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【完結済み】田中太朗のスローライフ〜普通な男の転移生活〜  作者: 三笠 どら
第5章 本格物作り 【破】

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第52話 雷雨が運んできたもの

今回で第5章は最終話となります!

最終話何が起こるのか!

まずは食レポからですけどね(笑)

お楽しみください!


「シルくんご飯だよー!」

「ワフ!」

 私の目の前には転移してきてから一番の食事が並んでいる。

「はい。シルくんの分。」

「ヴォフ!?」

 シルクの前に出されたご飯は宣言通りドッグフードのみ。昼寝をし、いい匂いを散々嗅がされどうやら忘れていた様子。

「ん?どうかした?」

「ヲ・・・ワフン?」

「かわいくしてもダメです。昨日梨食べちゃったのシルくんでしょ?」

「ワ・・・ヲフ。」

 ぶりっ子して誤魔化そうとするも不発に終わり諦めることにしたようだ。反省したかな。全く。

「反省した?」

「ヲ!?ワフ!ワフワフ!」

「もう盗み食いしない?」

「ワフ!!!」

「今回だけだよ。」

「ワフッ!!!!」

 私も甘い方だな。と思いながら追加で用意しておいたビッグピッグのステーキと切り分けたリンゴをシルクの皿に入れてあげる。シルクはペコペコとお礼を言う様な仕草をした後こちらを伺うので食べていいよ。と促してあげる。さあ、晩餐の開始だ。

 まずはコンソメスープからいただこう。ブイヨンから作ったコンソメは各食材の旨味が凝縮され、透き通った黄金色をしている。シンプルな見た目通り上品な口当たり。鶏のブイヨンを経て牛を使い、スープへと進化したコンソメスープは多分に重厚感も感じられる。手間暇をかけたことが口の中から伝わってくるほどの何層にも重なる味わいが満足感を与えてくれ、満腹中枢を刺激してくる上に、これから続く料理への期待感を掻き立ててくれる。

 次はピカタだ。ピカタとは欧州のどこかの郷土料理と聞いている。小麦粉を繋ぎにし卵を絡めたり、卵を使わなかったりするようだが田中家では小麦粉の手間を省き卵のみという仕様。家庭料理なんてそんなものでしょう。

 ブイヨンに使用した鶏肉を使っているため薄味であっさりしているが香味野菜の風味はしかと感じられ、とても柔らかくフォークだけでほろほろとほぐれていく。そこにさらに香草を追加しているので口の中だけでなく鼻腔までも刺激してくる旨味と風味のダブルパンチ。コンソメを吸った卵が薄味をカバーしてくれるので全体にも味が行き渡り薄味の鶏肉をカバー。今日は箸休めに少し小さめにカットしているがメインディッシュも張れる味わいが口の中に広がっている。

 そして、メインディッシュのブルボーノ茸のクリームパスタ。コンソメスープとピカタによりあっさりとした味わいで食欲を掻き立てられた私の脳へまず届く情報はクリームを代用している濃厚なチーズ。あっさりが続いたところで強烈にチーズの濃厚さが味覚を刺激、濃厚さに驚いてばかりもいられない。チーズに絡められたブルボーノ茸の芳醇な香りがパスタが喉を通るよりも早く私の鼻腔を通り外気に抜けていく。

「フーーーーーーーーン。」

 もはや言葉などいらない。口へ含み鼻から抜けていく風味。ポルチーニ茸はキノコの王様と言われるが、ブルボーノ茸はそれをも凌駕しているのでは無いだろうか。

「ふはっ。ボーノ。」

『ボーノ』イタリア語で美味しい。と言う意味の言葉を冠したブルボーノ茸は今までの人生で食べたキノコの中で圧倒的な香りと旨味を感じさせてくれる。これが異世界の力だろうか。ブルボーノ茸とは上手く名前をつけたものである。

