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触手 in クーラーボックス(仮)  作者: 一級フラグ建築士
第3章 野良猫狂想曲

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その時が来たら、汝の責任を果たせ。

裏野です。もしかしたらどこかで浦野にしてる可能性がある…(‘、3_ヽ)_

同じIMEで変換してるのにどうしてコロコロ変換が変わるんですか(‘、3_ヽ)_

 「にゃぁん。」

 「おう、来たか。」


 あれから数日が経った。あれからもちょくちょく、あの野良猫はやって来る。ネットを登って屋根に登るためだけではなく、裏の家に用事が無いときも、ほぼ毎日、ブロック塀の上に登って庭先で日向ぼっこをする様子を見せに来てくれる。餌をねだる事はまったく無い。結局あれから、例の野良猫は裏庭の常連となりつつある。今日もブロック塀の上で器用に手足を隠し、ツチノコ形態になって日向ぼっこをしている。


 ちなみに、あの子猫たちを助けた時は、私を案内してから確保する時までは一緒にいた。だが、そのあとはどこかへと行ってしまった。まるで、水流と土流の存在に気がついているかのようだが、たぶん気の所為だ。だが、実際、あのあとひっそりと離れてくれたおかげで、裏庭で迅速にお湯をガンガン子猫にぶっかける事ができたのは確かだ。…ま、後始末も大変だったんだけど。心配してた蚤やダニの汚染は無かったから、まぁいいか。


 コンポストを狙うことも無く、庭も荒らすこともない、ただ、裏庭に訪ねてくるだけならば、別に追い払う必要も無いし、なんなら好きに来てくれればいい。


 窓際に座りながら、裏庭をぼーっと眺める。


 プランターから溢れるほどに成長したハーブの香りに、土の匂い。まだ決して涼しいとは言い難いが、ようやく、9月を感じさせてくれるようになってきた風。傍らにおいたカップからかすかに香る紅茶の香り。以前より、心にゆとりができつつある。まぁ、相変わらず経済的には厳しいけど、まだ、なんとかなる。


 …そうそう、あの子猫たちを保護した小屋だが、あれから神埼に家におくってもらう時に、ちょうど前をとおったのだが、ぺしゃんこになっていた。まるで、あれで役目を追えたかのように、崩れてしまっていた。前々から、どうして潰れないんだこの小屋は…みたいな存在だったし、そんなもんなんだろう。


 逆に言えば、子猫が下敷きにならなくてよかったと考えるべきか。


 そして今日、業者がその建物を更地にしていった。もう、後にはなにも残っていない。あれだけ生えていた雑草もなにかもが無くなってしまった。あとには、砂がびっしりと敷き詰められた区画が残っただけだ。野良猫が通るたびにべこべこ言っていたトタンも、私がへし折った木材も、蹴り飛ばしたガラクタも、大量にのこっていたゴミも、たまっていたヘドロも、つもりつもった苔も、もう、なにも、なにも残っていない。


 不法侵入の痕跡が綺麗になくなったと喜ぶべきか。それとも、長年馴染んだあのべこべこと言う、トタンの音が聞こえなくなったのを嘆くべきか。子猫たちとの出会いの場として、喜ぶべき場所なのか、悲しむべき場所なのかももう分からない。


 そして、この妙な寂しさも数日経てば、私のことだからすっかり忘れてしまうのだろう。


 「にゃん?」


 気がつけば、野良猫が裏庭に降りて、私の足元で丸くなっていた。懐かれたのか?…ま、どうでもいいけど。


 「餌はやらんぞ。」

 「んみ。」


 ならいい。


 ——ふと、スマホをみれば画面が光っている。そのまま窓際から手を伸ばして、スマホをとって、画面を見ると、メールの新着通知だ。ロックを解除してみると、西田からメールが届いている。そのままタップして、メールを開くと添付された写真が何枚か。本文を読む前に写真を開く。


 そこには、元気に床の上を歩く子猫の姿がある。どろどろだった姿はもう面影もなく、灰色のふわふわ二匹が、フローリングの上をてちてちと歩いている。ただそれだけの写真だ。


