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サバイバル  作者: 伊右衛門


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マンション編1

 ずっと以前に書いていた拙作のリニューアル版となります。


世界が崩壊してから、約3ヶ月。


 最初は新型のウイルス性疾患が流行しているので、不要不急の外出は避け人混みには行かないように程度の注意だった。

だが、徐々にこのウイルスがただのウイルスじゃないのがわかってきた。


感染した者は思考が低下してしまい肉体が変化し狂暴化するのだ。

まるで、ゲームやマンガに登場するゴブリンのように。また、感染力が強く、変異までの時間も短い。


昨日まで、ニュースを読んでいたキャスターが翌日にはゴブリン化している。


このウイルスの初期症状は、軽い咳、微熱程度。しかし、潜伏期間を経て発症すると一気にゴブリン化してしまう。

誰からともなく、ゴブリンウイルスなんて呼ばれ始めたこのウイルスは、ほぼ全世界に広まっており治療は不可能。また、予防薬も開発されていないようだ。

もしかしたら、どっかの政治家や権力者は自前でワクチンとかを開発しているかもしれないけどね。


 オレは、地方都市で仕事の為に一人暮らしをしていたがゴブリンウイルスが流行しはじめて、会社から自宅待機するように命じられた。

毎日、職場に安否確認のメールをするようにとの事だったが、自宅待機して数日でメールの返信は無くなった。


 かろうじてやっていた一部のニュースやネットでは感染者数は人口の半数を越え、さらに増加中との事だった。


その日のニュースを見ている途中に、キャスターが青い顔で震えはじめて、失礼しますと画面からはけて以降、放送は中止した。


以降は、ネットを中心にできるだけ情報収集したが、かなり、ヤバい状況になっている。


初期は病院に入院していた感染者は病院がパンクして、もはや収納できない。


そして街中に溢れた感染者は、人々を襲いはじめた。

警察などが対応しようとしたが警察内部にも感染者がいる状況では、対応のしようがない。


 さすがに民度の高い日本でもこの事態に人々はパニックになった。


食料や水、燃料などを求めて商店やコンビニに押し寄せ、人を押し退け争いが起きた。

海外では暴動や内乱状態でさらにひどい状況のようだ。

そして、電気ガス水道などライフラインも止まってしまった。


 幸いオレが住んでいたのは、郊外の田舎で周囲を田畑に囲まれているので、あれを収穫させてもらえばすぐに食料に困ることはないだろう。持ち主の方には申し訳ないけど・・・


歩いて10分ぐらい行けば、湧き水があるのも知っている。暇な時に周囲を散策しといてよかった。


料理が苦手なオレの部屋にはもともとかなりの量のレトルト食品が備蓄されている。

水も断水前に風呂やバケツ、ペットボトルなどにできるだけ溜めておいた。

しばらくは大丈夫だろう。


 さて、話題のゴブリンウイルスだが、当然、オレも感染している。


 だが、オレの場合は適正があったのか?ウイルスが変化してきているのか?幸いゴブリン化することはなかった。


むしろ、トロール化というかオーガ化というか、他の人々とはまったく違った変異になった。


 自宅待機していた時、なんだか身体の節々が痛くなってきた。ついにオレもゴブリン化するのかと悲しくなった。


 こんなことならもっと楽しんでおけばよかった。



美人で優しい彼女が欲しかったなぁ。学生時代に数人と付き合った事はあるけど就職してからはずっと一人だったし・・・


会社の先輩たちはどうなったのだろう。誰にも連絡つかないしやっぱダメなのかなぁ。


ネットの情報では眠っている間に、いつの間にかゴブリン化するって書いてあったのに。


くそぉ、騙された。


でも、よく考えたらゴブリン化したやつが書き込みなんかできるわけないから、元々、みんなが自分自身の恐怖心を和らげる為に書き込んでいたのだろう。


オレは歯をくいしばって、なんとか痛みに耐えていた。

せめて、最後は意地をみせたかった。

誰に?

オレ自身にだ!

死ぬのならせめて自分自身で死んでやる。

ゴブリンなんぞになってたまるか!


そうして、ほぼ1日オレは痛みに耐えた。

途中でほとんど時間感覚はなくなったが、周囲が明るくなる頃にようやく痛みが収まってきた。


どうしたんだろう?


