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サバイバル  作者: 伊右衛門


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22/75

お屋敷編5

○それから、オレ達は仲良く幸せに暮らしました。

めでたし、めでたし。

となれば良かったのだが、やっぱりそうはならなかった。


それから1ヶ月ぐらいの間は、平和な日々が続いた。

オレ達は畑をつくり作物を植えた。

オレは、マスターから罠の仕掛け方や森の歩き方、軍隊格闘術なんかを習って過ごした。

優子さんと美咲ちゃんは、大先生から銃の扱い方のレクチャーを受け、これなら大丈夫とお墨付きを貰った。

さとるさんは自分の体を調べながら、弓を作ってくれたり、オレとマスター用に槍なんかも作ってくれた。

オレとマスターは周辺の探索を行った。

結果、あんがい飢える心配が無いことが分かった。


近くの池にはブラックバスが元気に繁殖しており、簡単に釣ることが出来た。

最初はブラックバスを食べることにやや難色を示した女性陣だが、ブラックバスは元々食用に輸入された魚で北米などでは普通に食べられている魚のひとつだそうだ。水がきれいなのか、結構うまい。

また、川の周辺で妙な足跡を見つけたので、さとるさんに聞いてみるとヌートリアの足跡らしいので罠を仕掛け、生け捕りにしてみた。

これも特定外来生物で各地で駆除されているのだが、それなら家畜として育てられるのではと思ったのだ。結果、なんとか飼えている。

オレが捌いてマスターに調理してもらい内緒で夕食に出してみたら大好評だった。後で、ちょっと怒られたが・・・

マスターと一緒に森の中の獣道に安全の為、罠を仕掛けているが週に2頭は猪や鹿がかかった。

さとるさんやマスターに教えてもらって、捌いてみた。

内蔵などはちょっとグロいが一人で捌くことが出来るようにもなった。

途中から優子さんも参加して一緒に捌いたが、大先生やマスターによるとオレより上手いらしい。こっそり、練習することを誓う。

川の近くにはセリやクレソンなどが自生しているので、それらもいただく。

行動半径を広げると、ほぼ必ず食料を見つけられた。


オレとマスターが森を歩きまわって罠の確認と点検をしながら獲物を探して採って帰る。

その間、優子さんや美咲ちゃんはさとるさんお手製の弓の練習。

オレ達が帰ると、その日の獲物を調理して晩ご飯と明日の朝ご飯にするサイクルが出来ている。

余った時間にさとるさんは自分の体の研究をして、大先生は美咲ちゃんに勉強を教えてくれる。

洗濯は人力では重労働なので、2~3日に一回マスターと優子さんがしてくれる。オレも手伝ったが力を込めすぎて、マスターのパンツを残骸にしたら馘にされた。いくら紫のTバックがキモかったからってわざとじゃないんだけどね。

最近は優子さんや美咲ちゃんもマスターから軍隊格闘術を習っている。二人は屋敷内から出る機会が少ないので、運動不足にならないようにだって。二人とも筋はいいみたいだ。

ゴブリンはほとんど見かけないが、たまに見つけると必ず殺すようにした。

繁殖するとどの程度増えるのか分からないし、食料が競合するので生存競争と割りきる。

このように実に充実した生活を送っていた。


そんなある日、オレとマスターはいつものように森の中を歩いていた。

二人とも予備のカーテンを加工したマント状の服を羽織っている。なんでも人間は人の形を無意識に探す習性があるので、これでそれを阻害するそうだ。

この日も罠の見回りをして、猪を1頭捕まえた。

血抜きした猪を背負い屋敷に戻る途中、前を歩いていたマスターがゆっくり木の影に隠れる。とっさに大きく素早く動くと相手の注意を引く。

オレも地面に伏せマスターの指示を待つ。

ゴブリンかな?血抜きをすると匂いに引かれるのか、ゴブリンを発見する事が多い。

マスターは街に続く道を指差す。

まだ、かなり遠いが2台の車が走っている。

・・・車!生存者だ!

「どうする?」

「う~ん、まだ距離があるから一度お屋敷に戻ってみんなに注意しましょ」

二人で急いで屋敷に戻る。


みんなに注意して、オレとマスターはまた森の中に戻る。

マスターは大先生のライフルを一挺借りている。

オレは槍と例のマチェットを持っていく。弓も練習してるけど苦手なんだよね。

あっ、猪はちゃんと届けたよ。大事なご飯だ。

出来るだけ静かにしないといけないので、マスターがオレの肩に手を置く。

これで、オレの考えはマスターに伝わる。実に便利だ。

2台の車はゆっくりとしたスピードで走っている。人の早足ぐらいか?かなり遅い。

なんでそんなに遅いのか疑問に思っていると、マスターが厳しい顔で車の後方を指差す。

なんだ?オレも集中して車の後方を見る。

そこには、ロープで縛られ車に引かれるたくさんの女性の姿があった。


一台の車に7~8人の女性が引っ張られている。遠いので顔までは分からないが、全員若い女性のようだ。

女性を捕らえている理由は分かる。自分たちの欲望の為だろう。しかし、なぜ車で引いているんだ?

オレの考えを読んだマスターが

「たぶん、ゴブリン避けのつもりよ。ああやって、ゴブリンが来たら自分たちだけ逃げるんでしょう」

小さな声でささやく。

でも、それなら車に乗せて早く走った方がマシなんじゃ?

「女の子がゴブリンに襲われるのを見たいからじゃない?」

マスターが吐き捨てるように言う。

マスターの予想通りなら、最低のクズだな。


車内に何人いるんだろう?

