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触手 in クーラーボックス(仮)  作者: 一級フラグ建築士
第3章 野良猫狂想曲

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下手に嘘はつかないほうがいい。だから嘘はつかない。

 受付を済ませた後、床の光に沿って歩くように指示されて、その案内通りに進んできた。もちろん砂塚も一緒だ。エレベーターや扉は、探索者免許をかざせば開いた。おそらくセキュリティ的に、許可された場所しか入れないようになっている。なんかかなり徹底されている気がする。というか、たぶん1流企業でも、こんなガチガチのセキュリティで守っている会社、なかなかないぞ。


 まいったな。何かあったら速攻で逃げ出すつもりだったんだけど、おそらく逃げ出した瞬間、探索者免許の権限が剥奪されて逃げられなくなる。というか、受付から施設奥に通された時点で、おそらく、逃亡はほぼ不可能になったな。油断していた。エレベータにのって5階に到着する。…これも帰るまではもう一度乗ることは出来なさそうだ。


 つまり、もうここで腹を括らなければならない。もう後戻りという選択肢は封じられてしまっている。…地獄へ続いているかもしれない床の光は、まっすぐに伸びて『第一会議室』のプレートが貼られた部屋へと続いている。


 「砂塚、砂塚はここまで来たことはあるか?」

 「あるわけ無いですね。一般職員が立ち入れないフロアだと思います。」

 「…まじか。」

 「魔石如きで、ここに呼び出されることはたぶん無いと思うんですが。」

 「…他にここに呼び出されるとしたら、どんな理由がある?」

 「…うーん。正直思いつきません。」

 「だよなぁ…。」

 「それより…入らないんですか?」


 気がつけば、もう会議室の目の前に到着している。あとは扉を開けるだけだ。…すでに喉はカラカラだが、ここからUターンするのはもはややましいことがあると言っていると同義になる。腹をくくるしか無いだろう。


****************************


 「こんにちは裏野さん。風見と申します。本日はご足労いただき申し訳ありません。」

 「いえ…。」


 目の前の人物は、私を呼び出した風見の名前を名乗る。正直緊張で顔を覚えるどころじゃない。


 「そして、砂塚さん、お久しぶりです。」

 「お久しぶりです。風見本部長。」

 「…知り合いなのか?」

 「いえ、転職した際に面接を受けたきりですね。覚えていただけているとは。」

 「覚えていますとも、全員。さて、さっそく本題にはいりましょう。」


 そう言いながら、風見さんに着席を促される。机の上にはすでに、複数枚の用紙が置かれている。


 「そちらの内容を読みながらで構いませんので、お話いたします。先に今回の魔石の査定ですが、『ルーキー・シュレッダー』の魔石が1,199匹分に加えて、新種のユニークあるいは、ボス個体の魔石が1匹分となります。」


 …は?


 「これは魔石の大きさと形状、それから品質からの推定ですので未確認事項となりますが、査定にだされた大量の魔石の中に、1つだけランクAの魔石が混じっていました。裏野さんはこの個体を確認してらっしゃいますでしょうか?」


 まずいな。見てない。いや、見たけど、全部肉片になった後なんだよな。水流が水柱をあげながら一方的に湖の中のモンスターを駆逐しただけだから…。


 「いえ…どれがどれなのかはわからないです。」

 「直接対峙はされてらっしゃらないのですか?」

 「…いえ、申し訳ないですが。」

 「どの様に討伐されたのかをお聞きしても?」

 「…。」


 どう答えるのが正解だ?間違えたらまずい気がする。背中が寒い。


 「…どうと言われても…殴れば死にますよね?」

 「それはそうですが、激しく抵抗されるはずです。」

 「抵抗されないので。」


 こう、答えるしか無い。


 「…本当ですか?」

 「本部長、本当です。未検証ですがそのような報告が、当人及び同じチームを組んでいる神埼という探索者から報告されています。」

 「…あれは脚色ではなく事実なのですか?」

 「そうです。」

 「ふむ…。」


 事実その通りだ。今回の魔石ではなくなるが、釣り上げたあの魚達は、まったく抵抗しなかった。神埼が釣り上げて、私が蹴り飛ばすという作業で楽に魔石が回収できた。とりあえずの言い訳としては、嘘は言ってないことになるハズだ。


 「つまり、抵抗されなかったので、作業的に討伐したため、各個体の違いは確認していない…という認識でよろしいでしょうか?」

 「概ね、その通りです。」


 事実おそらく、水流もそんな感じだと思う。これも嘘じゃない。


 「何故、抵抗されないのかその理由に身に覚えはありますか?」

 「ありません。」


 端的に、的確に、淡々と回答する。言い切らなかったり、濁したり、長い理由を答えるよりも、この方が、ボロが出にくい。いつも通りでいい。相手の顔を見ないで、うつむきながら、つばは飲み込まない。


 「…分かりました。魔石の査定ですが、ルーキーシュレッダー1,199匹分が58万円、未確認新種のAランクの魔石が2万円。魔石の代金はそれだけですが、そこにボス討伐報酬が上乗せされるのと、葦附ダンジョン2階層入口打開の特別報酬が加算されます。」

 「…特別…報酬?」


 なんかよく分からないが、今まで聞いたことがない金額が提示されて、目眩がしそうだ。魔石の報酬高くないか?…1,200個の魔石で割ると一個あたり…480円ぐらいか。確かに、そんなものだったような気もする。単純に数が多いだけか。…いや、私が討伐した訳じゃないんだけど。

別作あり〼

愛用のクッションがどうもなにか変

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青空設置しました。

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