 スマホの画面を消して、適当に部屋の床に置く。


 『結果的にあの二匹を拾ってよかった。』そう思えるだけ、まだ救われている。その一方で、そうやって、なにかにすがろうとしている自分に虫唾が走る。結果的に善行になっただけだ。——結局のところ、私は『責任』を一つもとっちゃいない。神埼と西田に、全部を押し付けただけだ。私には西田から送られてきた、子猫の写真を見る権利なんて無い。今後の成長を見守る権利も、安心して暮らしているかを確認する権利も無い。それらの権利は、責任をとった西田と神埼にしか無い。


 …ぶっちゃけ水流と土流には、もう私がいなくても別に問題はない。初めに私が保護して、それから一緒に暮らしているだけだ。水流も土流も私に懐いてくれている。だから、二匹のためには頑張る。でももし、水流と土流の存在が許されない時が来たならば——


 ——潔く死のう。それが責任ってものだ。もう私には水流も土流も殺せない。


****************************


 「で、これが橘から報告があった魔石か。」

 「えぇ、グレードはまちまちですけど、全部あの葦附の『初心者殺しの湖』産らしいっす。一人の探索者がバケツいっぱいにして、持ってきたと。」

 「…意味がわからん。確かにそれなりのランクのものなら突破する()()なら簡単だが、こんな量をとってくるのは頭おかしいぞ?いくつあるんだ?いくらになる?」

 「うーん。たぶん1,000個ぐらいっすかね?大体概算で、平均の大きさと平均のグレード…あー、偏るから大体の中央値の方がいいっすね。無作為に10個程えらんで一番多いのが…このあたり?3~4cmぐらいの大きさで、品質はまぁ普通って感じ。グレードCですね。1個400円~450円ってとこっす。」

 「…大体40万円ぐらいか?」

 「そっすね。」


 探索者協会の査定担当者と、査定部門の責任者は、目の前のパレットに積み上げられた魔石を見つめる。まぁこの程度の品質でこの量の魔石が入ってくるのは、対して珍しいことではない。なんなら、大型ダンジョンなら、それこそ、業務用コンテナ一杯の魔石がトラックで運ばれてくる。その魔石がぎゅうぎゅうにつまったコンテナからみれば、取るに足りない量しかない。それこそ湖の水と、コップ一杯の水を比べるようなものだ。


 だが、一人が、一度に、短時間で、となると話は別だ。しかもあの葦附で。


 「…しかもよく見ると、それより大きいのが混じってないか?」

 「そういわれると…なんだこれ?大きいっすね?」

 「もしかしてそれ、湖のボスだと思われてるやつのじゃないか?」


 葦附ダンジョンについて知っている職員は数少ないが、偶然にも査定部門の担当者と責任者は、前々からいるベテランの職員であったために、葦附ダンジョンが何故調査されていないかについて、他の職員よりも詳しかった。そのため、その魔石の正体について心当たりがあった。


 「…えっ!?それなら、あの湖が攻略されたという事っすか?それが事実なら、しばらく静かになるんじゃないっすか!?」

 「あの湖のボス個体、確か初討伐だよな?」

 「そうっすよ!以前、何人か探索者投入して試みたことがあったっすけど、湖底の複雑な地形に逃げ込まれた捕捉に失敗しているハズっす!」

 「調査しようとしたけけど、結局、実力者は強行突破ができるし、スキルがあるやつは湖を飛び越えていくから…で、結局そうやって進んでも地形が厳しいから、『わざわざ湖より先にそこまでして挑む必要ない』ってなったんだっけ?」

 「そっすね。で、実力者だけなら進めるけど、結局どこまでいってもリターンが、戦利品持ち帰るのは大変だし、他に旨味があるダンジョンが多いから、『無理に調査を進める必要は無い。』って事で半ば放置される事になったんすよ。」


 だが、その湖のボスが討伐された可能性がある。いや、ボスのものと特定できた訳でも無いが、どうもそれっぽい魔石が混じっている。


 「もしかして今なら、2階層越えて進めるんじゃないっすか?」

 「調査部門に…いや、部門長を通して副支部長に確認をとる。」

追記修正。セリフが言葉足らずだったので分かりやすく書き足し。


別作あり〼

愛用のクッションがどうもなにか変

https://ncode.syosetu.com/n4475kl/


青空設置しました。

https://bsky.app/profile/sternjp.bsky.social

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― 新着の感想 ―
あぁ…面倒な事になりそうな予感。しかし主人公は鬱ってるのかめちゃくちゃ重たい。もっと気楽に生きれたら…こんな思い悩んでないんだろうね。
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