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触手 in クーラーボックス(仮)  作者: 一級フラグ建築士
第3章 野良猫狂想曲

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目の前に事に気を取られすぎると、普段できていることでもおざなりになる。

 「ただいま戻りました。」

 「無事帰還しましたか、お疲れ様です。」

 「お疲れ様です。裏野さん。」


 あれから、水流が殲滅した『ルーキー・シュレッダー』の魔石をバケツに放り込んで帰還した。それから魔石とは別に、『トミヨニ』も何体か捕獲してクーラーボックスとバケツに詰め込んで来ている。もちろん氷はあらかじめ大量に持ち込んでいる。死ぬほど重たい魔石とトミヨニ入りのバケツを複数、なんとか運んで帰還した所、受付の橘が出迎えてくれた。まぁ私以外ダンジョンに入ってないからそういうものなのだろう。問題は…なんで砂塚がいるんだよ。


 「…橘さんだっけ?砂塚って休みだったんじゃないのか?」

 「なんですか?休みの日に職場に遊びに来たら駄目な理由とかあるんですか?」

 「…ないけど。探索者じゃないだろ?」

 「探索者ですよ?」


 そういって砂塚は探索者カードを見せてくる。…お前Cランクかよ!?


 「当然じゃないですか、探索者協会の受付がその辺の探索者より弱いわけないでしょ。」

 「そうですね、当出張所では一番ランクが高いのは砂塚さんです。」


 あの酒クズVtuberが!?


 「裏野さん。考えていることは分かりますが、残念ながら事実です。」

 「そうか。」

 

 砂塚はドヤ顔をしているが、橘が『残念ながら』と付けているのに気がついていないのか、それともその事実に気がついていないのか。酒クズVtuverの事は知らないだろうけど、普段からそういうヤツとして同僚に見られているということだぞ。


 「で、なにしにきた。」

 「それは当然、ご相伴に預かりに。OFFの日ですから、ビールもばっちりですよ!」

 「…車は?」

 「歩いてきました!」


 ぬかりねぇ。職場で飲む気かよ。ちらりと橘さんの方をみる。


 「残念ながら、探索者がダンジョンの入口で飲酒を禁止する規則はありません。またうちは一応、とってきたモンスターをその場で調理できる調理場併設施設なので、食品営業の許可もとっているので…。」

 「合法ですね!」


 それでいいのか、探索者協会。


 「で、とってきたものはそちらのクーラーボックスですか?そちらのバケツも?」

 「あぁ、そうだ。クーラーボックスも中身は全部氷漬けのトミヨニだな。すべてここで調理して、一部は食べて残りは持ち帰る。」

 「確認しても?」

 「どうぞ。」


 複数のバケツがあるので、先に運んできたトミヨニ入りのバケツとクーラーボックスを先に見せる。バケツはみればわかるので、確認しなければならないクーラーボックスを、カウンター越しに橘に渡すと、橘はクーラーボックスを開けて中身を確認する。バケツの方はパッと見でトミヨニだと分かるし、どうせ調理されるのでそこまで確認はしない。


 「…確かに、大量のトミヨニと氷ですね。すぐ調理されますか?」

 「あぁ、自分でやるから問題はない。それよりも、こっちを査定してくれ。」

 「なんでしょう?」


 橘はクーラーボックスに蓋をして、私に返却する。それから受付兼査定カウンターである机の上に、クーラーボックスを確認している間に、苦労して運んできたバケツをひっくり返す。カウンターにいる二人が、トミヨニを見ている間に追加で運んできた、魔石入りのバケツだ。ガラガラと音を立てて、バケツいっぱいの魔石で山ができる。これをみた瞬間、橘も砂塚も、クーラーボックスのことは忘れて、魔石の山に釘付けになる。


 「…は?」

 「…えっ嘘!?」


 そのまま、次のバケツを足元から持ち上げ、同じくカウンターの魔石の山にぶちまける。ガラガラガチャガチャと、大きな音をたてて魔石が山がさらに高く積み上がる。


 「なっ…はぁ!?」

 「えっえっえっ!?えー!?」


 橘も砂塚も、もはや言葉らしい言葉がでてこない。ダメ押しで、3つ目のバケツをカウンターにぶちまける。10Lのバケツ、3つ分の魔石の山がカウンターの上に出来上がる。


 「…。」

 「…。」

 「では、査定をお願いします。私は向こうで休んでいるので。」


 橘も砂塚も、口をパクパクさせるだけで何も言葉がでてこないようだ。あまりの量に呆然としているが、数秒たったのち、我に返ったかのように、大量の魔石を調べ始める。砂塚も休みだということを忘れて、橘の作業を手伝いはじめる。…これで二人共こちらは見ていないな。


