第30話 太朗生活改善化計画!?
嵐のように過ぎ去って行ったタズナの来訪を終え、
今回はいよいよ粘土作業です!
太朗は人や街に触れどのような心境の変化があったのか。
そしてどのように作用してくるのか、第3章最終話スタートです!
嵐のような魔女っ子を見送り購入した物をひとまず片付けようやく作業台へと向かう太朗。日も中天を周り西(?)に傾きつつある。
「さて。」
「ヲフ。」
作業台の上に山盛りになっている粘土層の土を前に仁王立ち。その横でシルクも見守っている。
まずは検証した結果適量と思われる水を粘土層の土少し控えめに全体を混ぜる。柔らかさを確認しながら水を足し、また混ぜる。少し入れすぎたかな、と思うと粘土層の土を増やす。これを繰り返し繰り返し練って混ぜて練って混ぜて満足のいく固さにする。
「生活の知恵で得た閃きってもしかして作業効率上げるのかなあ。」
単純作業を繰り返していると不思議と考えが回るもので、最近明らかに製材作業のスピードが上がっている。そう考えれば家の製作スピードやこの粘土もいい固さだと気付けることにも説明がつくのだ。無言で考えをめぐらせながら行っていた単純作業に飽きたのか、シルクは気が付くと近くにいなかった。森へ遊びに行ったのだろうか。
適度な固さになった粘土に意識をもどす。膝くらいの高さまでの小山を地面に用意し形を整える。
「えっと、中を掘って・・・上に通気口開けて・・・。あとは乾かせば完成?」
作っているのはかまどである。空洞を掘りドーム状にした後頂点に小さな穴をあける。これだけでは足りないと次に高さを低く、頂点を平たくして今度はフライパンよりも少し小さな穴を開ける。形は長方形に成形する。キャンプ場にあるかまど(?)のイメージである。
かまどが乾くのを待っている間に余った粘土を小さく長方形に形を揃えて成形していく。これはかまどが完成したら焼いてレンガにするつもりである。作業台の上にある粘土をひとしきりレンガ状に成形したところでシルクが森から帰ってきた。身体も綺麗になっている。
「おかえり。水浴びしてきたの?」
「ワフ!」
戻ってきたシルクはかまどを見て首を傾げている。乾燥にはまだ時間がかかりそうなので家の入口へ向かう。
まず、2メートル四方が2つ並んだ家に縦2メートル横幅1.5メートルのベッドがある。シルクの寝床はベッドより手前の入口側に移動している。
さらに入口側、シルクの寝床の隣のスペースには食器棚と新しくきた冷蔵庫。とにかく狭いのだ。シルクも不満そうである。
「冷蔵庫も買っちゃったしこれじゃあなあ。」
「ヲフ。」
「よし。やっぱり建て直そう。潰すのは勿体ないからここは物置とかで使おうかな。」
そうと決まればまずは計画から。メモ帳とペンをインベントリから取り出し、ざっくり図面をお絵描きする。図面の書き方とかわからないしね。
「キッチンと寝室を分けるとして、でもキッチンってかまどだよね。てことは昔の家のような形にして・・・。」
メモ帳に思いついたことを書きながらボソボソと絵を描いたり間取り図のようなものを書いたりと思考をめぐらせる。書いてはめくり書いてはめくりメモ帳がどんどん消費されていく中辺りは夕暮れ時に。
「だめだ!わからん!」
考えすぎて分からなくなったところで一旦切り上げかまどを見に行く。
「ん?なんか亀裂が・・・?」
所々ひび割れしているのは不安が残るが表面を触ってみてもちゃんと乾いているし、思っていたものは出来ているように思う。
「よし。とりあえず完成だな。」
完成したかまどに薪をくべる。ドーム型の方は多めに薪をくべ高温に。フライパン用の方は少し弱火で頂点に開けた穴から火が出る程度に。
しばらく様子を見ていて問題は無さそうなのでフライパン用のかまどは火を消し、ドーム型の方へはさらに薪を追加する。ゴウゴウと燃える炎を見ながら小さな長方形に成形した粘土を中へ入れていく。レンガに挑戦である。
「暑・・・。」
高温のかまどの側はとても暑かった。焼けるのにも時間がかかるだろうし、ひとまず避難することに。
ため池から水を運んだり、木彫りの人形を製作したりとシルクとのんびりした時間を過ごしている。
『パキッ』
「ん?なんか音鳴った?」
「ヲフ?」
音が鳴ったと思わしき方へ首を向ける。シルクも同じほうを見ながら首を傾げている。
『パキッパキパキパキッ』
「えっ、やばい!?」
「ヴォフ!?」
音の出どころは完全にかまどからだ。慌ててかまどへ走っていくとドーム型のかまどにはひび割れではなくもはや亀裂が大量に入っている。
「シルくん危ないから下がっててね。」
危険を感じ私を守るように立ち塞がるシルクを後ろに制し、かまどを観察していたのも束の間崩壊が始まる。少しずつだが完全に崩壊していくかまどを見ていることしかできない。
「なにかが違うんだろうな。思い返せば生活の知恵が反応してないし。」
かまどの崩落後、水をかけ消火を終えた私はベンチに腰掛け考えを巡らせる。成功するときはスキルが反応している。よくよく考えればわかったはずだ。
「はあー。」
大きくため息がでる。楽しかった拠点改造のメモをインベントリから出し、またしまう。落ち込んでいる様子の私を慰めようとしてかシルクが身を寄せてくれるので、身体を撫でてやる。
「そうだよね。前向かないと。忘れてたよ自分が普通の人間ってことを。」
異世界を肌で実感し、魔法に触れ、ドラゴンや空飛ぶ魔女ともであった。ここが異世界であるということを再認識しなにか勘違いをしていたようだ。
「そもそも異世界だったら僕普通以下だし。」
「ヲフ。」
自分の現在地を見つめ直し、自分が平凡な人間であるということを再認識する。それから気持ちを新たに、普通の人間として生きることを思い出す。
「なにごともトライアンドエラー。失敗なんて当たり前じゃないか。僕は天才じゃないんだから。」
「ワフ!」
第3章 完
目まぐるしい第3章いかがでしたか?
実はこれ書いてる時まだ公開してるの15話なんでシルクの名前が決まったところです!
新キャラ出すたびにめちゃくちゃ不安になる作者です。
受け入れてもらえるか不安で(笑)
なので3章は不安ながらに書いていることが多かったです。
どうか暖かく、どのキャラクターも受け入れて貰えると嬉しいです。このキャラが好きですとかあれば教えてください(笑)
さて、次回からは第4章に突入します!
普通の人間、もはや普通以下を認識した太朗。
どのような異世界スローライフを送るのか。
作者ともどもながーーーーい目で見守ってください。
第4章もよろしくお願いします!
※明日から8:00投稿になります。




