第58話 冬備え開始
ここから少し足早に物語は進んで行きます。
今回も珍事件が起こりますよ!
さあ、冬支度の始まりです!お楽しみください!
ユウキとリュウが引っ越してきて早いもので1ヶ月程が立とうとしていた頃、みんな伸び伸びと自由に暮らしている。この1ヶ月で私の環境にもいろいろと変化が生まれた。
畑仕事や家の改築など様々なテコ入れを余儀なくされていた。理由は冬備えである。山が近いので雪は降る。森の作物なども軒並みお休み期間に入るだろうということだ。
「シルくんが止めるんスよ。採取。」
ユウキがこんなことを言っていた。冬の生態系とかなにかがあるらしい。この森にだれよりも詳しいのはシルクだろうということで従うようにしている。
冬を越えるために、まずは食だろうと言うことでビッグピッグをもう1頭、それからトライアングルホーンパイソンをなんと3頭も狩ってきてくれた。以前街でシルクのお土産に購入した美味しい牛肉だ。
「シルくんすごいんスよ!追い立てるわ避けるわ!ピレってあんなに早く動けたんスね!普段のんびりしてるからびっくりッス!」
「へーそうなんだ?普段のシルくんからは想像出来ないなー。」
ユウキに褒められたシルクはなかなかにドヤ顔で誇らしい表情をしていた。グレートピレニーズって猟犬じゃなかったと思うんだけどな。食い意地かな。
さらに食環境は特筆すべき出来事が起こる。
「・・・タロウさん。」
「ん?リュウくんどうした?」
ニョロを引き連れ畑を広げるべく、朝食後畑に向かっていったリュウが家に戻ってきている。
「畑。・・・・・・これ。」
いつもより長い沈黙の後に出てきたのはそれは立派なみずみずしい赤色をしたトマトであった。
「え!?もうこんなに大きくなったの!?」
「・・・他のも。」
「え!?」
実際に畑に向かうと青々と茂ったトマトの列や畑から少し頭を覗かせているオレンジ色のニンジン。ジャガイモも掘り出してみると同じように素晴らしい出来栄えに生長している。口をあんぐりと開けた間抜け面で立ち尽くしていると、リュウに小突かれる。
「多分、あれ。昨日の・・・タロウさんが言った。」
ーーーーーーーーーー昨日の昼間のこと。
「・・・これ、何?」
「あ、これ?ここがトマトでこっちがキュウリ、ニンジン、タマネギ、ジャガイモにサツマイモかな。」
「・・・カレー!」
キュピーン!と効果音が鳴ったかのように急に鋭くなるリュウの目つき。気のせいだろうか、目尻の先で一瞬星が光った気がしたのは。
「トマト使って無水カレーとかもいいよねー。こんな大自然で自給自足のお野菜を使ったカレーライスかー。絶対に美味しいよね!」
「楽しみ。」
ご飯の話になるとこの子寡黙じゃなくなるんじゃないか。いや、本当はこちらが素なのかもしれない。
「冬越えたら大丈夫なのかなー。加護のお陰で季節関係ないのはありがたいよね。野菜ができたらお供えしないとね。」
「・・・俺、越冬キャベツがやりたいです。」
「越冬キャベツかー!いいよねー!丁度あの辺ももう種植え出来そうだしキャベツやろうか。」
「・・・お願いします。あと・・・お腹減りました。」
「そうだね。」ーーーーーーーーーー
ハハハと笑って作業をしていたシーンを回想する私とリュウ。
「お供え!?」
「・・・恐らく。」
「嘘でしょ。」
こうして女神の加護のチートがあり第1弾の農作は大成功を納めた。
「さて、やりますか。」
まずはスパイスから。クミン、カルダモン、ターメリックにガラムマサラ、レッドチリパウダーにブラックペッパー、グローブとしょうがを。豊富なスパイスをふんだんに使う。ちなみに街のスーパーで購入したものだ。
トマト、タマネギは多めに、ニンジン、ジャガイモ、キノコを使う。寸胴の底にラード(今回はトライアングルホーンパイソンの背中の脂身)を溶かし、スパイスを炒めます。
フードプロセッサーもどきの『ブ〇ブ〇チョッパー』を使ってタマネギとジャガイモ、トマトを順に切り刻んでいく。トマトは水分がこの後大事なので無駄にしないよう最後にします。そしてニンジンはおろし器ですり下ろす。
スパイスの香りがきたら、タマネギ、ジャガイモ、ニンジンを入れさらに炒め、色が飴色になってきたところで角切りにしたトライアングルホーンパイソン(以下牛肉)を投入。牛肉にも色がついてきたところで液状までチョッパーをグイングインしたトマトを入れてさらに混ぜます。ここからは蓋をしてしばらく放置しては混ぜるを繰り返します。
ちなみにこの日のご飯はターメリックライスにしました。
ちなみにちなみに、この無水カレーのレシピは現世にいた頃の同僚に美容にとても効果があるとのレシピを教えてもらったので女性にオススメとの事です。真偽は不明。
こうして完成した無水カレーを女神様にお供え分を取り分け、さらに鍋にパプリカパウダーとガラムマサラ、ターメリックを追加投入し、より辛く味付けをしていくのである。女神様の分を先に取り分けた理由は女性にオススメのレシピそのままの方がなんかいいのかなと思ったからだ。
この夜、この話を2人にした。
「・・・女神様ですよ。」
「女神様に美容って!絶対すでに絶世の美女に決まってるッス!」
とごもっともな指摘をされるタロウであった。
女神様だって美容に気使って欲しいですよね?
余計なお世話ですかね?(笑)
それにしても女神様、食い意地の為に畑に介入はずるいですよね。
ちゃんと生長を待ちましょう。
さて次回は家です!お楽しみに!




