探索編2
○近くのビルの中に男を引きずって行く。
男が喚いているが無視する。
男を床に放り投げたら絶叫した。
尻から落ちたので矢がさらに食い込んだようだ。
うるさいので背中を踏んで固定する。
優子さんは入り口を警戒しててもらう。
この距離だからもちろん声は聞こえるだろうが、見るよりいいだろう。
「お前らこれまで何をしてきた?」
男を踏んだまま質問する。
「おまえなんなんだよ!ゴブリンじゃねえのか!」
男も質問してきた。
どうも状況が理解できてないみたいだ。
ちょっと足に体重をかける。
男の体からにぶい音がする。
「もう一度聞くが、これまでなにをしてきたんだ?」
観念したのか男が呻きながら答える。
大体、想像通りの内容だった。
食料を奪い生存者を見つけると襲った。
男は殺し女は乱暴をしてから殺していた。
「生存者はいないのか?」
男は最近はまったく生存者は発見していないと言った。
だからオレ達を見て襲いかかってきたのだ。
オレの巨体は気になったが優子さんの美しさに血迷ったのだ。
それはわかる。オレもよく血迷うからね。
「ゴブリンはどうしてた?」
ゴブリンも一体だけならそれほど強くないので男たちは集団からは逃げることで生きてきたらしい。
まぁ、それもひとつの生き残り方ではある。
う~ん、この街での生存者探しは諦めるか。
世紀末キャッホーを絶滅させれば出てくるかもしれないが、移動しながら行動しているなら発見は難しい。
そもそも生存者がまだ生きているか疑問もある。
オレが悩んでいると
「逃げる女を襲うのは最高だ。パニックで警察もいねえしだれにも邪魔されねえ」
男がいらん事までしゃべりはじめた。
「あの女もお前の前で犯してやるよ!おもしれえぞ。いやがっても濡れてくる」
オレは一気に足を振り下ろす。
男の背骨が大きな音をたてて砕けた。
あっ、まだ聞きたいことがあったのについ殺してしまった。
まぁいいや。
男を殺したことに気付いたのだろう。優子さんがこっちに来た。
「真人、大丈夫?」
優子さんがオレを抱きしめてくれる。
相変わらずいい匂いだ。
「優子さんは大丈夫?」
頭を撫でながら優子さんの顔を確認する。
「思ったより全然平気で驚いてる」
優子さんの顔をよく見てみるがそこまでショックは受けてないようだ。
良かった。
もちろん屋敷に戻ったら入念なケアはするけどね。
優子さんとこれからの計画を相談する。
生存者探しは諦めて、リストの物資を探すことを優先することにした。
生存者は接触して来てくれるの待ったほうが良さそうだ。今まで生き残れた人達なら自分たちで考え行動するだろう。
それなら、まずは美咲ちゃんの希望の品からだね。
他の品は無視してもいいような感じがする。
美咲ちゃんが望んだ品はすぐに見つかった。
こんな世界でノートを欲しいってのは珍しいだろうね。
辞書なども書店ですぐに見つかる。ついでに園芸関係の本なども探す。
書店の中はほこりっぽいがそんなに荒れていない。
他の生存者は来ていないのだろうか?
ネットの無くなった今の世界では本は重要だと思うけど?
優子さんと他に必要な本がないか探してみる。
そうして書店の中を歩いていると、床に一冊の本が立っていた。
たまたま落ちて立ったのかな?そう思い、なにげなく手にする。
地図だ。
役にたつかなと思い、バラバラとページをめくってみる。
ん?今のページ?
何か書いてあったような?
ここは書店で本は商品だ。
図書館のように貸し出して落書きをされることは無いだろう。
気のせいかな?少しページを戻ってみる。
そこには、メッセージが書かれていた。
いや、メッセージというより計画の雛型か?
地図があった棚は数冊の隙間がある。売れただけかと思っていたが違うみたいだ。
このメッセージを書いた人物は島を目指していたらしい。
島なら人口が少ない分ゴブリンが少ない。
無人島では生活が出来ないので人口の少ない島を探していたらしい。
沖縄の小さな島に丸が書かれ、上からバツを書いてある。
遠すぎて諦めたのだろう。
しかし、瀬戸内海の島にはいくつかの丸が書かれている。
このどれかを目指して移動したのだろうか?