 もう一口、器用にフォークでくるくるっと巻いてパスタを口へ運ぶ。ブルボーノ茸では無くビッグピッグのベーコンもどきもこれ以上ないくらいの濃厚さを与えてくれる。

 揚げ焼きにされたベーコンは噛む度に、自身の脂を解き放つかのように滲み出してくる。チーズと絡むベーコンもどきの脂。口の中はこってりと言う一言で言い表せない濃厚さに溢れている。それを洗い流そうとコンソメスープに手を伸ばす。もう我慢できない、お行儀など知るか。とスプーンを使わずスープ皿に口をつけ口の中をリセットするかのように大量に流し込む。口の中に広がるブルボーノ茸やチーズの芳醇さとコンソメスープの凝縮された旨味が私の味覚、嗅覚の全てを満たしてくれる。ああ。なんて幸せな一時だろう。

 気が付けば目の前のお皿は空に。一心不乱に食べ続けた結果ものの数分で食べ終わってしまった。いや、これでいいのだ。美味しいは正義。全てを忘れさせてくれる感動に満ちた一時を過ごした。

「大・満・足。」

 その一言を残し畳へ寝転がる私。この至福の時を噛み締める。縁側を通り程よく家の中へ吹き込んでくる風が心地よ・・・。

『ブォーーーーーーーーーーン』

 あれ、風強すぎないか。

「ヴォフヴォフ!」

 眠りそうになっていた私を呼び覚ます強風。シルクも警戒を強める。近くも遠くも見える空に浮かぶ巨大な黒い雲。遂に転移当初に私を追い詰めた雷雨がやって来た。普通の雨ならば今までもあったがあの規模のものは何ヶ月も無かった。だがもう以前の私とは違う。もう家があるのだ。

「シルくん。大事なもの外から持ってきてね。ボールとか。」

「ヲフ。」

 返事をしてかけ出すシルクを確認し、雨戸を閉める。程なくして雨が屋根を、壁を打ち付ける音が響き戸板や雨戸を風が吹き付けガタガタと音を鳴らす。締め切った家の中は薄暗いがロウソクの灯をつけているので真っ暗ではない。ちなみに普段は月明かりで充分明るい。

『ドンドンドンドン。』

 戸板が強く打たれる。

『ドンドンドンドン。』

 さらに戸板が強く打たれる。(かんぬき)を掛けているので開いてしまうことは無いだろうがよもや抜けたりしないよね?

『ドンドンドンドンーーーーーさん。』

「ん?なにか・・・?」

『ドンドンドンドンーーータロウさん。開けて。』

「ワフワフワフワフ!!」

「え、今の声って」

 ドアの外から知った声が聞こえてくる。慌てて戸板の閂を抜き、招き入れる。

 突然の訪問者を招き入れた玄関にはずぶ濡れのリュウが立っていた。



 第5章 完

これにて第5章も完結となりました!

今回ちょっと長く話しますね。

いらない人は飛ばしてください(笑)


気付けば50話も越え、第5章も完結とあっという間でございました。

日々ブックマークやPV等も増えておりありがたく思っております。そして、大変励みにもなっております。

ここまで約1ヶ月半ほど毎日更新を続けてきましたがそろそろストックが追いつかれつつありヤバい作者です(笑)

なんとか今後も毎日更新を続けて行けるよう誠心誠意努めさせて頂きますのでどうぞ応援して頂けたら幸いです。


この場をお借りして皆様にお礼をお伝え出来ればと思います。

前述致しましたが、ブックマークや評価ポイント、リアクションなどを頂きまして大変励みになっております。

ランキングにも載せていただくこともあり、ご愛読頂いている皆様のおかげです。

これでいいのか、この展開はどうなんだ。と不安になることも多々ございますが、自分を信じ、また、皆様の反応を信じて精進していく所存でございます。

今後も私を励ますためにどうかリアクション等お願いいたします(笑)


長くなりましたが第6章からもどうか、どうかながーーーーーーーーい目で見守っていただけますと幸いです。

第6章もお楽しみに!

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