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崩壊した世界でみんなで楽しく生きていく〜サバイバル〜  作者: 伊右衛門


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お屋敷編6

○オレ達やつらが悪者って前提で行動したけど、考えてみると状況証拠だけなんだよね。

もしもああしたプレイを楽しむハッピー集団だったらどうしよう。

マスターと顔を見合せる。

「やつらは悪者で、あなた達をいじめてた?」

一番近くにいた女性に一応確認しとく。

女性はガクガク震えながらうなずく。

良かった。とりあえずオレ達が悪者にならずにすむ。

なんか助かったのに女性たちがえらく怯えてるな?

なんで?

「真人ちゃん、今の自分のカッコ分かってる?」

マスターが呆れたようにオレを指差す。

ん?車のヘッドライトに照らされたオレの姿は全身血まみれだ。

うん。山賊に近いね。

彼女達からするとやつらから助けられたと思ったら、別の山賊に拐われた気分なのかな?

でも、彼女達どうしよう?これでお別れって訳にはいかないよね。

「ひとまずお屋敷に来てもらって、みんなで考えましょ」

マスターの提案で彼女達をお屋敷に連れ帰る。

やつらの死体はこのまま放置する。ゴブリンが始末してくれるだろう。

車も鍵をかけて放置する。

中の荷物がちょっと惜しいけど仕方ない。ゴブリンに奪われたら諦めよう。


ずっと歩かされ疲れている彼女達の歩みはゆっくりとしたものだが、一人も脱落せずにお屋敷まで連れ帰る。

お屋敷が見えてくると

「みんなにとりあえずの事情を説明してくるわ」

マスターがお屋敷に走る。

彼女達を屋敷の食堂に招く。

マスターが彼女達の食事を大急ぎで作り、優子さんと美咲ちゃんが彼女達の世話をしてくれる。

インパクトの強い家主さん達は彼女達を驚かせたくないと書斎にこもっている。

食事をして少し落ち着いた彼女達にはこのまま食堂で休んでもらう。屋敷中から毛布や布団を集める。

食堂で雑魚寝なんて申し訳ないが彼女達からはお礼を言われた。これまで相当ひどい扱いを受けていたみたいだ。

優子さんと美咲ちゃんが今日は一緒に食堂で休んで、彼女達の様子を見ていてくれる。

これまで男性にひどい目に遭わされてきた彼女達も、二人が一緒なら少しは安心だろう。


残ったオレ達は書斎で今後のことを話し合う。

う~ん、考えなしに助けたけどこれからどうしよう。

オレが悩んでいると大先生が、

「どんなに自分たちが苦しくとも傷付いた女性を助けるのは間違えなく正しいことじゃよ。真人くん、健、よくやった」

オレとマスターの頭をぐりぐり撫でてくれる。 

「自分たちのことだけを考えて彼女達を見捨てては僕たちは本当の怪物になってしまいます。お二人の判断は正しかったと僕も思います」

さとるさんの言葉に大先生が大きく頷く。

「儂が思うに人と動物の最大の差は、己に誇りを持っているかどうかじゃ。二人の行動は誇り高い行動じゃ。胸を張りなさい」

家主さん達の言葉がありがたい。

誇りか。これからも誇りを持って生きていきたいと思う。

「はい、はい。真人ちゃんが誇り高いのは分かったけど、現実的にはどうするの?お屋敷にある食料じゃ彼女達全員を食べさせていけないわよ」

マスターが現実に引き戻す。

「猟の回数を増やしても無理かね?」

「しばらくは大丈夫だと思うけど、ずっとは無理ね。全員分の食料を捕り続けたら、あっという間にこの辺は干上がるわよ」

マスターが首を振る。

「需要と供給のバランスが崩れてしまったんですね」

オレ達が捕る量が自然の回復力を越えてしまったってことだね。

「定期的に移動をするしかないんでしょうか?」

オレの発言に3人が唸る。

オレ達の現在は狩猟採集民族に近い生活になっている。

かれらは獲物が減れば獲物が多い地域に移住して生活を維持するそうだ。

オレ達もそうするしかないのかな?

「最悪の場合はそうするしかないでしょうが、出来れば避けたいですね」

さとるさんによると完全な狩猟採集生活は維持できる人数が少なく文明の維持や発展は望めなくなってしまうらしい。

本来の狩猟採集生活は簡単な畑を作ったり近隣の農耕民族との物々交換で成り立つそうだ。

なるほど。農耕の始まりが文明の始まりってむかし習ったな。

なら畑を拡大したらいいんじゃね?

オレの提案を聞いた大人三人組がまた唸る。

ちなみに、大先生が80代。マスターとさとるさんは幼馴染みでどちらも30代半ばだ。

マスターたちってオレより一回りは年上らしい。

「拡大っていっても大変よ。庭で使えそうなとこはほとんど畑にしちゃったし」

ん?なんで庭にこだわってるの?この近くにも畑や田んぼはあるんじゃない?そこを使えばいいと思うけど?

「外には危険があるじゃない、それに苗や種だってないのよ」

「健、二人で話しておらんで説明しなさい」

マスターはエリザベスよって大先生に突っ込んで説明してくれる。

つい楽なのでマスターとは心の声で会話してしまう。失敗、失敗。

「う~ん、畑の拡大か。しかし、健の言ったとおり危険が多すぎないかね?」

「畑の周囲は柵か鉄条網なんかで囲ってしまいます。なんならここから通う道も。それでも危険なので護衛する人も必要でしょう。でも、やってみる価値はあると思います」

無謀かな?

「種や苗はどうするのよ?」

「街で探してみるつもり」

種や苗ならゴブリンも食べないだろうから残ってる可能性はあると思う。

「一人で行ったら危ないわよ」

ん、マスターも連れて行くから大丈夫。

「あたしを勝手にカウントしないでよ」

行かないの?

「新しいパンツが欲しいから行くわよ。だれかさんがお気に入りのパンツを無茶苦茶にしたから、今ノーパンなのよ。あたし」

それは知りたくない情報だ。

さとるさんはさっきから考え込んでいる。

マスターのノーパン姿を想像してダメージを受けたかな?

「それなら、畑だけではなく畑近くの放棄された家をも強化するべきでしょう」

さとるさんはずっと計画を考えてくれていたらしい。

現代家屋は頑丈だから、ドアや窓などを補強するだけでもかなり安全になるそうだ。

畑近くの家を何件かピックアップしてそうした改造を施す。

そこに女性たちを移動させる。

最初はオレやマスターが守りに行く。

食料もこちらから定期的に運ぶ。

しかし、最終的には自活してもらう。

もしかしたら、今後も助ける人が出るかもしれない。

そうなれば、それらの人を集めて村のような感じにする。

そうすれば、あとは自分達で発展する。

「もっとも理想的に進んだ場合はですが」

さとるさんは笑顔で言う。

この計画のいいところは、今後、人が増えてもいいことだ。

むしろ増えた方がいいのかもしれない。


翌朝、助けた女性たちに計画を話してみる。

彼女達が賛成してくれないと、この計画は進まない。

彼女達は自分達が農業をしたことがないことや女性ばかりである事が不安なようだったが、オレやマスターが護衛に行く事、定期的に食料を持っていく事から最終的に同意してくれた。

これまでの生活に比べると天国と地獄らしい。

実は翌朝に話したのはここでの生活に慣れてしまうと移住しないとマスターが考えたからだ。

マスターは女性に対してシビアだからね。




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