表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
崩壊した世界でみんなで楽しく生きていく〜サバイバル〜  作者: 伊右衛門


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/91

マンション編17

○尊い犠牲はあったが、美咲ちゃんの安全は確認された。

「おはよう、美咲ちゃん」

「………」

 本当に尊い犠牲だったよ…


朝から、美咲ちゃんがオレを視る目はすごく冷たい。

まぁ、仕方ないだろう。時間がたてば、美咲ちゃんも理解してくれるだろう。たぶん。

 オレ達は、朝ご飯を食べながら、今日の予定を確認する。

「美咲ちゃんの学校に行って、図書室で必要な物を調べるんだよね?」

「うん。図書室で今後、必要になる物や必要な本を調べて、移動の準備をしたい」

美咲ちゃんの中学校は、当然、徒歩で行けるのだが、移動を車でするかが問題になる。

「荷物が増えるんだし、車の方がいいんじゃない?」

「エンジン音で、ゴブリンが寄ってこないかな?」

それに、生存者も。

「車なら、振り切れるんじゃないの?」

現在、路上には放置された自動車やバイクなどがある。しかも、道路の真ん中に放置している車も見える。そんなに、スピードは出せないだろう。

悩んだが、やはり車で移動することにする。

ゴブリンが走るよりは速いだろうし、徒歩で移動するより、車内の方が安全だろう。


 優子さんと美咲ちゃんには、出来るだけ厚着をしてもらう。重ね着した服をゴブリンが貫くのは難しいだろうから、安全のためだ。

オレ?オレに重ね着するほどの服はないよ。


 オレ達は、1階に降りる。優子さんが周囲の気配を探る。

「大丈夫みたい」

マンションの駐車場に置いてあるオレの車まで移動する。

当然、オレは運転席に乗ろうとしたのだが、ここでちょっとした問題が起きた。

せ、狭い!

巨大化したオレには、運転席が狭いのだ。乗るには乗れるのだが、太股にハンドルが干渉する。

見かねた優子さんが

「はい、代わって代わって。真人は後ろ。美咲ちゃんが助手席ね」

オレは、後部座席に移動する。

こんなとこでトラブルとは思わなかったよ。優子さんが免許持ってて良かった。


 えらく、シャープな運転でオレ達は美咲ちゃんの学校に向かう。

優子さん、ハンドル握ると性格変わるのね…

路上に放置された車など、まったく問題にせずに車が疾走する。

しかし、エンジン音がするのに生存者の姿は見えない。単にスピードが出てるので確認できないだけかもしれないが。

ほどなく、車は美咲ちゃんが通う中学校の正門前にたどり着く。

正門は閉められている。美咲ちゃんによると、この正門以外に校内に車が入れる出入口は無いそうだ。

周辺には、少しゴブリンがいるが問題ない。

優子さんたちを車内に残して、オレ一人で車外に出る。

「気をつけてよ」

「ゴブリンの数を減らしたら、正門を開けるから、優子さんたちは中で待ってて」


 一人、車から降りたオレに、まず3体のゴブリンが向かってくる。

さぁ、ゴブリン狩りだ。


 向かってきたゴブリンを足で蹴る。宙を舞うゴブリン。体が折れ曲がり、背骨が折れている。

ゴブリンを手で打ち払う。それだけなのにゴブリンの首が折れる。

ゴブリンの頭を握り、ちょっと力を込める。空き缶を握ったような感触がする、ゴブリンの頭部は変形していた。

ここまで、ほんの十秒程度しか掛かっていない。

車を背にするオレにゴブリンたちが、じりじり、迫ってくる。

う~ん、警戒はしてるけど逃げないな。

ここまで、戦闘力に差があったら、人間なら普通逃げるんだが。

野犬の群れのように、ボスみたいな個体でもいるのか?

後ろの方に、やや体の大きなゴブリンがいる。

あれか?

