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触手 in クーラーボックス(仮)  作者: 一級フラグ建築士
第3章 野良猫狂想曲

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何故人々は、あんな苦い水を好むのか。別にいいけどさ。飲むだけなら。

 氷も含むものの、バケツ3杯はあったはずのトミヨニだが、最後には一匹も残らなかった。砂塚・神埼・橘の女性陣によって、見事に食い尽くされてしまった訳だが。今回はお土産用のお持ち帰りタッパーもなかったし、まぁ中途半端に残るよりは良いか。


 「あ、すいません。橘さん。持ち帰り用の袋もらえますか?トミヨニの頭を持ち帰りたくて。」

 「…頭を?」

 「えぇ、頭を。」

 「…使い道をお伺いしても?」

 「コンポストで長い時間をかければ、魔石だけ取り出せるので。」

 「…えっ。そんな方法が?」

 「ま、集めたところでお金にはならないでしょうけど、捨てるよりかは。」

 「まぁ、そういうことなら。」


 そういう訳で、本来は氷で締めたトミヨニや、湯がいたアシツキノリモドキを持ち帰るための、ビニール袋を分けてもらった。その中に、トミヨニの頭をギュウギュウ詰めにして口を閉じていく。これだけみれば、明らかに正気度を疑う光景である。


 「まぁ、知らない人が見たら変質者待ったなしですね。」

 「…否定はしないが、もっと言い方があるだろう。」


 見事、トミヨニだけで山のようにあったビールを全部飲み干した酒クズが、私のことを変質者呼ばわりする。あれだけ飲んだのにも関わらず、歩行にも意識にも支障がない。どうなってんだコイツとは思わなくないが…。


 「お前こそ、それで本当に帰れるのか?」

 「問題ありません。まだ倍は飲めます。」

 「…本当に人間かおまえ?」

 「失礼な。ちょっとお酒が好きなだけじゃないですか。」

 「…ちょっとかぁ。」

 「…ただ、心優しい私は、裏野さんに家まで送っていく権利を差し上げます。」

 「お前の家の位置知らないんだが?それに、私には荷物がある。とてもじゃないが、増やせないんだが?」

 「それは私を荷物だとおっしゃる?」

 「その通りだ。」

 「であれば、仕方がありません。このスペースで寝ることにしますか。」

 「裏野さん、申し訳ありませんが、この酔っぱらい、持ち帰りいただいてよろしいでしょうか?」

 「橘さん、これは私の所有物では無いので。」

 「橘…死にたいのですか?…あ、いや——」


 めんどくさいな、めちゃくちゃ強い酔っぱらいって。…いや、実際強いんだろう。Cランク探索者だし。お前ら同僚じゃないのかよ。仲良くしろって。ただ、砂塚はその後もなにか言葉を続けようとしたが、声が小さくなって聞き取れなかった。


 「…先輩、私の車、乗っていきますか?荷物もあるなら運びますよ?」

 「あー、…正直助かる。頼めるか神埼?」

 「えぇ、大丈夫ですよ。」

 「あ、まって、私も乗せて…。お願いだから。」

 「…砂塚。」

 「砂塚さんは、ここで寝ればいいんじゃないですか?」


 珍しく、神埼が砂塚に辛辣な言葉を掛ける。酔っ払いの押し付け合いが始まっているが、まぁ、全員の言い分はまぁ、うん。実際砂塚を放置していくのは、危険そうだし神埼の車で送ってもらうのが一番なんだろうが…。おそらく神埼が心配しているのは、リバースだろう。まぁ誰だって、自分の車を汚されたくはないからな。気持ちは分かる。かといって私も、荷物ありの状態で徒歩で砂塚に付き合わされるのは、ちょっと勘弁して欲しい。…あ、そうだ。


 「神埼、荷物だけ送ってくれれば、私が徒歩で砂塚を送っていくが。」

 「…はぁ、しょうがありませんね。砂塚さんも私の車で送っていきますよ。」


 妥協案を出した所、神埼が折れた。結局は、私も砂塚も神埼の車で帰れることになった。ただ、毎回毎回、砂塚を乗せていたら味をしめそうだ。どこかで釘は刺しておいたほうがいいだろう。…まぁそれは私の役目ではないか。神埼が言うべきことだ。


****************************


 神埼の車の後部座席で、へべれけ?の砂塚を見張りつつ車で送ってもらう。まぁ先に砂塚の家というのは、言わなくてもわかる。経路的に遠回りになっても、まずはこの酔っぱらいを一刻も早く、自宅に送還しなければならない。


 「…砂塚さん…あ、駄目だ、今言ってもたぶん聞いてないですね。」

 「神埼、今度シラフのときに注意すべきだ。」

 「そうですね…厄介ですね。酔っ払いというのは。それだけで。」

 「ちなみに神埼も酒は飲むのか?」

 「あまり?まぁ宴会とかでは飲みますけど私生活では飲まないですね。先輩は?」

 「たまーに飲むな。あまり強くない。ビールは苦手で甘い酒しか飲めないんだ。」

 「…そうなんですね。あぁ、それで、忘年会とかもあまり出なかったんですか。」

 「そうだ。たまに出席した時は決まってコーラや、梅酒なんかを頼んでたからな。一人だけ乾杯のグラスが違うので、ぐだぐだ嫌味を言われるし。『ビールぐらい飲め』って言われるのに飽き飽きしたんだ。」

 「それは…でなくなりますね。」

 「こういうの、アルハラっていうんだろな。私にとってはただの苦い水でしかないからな。ビール好きには悪いけど。」

 「そうですよ。お酒は楽しく美味しく飲まないとですから。強要などもっての外です。好きなお酒を飲めばいいんです。私も好きですよ梅酒。」

 「お前は寝てろ。砂塚。」


 まぁ、そう言ってもらえると気楽ではあるけどな。砂塚と飲む分には悪くなさそうだな。ちなみに『ビールぐらい飲め』といったのは、やはりあのクソ野郎(元上司)だ。…いや、別の人だったかもしれないが、それでも私から見て上司にあたる人物だったはずだ。苦手なんだよ。ああいう体育会系の悪い所を凝縮したような人種。

別作あり〼

愛用のクッションがどうもなにか変

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