まず運転している二人。車のサイズから、1台5~6人かな?

いや、食料や水も積んでいるだろうから1台3~4人、合計で10人ぐらいか?

女性の人数から大きく離れていないだろう。

マスターも頷いて同意してくれた。

約10人か。

この先に待ち伏せに適した場所はあったかな?

やつらは車だから道路を走るはずだ。あの速度なら先回りできる。

「ちょっと真人ちゃん助けるつもりなの?」

マスターがオレの耳を引っ張りながら言う。

思いきり引っ張られた耳がちょっと痛い。

「当たり前だろ」

とりあえず、やつらの前に出ないとどうにもならないのでオレは移動を始める。


「真人ちゃん、助けるってどうするのよ」

「待ち伏せして襲うつもりだけど?」

ダメかな?

「そうじゃなくってなんで助けるのよ?」

ん?なんで?どうして助けるんだろう?

助けたいから?近いけど、ちょっと違う感じがする。

もしやつらに優子さんや美咲ちゃんが見つかったら危険だから?

それもちょっと違う。優子さんや美咲ちゃんの側にはさとるさんや大先生が居る。散弾銃にライフル、弓もある。もちろん、オレやマスターも居る。

だから、優子さんたちがやつらに襲われる可能性は低い。

ならなんでオレは助ける気になっているのか?

ん?改めて考えると助ける理由って無いのかな?

ん~やつらがムカついたから。

これが一番近い理由な感じがする。

肩に置いた手からオレの考えが伝わったのだろう。マスターがため息をつく。

「前から襲っちゃダメよ。やつら、女の子をはねてでも逃げるわ。後ろから襲わないと」

なるほど。女性をゴブリンの餌にするようなやつらだもんな。

でも、マスターは反対じゃないの?

「いきなり助けようとするから、驚いただけよ。それにあたしは助けてからどうするとか考えちゃったから」

助けてからか。うん、全く考えてないな。

マスターが苦笑しながらオレに抱きつく。

やめれ。

「真人ちゃんはそれでいいのよ。さすが優子ちゃんの彼氏だわ」

それが分かってるなら、離れてください。もし優子さんに見られたらオレの命が危ない。


オレとマスターは獣道を全力で走る。

マスターの作戦でこの先のトンネルの出口を封鎖するつもりなのだ。

そのためにはやつらよりかなり先行しないといけない。

トンネルの出口の脇にある岩を転がし樹を押し倒す。

さすがにキツいが力ずくで作業する。

土砂崩れに見えるように偽装する。

トンネルの入り口でやつらが来るのを見張っていたマスターが戻ってくる。

「来たわよ。あと10分ぐらいで来るから入り口に移動しましょ」


オレ達は藪の中に身を潜める。

かなり注意しないと気がつかないと思う。

徐々に車の音が近づいてくる。

女性たちはずっと歩かされている。

窓を開けているのだろう、バカ笑いがする。

オレ達が見張る前をトンネルに入っていく。

2台が完全にトンネルに入った。

声が大きくなった。

出口が塞がっている事に気づいて車から降りたのだろう。

出来れば運転してるやつも降りてほしい。

しばらく、じっと待つ。

マスターが小さく首を降る。運転手は降りないか。


トンネルの入り口にそっと移動する。

ライフルを構えたマスターが頷く。

マチェットを持ったオレがトンネル内に突進する。

轟音がトンネルに響く。

マスターが後ろの車の運転手を射殺する。

これで車で逃げられない。

マスターと最初から決めていた。

皆殺しにする。

一番近くに居た男の頭を切り落とす。

血が吹き出し、トンネルの壁を濡らす。

ぽかんとしている男をトンネルの壁に投げる。

壁に叩きつけられた男はそのまま動かなくなる。

三人目の顔を殴る。

顔面が陥没してそのまま崩れ落ちる。

四人目の腹を撫で斬る。

はらわたがこぼれる。

五人目の頭を掴み思いきり力をこめる。

頭の上から脳みそが飛び出す。

轟音が鳴る。

マスターに撃たれた六人目が吹っ飛ぶ。

七人目の頭にマチェットを叩きつける。

マチェットがひん曲がる。

とっさに七人目の頭を車に叩きつける。

車に頭が突き刺さる。

曲がったマチェットを捨てる。

ナイフを持った八人目の腕を掴み、九人目に投げつける。

倒れた八人目の背中を蹴る。体が折れる。

仰向けに倒れた九人目の胸を踏みつける。

轟音が鳴る。

オレをナイフで刺そうとしていた十人目の頭が弾ける。

これで十人だ。

奥に止まっていた車が急発進する。

ロープで繋がれた女性たちが倒れ引きずられるが、すぐに出口の倒木に乗り上げて動かなくなる。

エンジンを吹かすが車輪が宙に浮いている。

運転席のドアを引きちぎる。

泣いている男の頭を握り、ゆっくり力を強める。

男が痙攣をはじめる。そのまま力をこめると体がピンと伸び痙攣が止まった。

男の体を外に放り出す。

壁に叩きつけた男の頭を念のため踏み潰す。

マスターが車に突き刺さった男の首に拾ったナイフを滑らせる。

血が吹き出した。

2台の車内を確認する。

誰もいない。


オレとマスターは大きく息をつく。

やれやれ、11人だったのか。

とりあえず、無事で良かった。


「やっぱり、男を襲うなら後ろからね」

マスターがぼそっと呟いた。

背中ではなくお尻がぞわぞわした。


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