どの島に行ったのだろう?
無事にたどり着いたのだろうか?
だが、どうやって島に渡るんだろう?
瀬戸内海は潮の流れが速い。
泳いでは無理だろうから船か?
う~ん、接触できないかな?
どの島を目指したのか分からないと無理か。
「この人、すごいね」
優子さんの目が輝いている。
オレも同じ気持ちだ。
自分はこう考えて行動するがそれが最適とは限らない。だから、これを見た者も自分が正しいと思う行動をしてくれ。
そういうメッセージだと思う。あまり詳細に書いていないのはキャッホーにバレるのを警戒したのだろう。
島ならゴブリンを全滅させることも可能だろう。
無事にたどり着いていたら生きてる可能性は高い。
とりあえずこの地図を持って帰ってみんなと相談しよう。
それなりの本を探したので、結構重い。
持つのは平気だが片手がふさがるのは困る。
乗ってきた車に戻ってもいいがあの車もそろそろ燃料が少ない。
近くで車を探すが、そちらも燃料が少ない。
世紀末キャッホーが使ったのだろうか?
仕方ないので少し歩いてシャッター付きの駐車場を探す。
シャッターの中の車なら大丈夫だろう。
何かの商店の駐車場の車にする。
シャッターをこじ開け中に入る。
事務所を探して鍵を見つける。
「あの子、無事に島に着いたのかな?」
ん?あの子?
「あの子って島に移住しようした人?」
「うん。女の子なのにすごいよね」
なんで女の子なの?
あの地図には丸や矢印ぐらいしか書かれてなかったよ。
優子さんが言うにはあの丸や矢印は女性が書いたものらしい。
そうかな?よく分からないけど?
まぁ島なら他にも人がいる可能性は高いしどっちでもいいか。
しかし、島か。
生存者探しは島に行くことも考えないといけないな。
ゴブリンが泳げないと仮定すれば島はかなり安全な環境になりそうだ。
他にも探せば島に生き残りがいるんじゃないだろうか?
日本自体が島国なので将来的にはゴブリンを駆逐するかもしれない。まぁ、それなりに時間がかかるだろうけど・・・
車で書店まで戻り本を積み込む。
島に行く事を考えて船舶関係の本も何冊か積んでおく。
「美咲ちゃんすごいね」
美咲ちゃんが辞書をリストに書いてなかったら、ここには来てなかったかもしれない。
美咲ちゃんのおかげだね。
オレ達は車で今日の寝場所を探す。
ちょっと走ったとこにラブホテルを見つけたので、そこに車を入れる。
何台か車があるが営業中じゃないよね。
バックパックを背負いホテルの中を調べる。
とりあえず、生存者はなし。
オレ達は出来るだけきれいな部屋を探す。
いくつか興味を引かれる部屋があったが、優子さんに引っ張っていかれた。
大きなベッドがある以外は普通の部屋に泊まることにする。
普通のホテルではなくラブホテルを選んだのは窓が小さいからだ。
他から見られては困るのでラブホテルの窓はかなり小さく作られている。
バックパックから登山用の小型ガスコンロを取り出す。
お湯を沸かし晩ご飯にする。
バックパックには2日分の食料と水を入れている。
明日は食料を探しながらの探索になる。
その日は何もせずに体を休めることにする。
せっかくのラブホテルだが試験中なので仕方ない。
その後、1週間の間その街と近隣を探索する。
世紀末キャッホーが何度か出たが、優子さんの弓でほとんど片付く。
何人かを射られると逃げていくのだ。
抵抗しない生存者ばかりを襲ってきたのだろう。
たまに根性があるのか、優子さんに血迷ったのか特攻してくるキャッホーもいたが全滅させる。
世紀末キャッホーは駆除すべき害獣だ。
オレはそう思っているし優子さんも割りきったのか容赦はしない。
マスターの言葉を思い出す。
「生かして返すと他のだれかが犠牲になる。そう思って射ちなさい」
マスターが戦闘技術を教える時によく口にする教えだ。
残念ながら生存者には会えなかった。
しかし、島という可能性の高い場所がある。
みんなで相談して探してみよう。
リストにあった品もいくつかは発見することが出来た。
試験期間も終わったので、そろそろ帰ろう。




