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日常の幸せ

作者: ともき

学生の自分が想像で作った作品です。事実と異なる事があるかもしれませんがどうぞご了承下さい。

今日もいつもと同じ。



満員電車に揺られ狭い電車内で何にも出来ない。

ただ前にいる女性に触れない様に踏張っている。

少しでも触れてしまったら痴漢と勘違いされてしまうかもしれない。

そうなったら俺の人生は破滅だ。


今日も無駄な体力を使い電車を降りる。

会社まで徒歩で向かう。季節は夏、惜しみなく太陽の熱が俺達を照りつける。俺を含め道行く人は暑さの為顔を顰める。

もうこれ以上暑くなられたら俺はもう働けない。


今日も汗で体がベタつき気持ち悪い。

勤め先であるビルに入ると冷房がきいていて涼しい。でもそれは今だけ。デスクワークをしていると長い間同じ場所にいる効き過ぎる冷房によって体は冷えだるくなってくる。

早くも俺の体は悲鳴をあげている。


今日も体が芯から冷え気持ちも冷めてしまう。

それでも働なければ生きていけない。上司に扱き使われ同期からは見下される。不器用な俺は仕事が遅い。だから人一倍努力しようと頑張ってみるが一向に良くならない。今日もパソコンの入力ミスをし上司に怒鳴り付けられる。皆からの視線が痛い。

俺は生きている意味があるのか?


今日も心身ともにズタズタだ。

早く家でゆっくりしたいのに上司から飲みに誘われた。仕事の時はボロクソ俺の事を責めるのに何故か俺を良く飲みに誘う。断れる訳もなく飲み屋へと向かう。酔った上司は奥さんの愚痴を初める。小遣いが少ないとか口うるさいとかどれも聞いた事のある話しばっかりだ。それでも俺は何度も相槌を打って気持ちがわかっている振りをする。

俺はまるで話を聞くだけの機械の様だ。


今日も酔い潰れた上司をタクシーに乗せ俺は駅へと走る。

新人社員の俺はタクシーを使う贅沢なんて出来ない。だから俺は終電に間に合うように疲れ切った体にムチを打ち走る。ギリギリ間に合っても座る事は出来なかった。席が1つ空いていたが少し離れた所に高齢者の方が立っていた。

俺は席を譲り電車のドアの窓を眺め小さくため息を吐いた。


今日も立ったまま寝てしまい乗り過ごしそうになって慌てて電車を降りた。

帰り道歩きながら自分に問う。これでいいのかと、これが俺の望んだ生き方なのかと。子供の頃はヒーローになりたいと思っていた。みんなを助ける心やさしいヒーローに。今の俺は自分の事で精一杯で誰かを助ける余裕なんてこれっぽっちも無かった。逆にこっちが助けてほしいぐらいだ。

情けない男だな俺は。


今日も自分に呆れながら家に着いた。

小さなアパートだ。もちろんエレベーターなんて在るはずも無く俺は階段を登る普通なら何の苦にもならない小さな階段だか今の俺にはひどく堪える。なんとか玄関の前まで来た。鍵が閉まっている。俺はポケットから鍵を取り出しドアを開けようとした。しかし鍵がはずれる音がしてドアがゆっくりと開いた。

「おかえり」


今日も妻の笑顔があった。妻の「おかえり」が待っていた。

今日も俺は幸せだ


学生の自分が想像で作った作品です。事実と異なる所があるかもしれませんがどうぞご了承下さい。

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