 私は受付の横にある、ソファーに座りクーラーボックスをあけて、中身を先程までもっていたバケツに移していく。そうして空になったクーラーボックスの蓋をあけたまま足元に置くと、いつのまにかソファーの影に移動して隠れていた水流が、素早くクーラーボックスに潜り込み自分で蓋を閉める。二人は、こちらを気にしている様子もない。監視カメラがないことは、前回来た時に確認済みだ。


 これだけだと分かりづらいので、もう少し詳しく説明しよう。そもそもだが、バケツは重ねて複数持ち込んでいる。このバケツは受付で貸出しているものだ。そしてバケツはいくら持ち込もうが、重さはほとんど問題ない。氷はクーラーボックスに水流といっしょに入れて持ち込んでいるが、湖に全部捨てる。で、湖で拾った魔石は、クーラーボックスとバケツに詰めて持ち帰ったのだ。一番大変なのは、この魔石を持ち帰ることだった。まぁ、水流も運んでくれたので助かった。


 で、入口付近まで水流と私が運んだ魔石を、今度はクーラーボックスからバケツに移す。これで、バケツ3杯が魔石で一杯になる。そのあとは、入口近くでひたすらトミヨニを集める。氷は水流の魔法で作って、クーラーボックスとバケツ2杯分をトミヨニと氷でいっぱいにする。もう1つのバケツには水流がはいっているがこれは最後に運んでくる。この時点で、バケツは魔石3つとトミヨニ2つに、水流が入っているのものが1つ。


 で、クーラーボックスの中身を確認させている間に、魔石入りのバケツと水流入りのバケツを運んでくる。それから受付に魔石を山にして、視線誘導させている間に、床に置いたバケツから水流はソファーの影に移動。後には空っぽのバケツが残る。空になったバケツはドサクサに紛れて、カウンターの上に置いて返却したという訳だ。


 水流が隠れて自分で蓋をしめたので、そのまま私はクーラーボックスにロックを掛ける。そして、何食わぬ顔で『トミヨニ』を移したバケツを受付に置きっぱなしにしたまま、長靴などの煮沸消毒を始める。当然持ち込んだ、クーラーボックスも外側だけ煮沸をかける。…そうやって、一通りの帰還作業を終わらせると、ゆうゆうと受付に査定結果を聞きに行く。


 「査定、どうですか?」

 「…あの、申し訳ありませんが、この量を一体どうしたんですか?」

 「前回、神埼と来た時に気がついたんだが、どうやらあの魚型モンスター。私を攻撃しないみたいなんだ。だから、片っ端から捕まえてはそのまま魔石だけを回収してきた。」


 これは前回、神崎と一緒に砂塚に報告してある。嘘は言ってない。


 「…そういえばそういう報告があがってましたね。本当ですか?」

 「嘘だと思うなら、また今度つれてくるから、神埼という探索者に確認してくれ。」

 「…わかりました。」

 「で、査定結果は?」

 「…申し訳ありませんが、この量の魔石のグレードをこの出張所では査定ができないので、本部査定にさせていただきたいです。本部にて査定後、受取口座に代金振込という形でよろしいでしょうか?」

 「それで、構わない。手続きは?」

 「こちらで処理しますので、特別な手続きは必要ありません。即日で代金を支払できなくて、申し訳ありません。」

 「いいさ。トミヨニの調理をさせてもらっても?」

 「どうぞ、ご自由に調理場をお使いください。」

 「あと、退場処理をお願いします。」

 「…!失礼しました!」


 これでよし。

バケツの謎が分かりづらかったので加筆。自分ではわかっているつもりでも工程をちゃんと説明しないと伝わらない。


別作あり〼

愛用のクッションがどうもなにか変

https://ncode.syosetu.com/n4475kl/


青空設置しました。

https://bsky.app/profile/sternjp.bsky.social

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