第46話 これが、マリアージュ。
さあ!久しぶりに来ましたよ!
お料理回です!お腹が減る準備はできましたか?
いただきましょう!!
夕暮れ時、シゲノブ一行及びタズナはセンタープレストへ帰っていった。リュウとは、レンガや漆喰などの建築素材について。クロードとは囲炉裏や井戸などの建築方法についてなどの情報交換を行っていたため少し遅くなってしまった。
その間ユウキはシルクを連れ森の中へ行き、なんと魔物を仕留めてきた。シルクの中でユウキは森の奥へ踏み込んでも大丈夫なのだろう。前も連れて行ってたしね。
肉もとい魔物の名前はビッグピッグというらしい。その名の通り大きな豚で、これでしばらく肉には困らないだろう。
「多分シルくんこの肉好きなんだと思うッス。見かけた途端駆け出してたんで。仕留めた時はすごいはしゃぎようだったッス!」
そんなことを言っていた。ていうかシルクは魔物を仕留められるの?愛玩動物だと思っていたけど強いのかな。
「お疲れ様。」
「ワフ!」
今日の頑張りを労ってあげると嬉しそうに尻尾を振っていて可愛いこの上ない。2日間来客に構いきりで他にも護衛やらなんやらと忙しなくしていてくれたので、今晩は好きなだけ焼いてあげようと心に決めた。
タズナはちゃっかり青空バザールを行っていたので各種調味料と野菜類、調理器具など追加購入しておいた。家具の発注に関してはこれからは受注生産に切り替えるとのことで急ぎで作る必要はないらしい。
「お前注文入る度に寛ぎにくるつもりなんだろう。」
「エヘヘ、バレたか。」
受注生産に切り替えるという話を聞いていたシゲノブに突っ込まれたタズナは舌を出して誤魔化していた。私としては皆がここを気に入ってくれたならまた来て欲しいなと思っている。
全員を見送った後、夕食の準備を始めることにする。まずはシルク用にビッグピッグの肉を厚切りにする。まずは2枚。脂身がとても多い豚肉という感じなので脂身の分厚いところは削ぎ落とし、肉が柔らかくなるように叩いていく。熱したフライパンに削ぎ落とした
脂身を落とし、脂が馴染んだところでまず1枚。言わずもがな豚肉ステーキである。
焼けている間にシルクがおかわりをした時用にスライスしていく。大量の薄切りの豚肉を山盛り用意し、肉を裏返す。両面に焼き色がついたら1度火から離し、アルミホイルに包んであらかじめ火を入れていたかまどに放り込む。簡易オーブンである。想像力豊かな皆さんならもうお気付きでしょう。焼き芋の真似です。
2枚目も同じように処理をしかまどに放り込んだ。アルミホイルから脂が垂れているのだろうか、時折薪の爆ぜる音が鳴るが、豚肉なんでね。しっかり火を通していく。
ステーキに火が通るのを待つ間に鍋に水を張り、フライパンの作業が終わり空いたスペースで火にかける。沸騰したらスライスした薄切り肉を少量ずつ投入。時々アクを取りながら茹でていく。ある程度の量が茹で上がったところで一旦火から離しお湯はそのままにしておく。
かまどからアルミホイルに包まれた肉を取り出し、シルク専用のご飯皿へ取り分ける。今日のシルクのご飯はいつものドッグフードに豚肉ステーキが2枚、リンゴが6切れだ。
「シルくーん!ご飯できたよー!」
「ワフワフ!」
「今日は久しぶりに外で食べるから出てきてねー!」
最近シルクは暇になると大黒柱の近くで寝そべっていることが多い。魔力?が関係しているかも、と曖昧なことをユウキが言っていた。
今も見当たらないので大黒柱の近くに居るんだろうと思いベンチのところへ呼び出すと家の中から返事がした。
「はい、今日はご馳走です!」
「ワフ!」
「いつもは食べ過ぎだめー!って言ってるけど今日はお腹いっぱいまで食べていいからね。2日間みんなの相手してくれてありがとう。お疲れ様でした。」
「バフ。」
労い、褒める私の態度を見てか少し誇らしそうにしているシルク。素直だなあ。なんて思いながらご飯を渡す。
「おかわりは別であるから足りなかったら言ってね。」
「・・・。」
もうすでに聞いているのか聞いていないのか肉にかぶりついていたので自分の分を用意する。
先程シルクのおかわり用に茹でた残りのお湯をもう一度火にかける。ここで自分の分には出汁を投入。なんと今回はタズナから買い受けた顆粒だしである。なんて楽な世の中なんでしょう。顆粒だしが溶けだしたら薪を避け火を小さくする。沸騰しすぎると香りが飛んでしまうって何かで読んだ気がするので私はいつもこの方法。こうすることにより肉自体にも出汁の味が染み込むのである。
「本当は僕もステーキにする予定だったんだけどな。」
シルクのしゃぶしゃぶを作ってる間にどうしてもしゃぶしゃぶが食べたくなったのである。今日は自分も贅沢してしまえといつもより少し多めに茹で、追加で白菜、薄切りにした人参と大根、白ネギを加え茹であげる。
「じゃじゃーん!豚と野菜の旨み溢れる豚しゃぶの完成でーす!」
「ヲフ?」
「あ、ごめんなんでもないよ。」
「ヴォフ。」
「あ、おかわり?ちょっと待ってね。」
ついついテンション高くご飯の完成を喜び叫んだらシルクがなんだと首を傾げている。独り言だと伝えると呆れ顔で空になったお皿を差し出してくるのでおかわりをよそってあげる。
ビッグピッグのお肉は脂身がとても甘く噛みごたえはあるが柔らかいという凄く上質な肉質だった。薄切りにしてもジューシーさは無くならず濃厚な味わいである。
「あ、そうだ。アレあったな。」
出汁の香りを漂わせながら味わうのも悪くないが、家に戻り冷蔵庫へ。タズナから購入したしゃぶしゃぶにうってつけのアイテムを取り出す。
さっぱりとした柑橘の爽やかさ、食欲を促進してくるような酸味。肉の味を損なわせない程よい塩味。さらには脂を中和しつつ決して邪魔をしない。これこそがマリアージュだろうか。これ以上の組み合わせはあるんだろうか。そう錯覚させてくるこの調味料だが、私はしゃぶしゃぶ以外にもいくつもいくつもマリアージュを起こすことを知っている。
肉だけでなく野菜までも本来の味を引き立ててくる。まさに絶品。しゃぶしゃぶ最高。
「ふぅー。お腹いっぱいだー。ありがとう、ポン酢」
ポン酢最強かよ。
ということでグルメの皆さま大変お待たせしました。
だいぶ久しぶりだったのではないでしょうか。
今晩豚しゃぶにしよう。と思います。
みなさまもぜひ!ではまた次回!




