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サバイバル  作者: 伊右衛門


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探索編5

○その後、オレとさとるさんはキャッホーのサンプルを無事確保することが出来た。

最初は全然、キャッホーが出没しなくて今日は無理かと思ったが、オレのアイデアでキャッホーを釣り出す事が出来た。


そのアイデアとは街のショーウインドウに飾ってあるマネキンを路上に放置するだけだったのだが、キャッホーはそれだけで倒れている女と思いやって来た。

勝因は下着姿で放置した事か。


やって来たキャッホーたちを情け容赦なく狩った。

出来るだけ損傷の少ない死体をサンプルとして持ち帰る。

村の女性たちに見られると大騒ぎになってしまいそうなので、マスターが乗って来た車の荷台に隠して持ち込む。

美咲ちゃんや優子さんにもこの件は内緒なので苦労した。

ちなみに、キャッホーを狩る際はちゃんと事情聴取を行ったが、やっぱり世紀末キャッホーは世紀末キャッホーだった。

こいつら、なに考えて生きてるんだ。

・・・なにも考えてないのか?


今は屋敷のガレージでさとるさんがキャッホーと戯れているので、オレとマスターが見張りに立っている。

こんなところ見られたら、さとるさんの人格を疑われてしまう。


「村の様子はどうだったの?」

待ってるのもヒマなのでオレが居なかった村の様子をマスターに聞いてみる。

ちなみにオレとさとるさんは今日、少し遠くの森に探索へ行った事になっている。

「なにかあったらどうしようって心配したけど、大丈夫だったわ」

オレたちが出掛けている間、村の防備が低下するのが不安だったけど良かった。

「村の女の子たちも最近は慣れてきて、ゴブリンぐらいだったら充分撃退出来るしね」

村の女性たちはマスターや優子さんから弓の扱い方や戦い方を教わっている。

オレが教えられないのはあまりに体格と力が違うからだ。

力任せでごめんね。


村の女性たちもその努力で今では立派な戦力だ。

オレやマスターの負担はかなり軽減している。

・・・そろそろ、島に探索に行ってもいい頃合いだろう。

まだ、どこの島を探索するのかは決まっていないが行ってから考えるのもいいかもしれない。

いけない、いけない。

そんな無計画では失敗してしまう。

生存者探しは慎重にやらないと、オレたちの未来がかかっているのだ。


少し距離があるので、マスターに心の声は聞こえなかったようだ。


実は最近えらく好戦的な気分になることがある。

今日はやつらと戦ったからだろう。

しかし、やつらとの戦いはつまらない。

まるで草を薙ぐようで、欲求不満が高まってしまう。

別に戦うことが目的じゃないはずなのだが・・・

戦いを楽しもうとしている自分がいる。

これは変異の影響なのだろうか?

血が昂るとでも云うのか、そんな感覚がある。

オレは優子さんをエルフ、さとるさんをドラゴニュートと思っている。

多くの人類がゴブリンに変わったことからの連想だ。

その連想でオレは、オレをオーガと考えている。

オーガ、日本語に訳すと鬼、大鬼となるだろう。

鬼としての衝動や本能が目覚めてきたのだろうか?

不安ではあるが、いやな感じではない。


「真人ちゃん?」

オレが黙っていたので心配したマスターが声をかけてくる。

おっと、みんなを心配させちゃ悪い。

オレのようにオーガに変異した者は他にいない。

これはオレの問題だ。


「さとるさん、遅いね」

出来るだけ普通の声をだす。

・・・バレてないかな?

「いまごろ、うきうきしてるんじゃない?」

バレてないみたいだ。

ホッとする。

心配させたくない。


「さとるさんの趣味と実益を兼ねた時間だから、邪魔出来ないね」

さとるさんは少しマッドなとこがあるからね。


「さとるさん、これでキャッホーたちのことがわかったらどうすんだろ?」

わかってもどうしようもないんじゃないかな?

