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崩壊した世界でみんなで楽しく生きていく〜サバイバル〜  作者: 伊右衛門


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探索編1

○オレと優子さんは車でちょっと遠くの大きな街に向かっている。

といっても、そこまで本格的な探索に行くわけではない。

これは、オレと優子さんのいわば卒業試験だ。


あれから2ヶ月近くオレ達はマスターにしごかれた。仕返しじゃないよね。

マスターからのしごきに耐えきったオレ達は、マスターやさとるさんたちが書いたリストにある物を探しに街に行く。

このリストの品物を発見し持って帰れば、晴れて合格になるわけだ。

リストの一番上に書かれていたいい男は優子さんが無言で斜線をいれたけど。

「それが今あたしに一番必要なものなのに」

マスターは嘆いていたが優子さんは非情だった。

リストには有用な物からさきほどのいい男のような冗談まで様々な物が書かれている。

もちろん、全てが揃うわけないのでこの中からいくつかを探してみるつもりだ。

この探索の主眼はオレと優子さんの野外活動と戦闘のレベルがどの程度なのかを確認する為なので、ぶっちゃけリストの物をひとつも探せなくても問題はないらしい。

もちろん、出来るだけ探すつもりではあるが。


運転中の優子さんの後ろでリストを確認する。

一番上のいい男はすでに優子さんが消しているが、他にもとんでもない物がいくつも書かれている。

この電子顕微鏡はさとるさんの字だし、大先生の字で獺祭って書かれてるけど読めねーよ。なんなのこれ?

あとで優子さんに聞いたら、お酒の名前だったけど・・・

美咲ちゃんが書いてあるのはノートや筆記用具、辞書などで大人たちより、はるかに良識がある。

これは絶対、探してみよう。

そしてマスターの字で紫のTバックって書いてある。

結構、根に持ってるんだな、あの人。

オレなんかふんどしもどきなのに・・・

いや、オレにサイズがあうパンツはそう無いし履かないってのも抵抗がある。

悩んでいると大先生がふんどしの事を教えてくれた。

俗にいう六尺褌をもとにシーツなどで作ったもどきだが結構気持ちいい。

意外なことにオレの褌姿は優子さんのツボらしい。

ちなみにマスターのツボでもあるらしいが、そっちは知らん。


話がそれたが、オレ達が大きな街に向かうのはこれらの物資を探すためと大きな街なら生存者がいる可能性があるからだ。

もちろん世紀末キャッホーがいる可能性も高いが、今回は戦闘も主眼なのでかまわない。

現在の優子さんはゴブリンなら問題なく倒せるが人間はどうだろう?

もちろんフォローするし危なくなれば撤退するが・・・不安だ。

オレ?オレはあれを人間とは思ってない。

あれは世紀末キャッホーという新種族だ。


ほどなくして街の近くまでやってきた。


車を止め街の様子をうかがう。

「ゴブリンはいるけど生存者の姿はなし。居ても隠れてるんだろうね」

双眼鏡を仕舞いながら優子さんが報告してくれる。

これほど大きな街なら生存者がいると思うので、優子さんのいうとおり隠れているんだろう。

問題はいるのが普通の生存者なのか?世紀末キャッホーかってことだ。

「車、どうしよう?」

少し悩むがこのまま車で行くことにした。

車だとゴブリンを呼ぶかもしれないが生存者が出てくる可能性もある。

そちらを優先する。


オレならどこに避難するだろう?

高いビルやマンションの高層階かな?

エレベーターが止まっているから上には階段を登るしかない。

ゴブリンでも世紀末キャッホーでも階段を上がれば疲れる。

疲れた相手なら対応しやすい。

あまりにも高いと自分たちも食料などを運ぶのが大変だから、10階から15階ぐらいが適正だろうか?

優子さんと話し合いながらビルなどの上の方を見てみる。

街の中心に近付くにつれ高い建造物が増えてくる。

ゴブリンたちがうろうろしているがこちらを襲う様子はない。

そこまで飢えてないのかな?

それとも少しは知恵のある個体が生き残ったのか?

その両方だろうか?

無謀な個体は殺され警戒心の強い個体が生き延びたのだろうか?

そうするとここにはゴブリンを退治した生存者がいたってことかな?

今もいるのかは不明だが。


「真人、あれ!」

そんなことを考えていたら上の方を見てなかった。

優子さんが斜め前のビルの窓を指差す。

そこにはSOSと大きな字で書かれた紙が窓に貼られていた。

オレ達はビルの周りを一周して辺りを確認する。

会社の事務所などが入った複合ビルみたいだった。

周囲にはコンビニぐらいしかないがあそこから食料を調達しているんだろうか?