ゴブリン化すると思考が低下して狂暴化するはずなのに、自分自身では思考が低下したとは思えない。

とりあえず、簡単な計算や暗記していた歴史などを思いだし確認するが、やっぱり思考が低下したとは思えない。


現在の状況も理解出来ている。多分・・・


痛みに耐え汗だくになってしまったので、濡れタオルで身体を拭こうと思い水を溜めている風呂場に行こうと立ち上がると、ふと、違和感を感じた。


なんだろう?


まずは、汗を拭いてからと洗面所を通るとき、何気なく洗面台についている鏡を見て、思わず叫びそうになった。


オレの身体が変わっている!


ゴブリン化する場合は、身長1メートルちょっとぐらいに身体が縮んでしまうはずだが、オレの場合は、逆に、巨大化していたのだ!


正確にはわからないが、洗面台の鏡が自分の胸部の下辺りにあることから2メートル近い身長になっているのではないだろうか?正確に測れば、2メートルを越えているかもしれない。


それに顔つきも変わっている。


何度も殴られて回復した感じと言えばいいのか、えらく狂暴な感じになっている。

何となく面影があるのでオレであることはかろうじてわかるが。・・・多分。


指も手も大きくなっている。

寝る時に着ていたシャツがパンパンになっている。

きつくなったシャツを脱ぐとまるで筋肉の塊のような上半身が現れた。


なんだ、こりゃ。


ハッとして、ボクサーパンツを引っ張って、ある意味一番大事なところを確認する。


おぉ、エクセレント!


・・・喜んでどうする、オレ?


なんで、こんな身体になっているんだ。

ゴリマッチョどころか、ほぼ、ゴリラだぞ。ってか、ゴリラ以上のような感じがする。


落ち着こう!落ち着いて、考えるんだ!


まず、この肉体の変化というか変異はゴブリンウイルスの影響だろう。

これだとゴリラウイルスって感じだが。


洗面器に風呂から水を汲み、タオルをそっとしぼる。

この身体だとかなり力が強くなっているだろうから、慎重に行動しないと。

かなり軽くしぼったのに、タオルがちぎれそうになる。やはり、力が強くなっている。


洗面所に置いてあった体重計にのると、針がふりきれてしまった。

たった1日で驚きの増加だ。

これだけの重量が、どっからわいたんだ。


昨日の痛みはこの肉体変異の痛みだったのだろう。

なぜ、オレがこんな変異をしたのかはわからないが、ゴブリン化するよりはマシに感じる。


ゴブリン化した人は、危険だが思考が低下しているので複雑な罠や戦略は使えないと思う。

単純な力勝負になったら大きいオレの方が有利だろう。


住んでいるマンションから、そっと街中を見てみる。

かなり遠いのに、普段より良く見えるように感じるんだが


ゴブリン化した人々が歩道や車道の区別なく歩き回っている。

すでにゴブリンウイルスが流行して、3ヶ月。


ほとんど無政府状態だ。


初期にはヘリコプターなども飛んでいたが、最近はまったく見ないし、動いてる車すら見かけない。

ざっと見た限りは生存者は確認できない。 

オレが住んでいるマンションの住人も、ゴブリン化しているんだろうなぁ。

誰が住んでいるのか、ほとんど知らないけど。


確か、このマンションの同じ階にはオレ以外は男性が一人しか住んでいない。

ウイルス流行して自宅待機してから一度も会っていないので、もしかしたらどこかに避難しているのかもしれない。

オレの部屋はマンションの最上階にある為、これまで街を観察していたが普通の生存者の姿は確認出来なかった。

オレ一人がそんなにサバイバル能力が高いとは思えないから恐らく、生存者は隠れているんだろう。

この状況だとゴブリンも怖いが生存者もかなり怖いからね。


しかし、オレの変異を考えると他にも同じようにゴブリン以外に変異した人がいるんじゃないだろうか?

もし同じように変異している人がいるのなら、協力した方が有利になるかも知れない。


ん~、急激に肉体が変異したせいなのか、思考がまとまらない。


焦りは禁物だろう。


まだ、肉体の変異が終わったとも限らない。

いやな可能性だが、このあとにゴブリン化するのかも知れない。


しばらく、大人しくしていた方が賢明だろう。

まだ、水も食料もある。

少なくとも、24時間は自分自身を観察するべきだ。


とりあえず甘いものでも食べて落ち着こう。


貴重な桃の缶詰めを食べることにする。

おぉ、結構、でかいはずの桃缶が缶コーヒーのようだ。

もしかして身体がでかくなった分消費量が増えていたりして・・・

味わって食べよう。

 

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