「さとるちゃん、なんかいろいろ考えてるみたいよ」

「そのいろいろってマスターは聞いてるの?」

オレはなにも聞いてないんだよね。

「う~ん、さとるちゃんがちゃんと説明すると思うけど」

マスターが前置きして説明してくれた。


さとるさんの予想では今後の世界は生存者が作った小さな村が発展して町が出来るようになる。

ここまでは分かる。

オレたちがやろうとしているのも、村を大きくして発展させようとしているのだから。

だが、さとるさんの予想は一歩も二歩も先をいっている。

大きくなった町はいずれ都市国家のようになり、その後、群雄割拠の時代になる。

それに勝ち残った者が国家を作るようになる。

それがどの程度の規模かは分からない。


その時にだれが支配者層になっているのか?

もし、キャッホーが支配者になっていたら?

それはひどいことになるだろう。

だが、理性的な者が支配していれば?

まだ、ましなクニが出来るだろう。


マスターの説明を聞いたオレはポカンとしてしまった。

クニ造り?

さとるさん、そんな事を考えていたのか。

しかし、説明を聞くとその予想も荒唐無稽な話では無いように感じる。


現在、少なくても日本政府が機能している気配は無い。

それなら、新しい国家が出来ても不思議じゃないかな?

人は群れる生き物だし、集団が大きくなればルールが出来、法になる。

なるほど。

なんか、そうなりそう。


しかし、オレたち現在何人よ?

オレ、優子さん、美咲ちゃんにマスター、さとるさんに大先生。

そして、村の女性たち14名。

総勢20名の超弱小勢力じゃん。


「だから、村の子たちが妊娠してなかったのが分かった時に、さとるちゃん悩んだのよ」

あの頃から、すでに考えてたの?

なんというか、さとるさんすごいね。

そうとしか言えない。


「だから、今回キャッホーを調べてるみたいよ」

妊娠しなかったのが、女性たちに原因があるのか?キャッホーに原因があるのか?

女性たちに原因があれば、状況は絶望的だ。

オレたち人類?っていっていいのかなぁ?

とりあえず、人類はこのまま衰退して消えていくだろう。

しかし、キャッホーに原因があれば希望がある。

生存者がいれば、ここに移住してもらうなり、こちらが移住するなりすればいい。

そうすれば発展していく。

いずれは、さとるさんの予想通りにクニが出来るかもしれない。

さとるさんが自分で支配者になりたがるとは思えないから、みんなの未来を真剣に考えてくれたのだろう。


だから、次の探索先の選定に時間がかかっているのか。

さとるさんなら、すぐに選んでくれそうなのに時間がかかるので不思議だったんだ。

オレたちの未来がかかっているので慎重に選んでくれているのだろう。


「さとるちゃんの考えではキャッホーに原因があるみたいだから、今はその確認をしてるんじゃないかしら?」

どんな確認をしてるか?

絶対に確認したくないなぁ。


しばらくして、さとるさんがガレージから出てきた。

その顔は実に満ち足りてた。


趣味と実益。

両方に満足したみたいだった。


結論から言えば、妊娠しなかった原因はキャッホーにあった。

キャッホーは性欲や性衝動は強いが、男性としての機能はそれほどではないらしい。


どうやって調べたんだろう?

知りたいようなしりたくないような。

やっぱり、知らない方がいいよね。


それに合わせて脳に変異が起こっており、理性や知能が低下している。

やはり、キャッホーはゴブリンになりそこねたゴブリンだったのだ。

「彼らにはゆっくりとですが変異が出てきているようです。今後、よりゴブリンに近い姿になっていくでしょう」

キャッホー改め、ホブゴブリンとでも言うべきかな?


「それじゃ、村の女の人たちは子供を生めるの?」

それが大事だと思うけど。

「ええ、おそらく問題ないでしょう」

さとるさんが笑顔で保証してくれる。

「村の女性で実験するようで心苦しいのですが」

そうかな?そんなことはないだろう。

「村の女の人たちはいい人がいれば、恋愛して子供を授かる事が出来る。いいことだと思うけど?」

「真人ちゃんの言うとおりね。村の子たちも喜ぶと思うわよ」

オレとマスターの発言にさとるさんも安心したみたいだ。

さとるさん、マッドだけどいい人だなぁ。






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