入り口の自動ドアはゴブリンによってなのか、破壊されている。

警戒しながらビルの中に入る。

ビルの中では弓は使いにくいだろう。

優子さんは弓を背負いナイフを抜いた。

オレがマスターからプレゼントしてもらったナイフだ。

オレは斧を持つ。


なるほど。

エレベーターが止まり階段には防犯のためか、鉄製のドアがある。

これなら立てこもれる。


ドアが壊れていなければだけど。

ドアのノブは曲げられており軽く押すだけで開いた。

オレと優子さんは頷き合いビルの階段を上がる。

生存の可能性は低くなったが確認はしておく。

SOSが貼られていた窓がある最上階まで上がる。

警戒しながらゆっくり上がったので息は整っている。

優子さんと視線で確認して、優子さんがドアを開く。

オレが最上階に入りドア周辺の安全を確認する。

問題なし。

優子さんが続いて入る。

優子さんが床を示す。

廊下には埃がつもっている。

生存の可能性はほぼ無くなったが、一応確認は必要だろう。

SOSが貼られていた部屋を視線で示す。

すぐに分かった。

会計事務所か何かだったのだろう。

ドアが破壊されている。

事務所のドアまで移動する。

優子さんを確認する。

優子さんは首を振っている。

生存者の気配なしか。

室内に突入する。


室内はひどい惨状だった。

この事務所で働いていたのか、二人の男性が床で死亡している。

机の位置がおかしいのは、バリケードに使っていたからだろう。

奥に応接室がある。その扉も破壊されている。

優子さんと応接室を確認する。

そこには、女性の死体があった。

半ばミイラ化しているので年齢は分かりにくいが20代だったのだろう。

女性の死体はこの事務所の制服だったのか、服を乱暴に引き裂かれ暴行の痕跡があった。

優子さんと大きく息をつく。

「生存を外に知らせると救助じゃなく、危ない人たちを呼び寄せるんだね」

優子さんが遺体を見ながら言う。

「これで生存者探しは難しくなったね」

まったくだ。

生存者が生存を知らせると世紀末キャッホーがやってくる。

しかし隠れた生存者はオレ達が探せない。

「これじゃ向こうから出てきてくれないと探せないなぁ」

「でも、怖がって出てこないんじゃない?」

それもそうか。

オレ達がゴブリンではないのは分かっても、世紀末キャッホーじゃないのは分からない。

優子さんを見れば分かるかな?

でも、優子さんが歩いていたら生存者だけじゃなくキャッホーも来るか。

ん?都合いいか?

キャッホーを倒して情報をとる。生存者が来ればラッキー。

そうするかな?

危険過ぎるかな?

優子さんに話してみると試してみたいということだった。

優子さんの耳なら不意討ちされる危険はないので、街中を優子さんと歩いてみる。

ゴブリンはオレの姿を見ると逃げて行く。

やはり警戒心が強い個体が多いようだ。

しばらく歩いていると優子さんが止まった。

前をじっと見ている。

優子さんがゆっくり弓を構える。

オレも背負っていた方の槍を手にする。

オレの弓の腕は絶望的だった。村の女性にも負ける。

さとるさんはオレの筋力が強すぎて弓が合ってないと言っていた。そのため矢が定まらない。

だから投げ槍を作ってみた。

前から車が走ってくる。

見てみると窓などをフェンスで補強している。

生存者かな?

優子さんを見ると首を振っている。

キャッホーか。

優子さんの前に出て槍を構える。

そして、ぶん投げた!

投げた槍は高速で飛び車の前面に突き刺さった。

槍は半分ほどが車に刺さっている。

驚いたのか壊れでもしたのか車が急停止する。

わらわらと武器を持った男が降りてくる。

優子さんが弓を射る。

威嚇ではなく殺す為だ。

男の一人に矢が刺さる。

優子さんの弓はさとるさんが作った複合弓だ。

軽く引けてかなりの威力がある。

射られた男はその場でうずくまる。

優子さんが次の矢を射る。

次は男が後ろに倒れた。

首を射抜かれたのだろう。

逃げるかと思ったが男たちはこっちに突進してくる。

都合がいい。

手にした槍の射程に入ったので槍を振る。

ゴウッと音がして振り抜いた槍の範囲には男たちが倒れている。

穂先に当たったものは体がちぎれたようだ。

倒れている男には優子さんが弓でトドメをさす。

残っていたのは二人だが、さすがに逃げることにしたらしい。

背中を向けて走りだす。

しかし、優子さんが一人の背中に容赦なく弓を射る。

もう一人にも狙っているので、

「足を狙って。生け捕りにしたい」

というと狙いを下げてお尻を射った。


お尻に矢が刺さった男は這って逃げようとしている。

それをゆっくり追う。

槍が当たっただけの男の中には生きているものもいるが放っておく。

そこらのビルの影からゴブリンが覗いているので後は任せよう。

「なんでお尻なの?」

「足だと動いてるから外れるかもって思ったの」

なるほど。優子さんは冷静だ。

先程も冷静にトドメをさしてくれた。

でも、大丈夫かな?

ちょっと顔色が悪い。

・・・当たり前か。

オレが見ているのに気がついたのだろう。

「大丈夫。つらいけど必要だって分かってる」

優子さんが無理に笑いながら言ってくる。

屋敷に戻ったら入念にケアしよう。

話している間に男に追い付いた。


さて、お話しようか?




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