぐためだが、相手との接触をしやすくするためでもある。

これまで生き残ってきた人たちなら警戒心が強いだろうし、当然、自分たちの住居周辺は防備を固めているだろう。

そこにオレ一人で行っても警戒されて話が出来ない可能性が高い。

だが、優子さんなら交渉できると思う。



「あっ海だ」

優子さんが運転する車から海が見えてきた。

これまでも探索中に海は見ていたが今回は海を渡るのだ。

といっても橋で渡るだけだけど。



今回も運転は優子さんにお願いしている。

こういう時はこの肉体がうらめしい。

彼女とドライブなのにオレは後部座席・・・

なんかさびしい・・・



今回の探索は生存者を探すこと。

発見した生存者と接触すること。

そして出来れば協力体制を築くことが目的となる。

そのため、車には村で採れた野菜や薫製にした各種の肉を積んでいる。

もちろん、移動中のオレたちの食事にも使うができるだけ節約したい。

交渉の基本は相互利益の確保。

簡単に言えば胃袋から交渉した方が話が早いってことだ。

奢ってくれた相手をいい人に感じるのは、今も同じだろう。



そんなことを考えていたら車が橋に差し掛かる。

ここからは慎重に行動しないと。

島に生存者の集団がいるのであれば、橋を見張っている可能性は高い。

優子さんがゆっくり車を走らせる。



橋の上に放置された車は少ない。

まぁ、橋の上に車を放置しても歩いて渡るだけなので当たり前か。

数少ない放置された車両を観察すると燃料口が開いている車がある。

調べてみると、思ったとおりガソリンを抜き出している。

ということは、生存者がいる可能性が高いって事だ。

オレと優子さんは頷き車を走らせる。



しばらく走らせると優子さんが車を止めた。

橋の上に角材が散乱している。

よ~く見てみると、角材には釘が四方八方に打ち込まれている。

「車での通行を妨害してるのね」

このまま車で走ったらタイヤがパンクしてしまう。

かなり大きな車を妨害することも考えたのだろう。

打ち込まれている釘はかなりでかい。

よく考えられている。

角材に釘を打つだけだが車で突破するのは不可能だろう。



しかし、この釘付き角材があるってことは生存者がいるってことだ。

ガソリンはパニック初期に抜き出した可能性があったが、これはパニック後、襲撃者が出てからの対応だろう。

「この先に生存者がいるのは間違いないね」

それも頭がいい生存者がね。



これまでの探索では生存者を発見出来なかった。

市街地にいた人たちはパニック中の混乱やその後の襲撃で多くが亡くなったのだろう。

そして、残った生存者は被害の少ない山中や島などに移動して生きているようだ。

オレたちも山の屋敷を拠点としている。

あんがい、山中にも生存者がいるのかもしれない。

発見が難しいだろうが・・・



しかし、これどうしよう?

橋の上にはかなりの数の釘付き角材が転がっている。

歩いて行くか?

でも、車の荷物を置いて行くのもなぁ。

「パンクしたまま強引に走っちゃってタイヤ交換する?」

なるほど。

「それしかないかな?」

優子さんの提案で橋を渡ってからタイヤ交換することにする。

タイヤは放置車両から失敬する。

オレが車を持ち上げて優子さんがタイヤを外し、車の屋根にロープで固定する。



しばらく走ってその方法は使えないのが分かった。

刺さった角材がタイヤから外れないのだ。

「ダメみたいね」

タイヤに数本の角材が絡んで優子さんがギブアップした。

あと100メートルぐらいで角材エリアは抜けるんだけどなぁ。

う~ん、どうしょう?



オレの脳裏にさっきタイヤを失敬した時に持ち上げた車の重量が思い出される。

けっこう、軽かったな・・・



結局、オレが車を担いで橋を渡った。

多少、ボディが歪んだけど走行できるからいいよね。

さすがに荷物を満載した車は重かったけど、残った距離が短かったので、なんとかなった。



車を頭の上に持ち上げると、さすがに優子さんも口をあんぐり開けてた。

口にごみが入るよ、優子さん。



我ながらすごい力だ。

筋肉の構造自体が変異してるのかな?

さとるさんには内緒にしとこう。

サンプル採られそうでこわい。




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