車から離れるのは危険だが、あの距離なら問題ない。

間にいる邪魔なゴブリンをなぎ払い、ボスを捕まえる。

捕まえたボスを近くに居たゴブリンに叩き付ける。

2体とも、体が潰れて死ぬ。

すると、こちらを囲んでいたゴブリンたちがバラバラに逃げ出す。

やっぱり、あれがボスだったのか。

ゴブリンの群れにはボスがいるみたいだ。

群れは、ボスの指示ってほどじゃないけど、ボスに従って行動する。

ライオンの群れみたいなものなんだろう。

ある程度、知恵のある肉食獣の群れの典型だ。


 周囲からゴブリンの姿がなくなったので、正門を開く。勝手に侵入されないために、南京錠があったが、引っ張ったら取れた。

車が校内に入ったのを確認して、正門を閉める。けど、鍵がないな。ふと、目についた花壇に刺さっている緑の棒で正門を縛ってみる。

うん、これでよし。


「大丈夫だった?けがしてない?」

車から降りた優子さんに心配される。

念のために確認するが、傷ひとつない。

「オレは大丈夫。学校のなかには、ゴブリンとかいないかな?」

優子さんが耳を澄まして、確認をする。

「大丈夫みたい。中にはいない」

ひょっとして、この学校周辺は、さっきのゴブリンの群れの縄張りなんだろうか?

肉食獣なら、獲物を確保するために縄張りを作っても、不思議はないだろう。

ゴブリンの生態は謎が多いが、動物として考えると肉食獣になるから、その生態が似るのだろう。


 美咲ちゃんの案内で、ひとまず、職員室に向かう。鍵を入手するためだ。

ダンジョン探検は、まず、鍵を入手してから。基本だな。

職員室自体に鍵がかかっていたが、ちょっと、触ったら開いた。問題無し。

美咲ちゃんは、1年生の時、図書委員をしていたそうなので、すぐに鍵を見つけてくれた。

職員室も、やっぱり、無人だな。

これで、美人教師でも隠れていたら、ハーレムエンド決定なんだが…

バカなことを考えていたら、優子さんに蹴られた。

最近、優子さん、オレの心を読んでない?ちょっと、気をつけよ。


 図書室で手分けして、役にたちそうな本を探す。

農業関係や野草図鑑、日本に住む動物の図鑑。野外生活に書かれた本や百科事典、それに、この県の地図や全国地図、ついでに世界地図。

全てが必要な気がして、本を選ぶのに時間が掛かる。

とりあえず、今後、1年の間に必要な知識が書かれている本に限定する。

それでも、かなりの量になった。車で来て、良かった。


 本を見ながら、今後の予定を確認する。

とりあえず、食料や水、野外活動に適した服を探す。あとは、簡単な農機具。罠用に針金やワイヤーなど。自衛用に鉈や手斧。大工道具も少し。野菜は苗の方が育てやすいが、軽い種を探す。

ライフラインの復帰がない以上、生活のイメージとしては、江戸時代ぐらいだろうか?

足りない物は、まだまだあるが、必要なら、取りに来ればいいと割りきる。

車で分乗して運ぶか、往復するか、悩んだが、安全のため、往復することにする。なにかあって、はぐれたら危険過ぎる。


 基本方針が決まったので、地図と電話帳で、付近のアウトドアショップやワークショップを探す。

何件かあるので全てを回れば、ある程度、必要な物は揃うだろう。

ガソリンは、そこらの放置車両からちょうだいする。

「思ったより、早く決まったね」

「図書室で調べながらだったから、必要な物が解ったしね」

「美咲ちゃんのお手柄だね」

優子さん、美咲ちゃんに抱きつくのくせになってない?

美咲ちゃんも、嬉しそうに微笑んでいる。


 一応、職員室に鍵を返しに行く。

ついでに職員室も軽く調べる。いや、美人教師がいないのは、分かってるんだが。

特に、役にたちそうな物は無いな。

あっ、美咲ちゃんのクラスのテストがある。こんなとこに置くなよ。いや、ゴブリンパニックで慌てたんだろうけどね。

ちょっと、お兄ちゃんとして確認しとこう。まだ、ほとんど、口きいてくれないけど…

ん。100点?

美咲ちゃん、めちゃ、頭いいんじゃない?


 本を車に積み込み、正門を開けるために移動すると、さっきの生き残りのゴブリンが仲間の死体を引きずっていくのが見えた。

埋葬する訳じゃないだろう。

仲間も喰うんだろう。共食いしてたし。

しかし、これなら、ゴブリンは仲間の共食いや外敵に襲われ、自然淘汰されていくだろう。

そして、生きれる数だけが残る。

この世界の新たな住人として…

そして、人類も生きれる数だけが残る。姿をかえて…


世界は崩壊したんじゃなく、新しい世界が始まったのかもしれないな。

そんなことを考えながら、学校を後にする。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