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触手 in クーラーボックス(仮)  作者: 一級フラグ建築士
第2章 社会不適合者

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まぁ、悪い気はしない。

 「というわけで、これが獲ってきたトミヨニだ。いつも査定でみていると思うが。」

 「そうですね、ただ、いつも人がいないので。」

 「…そういえばそうだったな。」

 「まぁこれを獲って、売ってくれる人はいないですね。そもそも買い取り価格安いですし。せいぜい稀に提携の飲食店や旅館に卸す時に、職員が捕獲するぐらいで。」

 「そう言われると、確かに見た事が無いのも納得はする。」


 あの後、ダンジョンからもどった私達は、これも一応仕事と言い張る砂塚に、『トミヨニ』の竜田揚げのレシピを教えている。まずはとってきて、氷で締めておいた『トミヨニ』の下処理を披露している。


 「で、トミヨニは見ての通りの大きさだが、これを一匹ずつ下処理しなければならない。魚の下処理というのは、要するに、エラを外して、鱗を外して、内臓を外すという工程だ。つまり、食べられない部分を処理するんだ。特に内臓は絶対に処理しておきたい。というのも、魚の内臓は食えるものじゃない。サンマや鮎などの一部例外を除いて、内臓の中には消化中の異物があるからだ。内臓を食べるのは、腐った肉を食べるのと同義だ。」

 「…面倒そうですね。」

 「だからはじめに言っただろ。面倒だって。まぁ、鮎が食えるのは、餌に藻を食べてるからだ。同様に、アシツキノリモドキを食べていると思われるトミヨニも、そのまま食える可能性はあるっちゃあるが、それでもそのまま食べるのは賢明ではない。そのため、調理にあたっては、やはり内臓は処理すべきだ。」

 「なるほど。」

 「で、トミヨニの頭だが、ゴマ粒みたいな魔石が入っている。ほじくり出してもいいが、魚の頭の骨は大概硬い。しっかりと揚げてやれば、パリパリと食べれるかもしれないが、魔石と頭の骨に、それにエラと齒のことまで考えると、やはり食感も味も良くない。そのため、調理にあたってはまず頭を落とす。」


 説明しながら、料理過程を実演する。


 「で、そうすると内臓の断面がここだ。包丁でもいいんだが、小さいのでハサミを入れて内臓を掻き出す。冷水でしっかりと洗って、綺麗にする。揚げ物にするならこれでいい。ただし、トミヨニはこのままでは食べられない。」

 「何故ですか?」

 「私が持ってきた竜田揚げと比べてみろ。一目で違いがわかるはずだ。」

 「…あっ、トゲがない。」

 「そうだ、このトゲは人の皮膚ぐらいなら簡単に刺さる。このようにな。」

 「先輩?人の指を指差すのやめてもらっていいですか?」

 「よく分かりました。危険ですね。」

 「そうだ、このまま食べると口の中が血だらけになるぞ。」

 「先輩?砂塚ちゃん?おーい?」


 行動力の化身がなにか抗議をしているが、実際素手でつかんで思いっきり、指に突き刺したのは誰でもない、この神埼だ。


 「まぁだから、内臓を綺麗にするときもこのトゲが危ない。だが、トゲを先に処理するか内臓を先に処理するかは、お好みだな。個人的には多少危険でも、先に内臓を処理したい。」

 「何故です?」

 「鮮度の問題だ。魚は内臓から腐る。少しでも味のことを考えれば、真っ先に処理すべきは内臓だ。」

 「なるほど。」

 「まぁ、魚を捌くときには、基本的な考え方だ。これでトゲに毒があるとか、そういう話になれば、安全のために先にトゲを処理するべきだ。」

 「当然ですね。」

 「で、トゲの処理なんだが、一番楽というかずぼらなのは、包丁で背中ごと削ぎ落とす方法だ。だが、見てわかるようにトミヨニは小さい。包丁で背中を削ぎ落とすと可食部がごっそりと削られる。そのため、このような小魚のトゲは、刺抜き…なければピンセットでもいい。こうやって、一本一本、丁寧に処理するんだ。」

 「…それ、死ぬほど面倒くさくないですか?」

 「だから、そう、言ってる。」

 「うへぇ。」

 「…で、これだけ手間をかけて一匹分だ。必要があればさばく前に鱗も落とす。ので、更に手間と工数がかかるな。ここからこう、開いてもいい。」


 そうやって出来た、トミヨニの開きを砂塚と神埼に見せつける。


 「手間暇ぁ…。」

 「出来ればやりたくないですね。」

 「そうやって出来たのが、お前らがバクバク食べてた甘辛だぞ?」

 「「おみそれしました!」」


 まぁ悪い気はしない。


 「…で、だ、レシピはあとは、竜田揚げにして、甘辛のタレを絡めるだけだ。この辺は普通の竜田揚げと同じだな。揚げる油はなんでもいいっちゃいいけど、変な油を使うぐらいならごま油あたりがベターかな?」

 「なるほどです、このレシピ、共有しても?」

 「問題ない。好きに使え。どうせ普通の竜田揚げだ。」

 「ありがとうございます!裏野さん!」


 …まぁ、悪い気はしない。どうしたしまして。


 「じゃぁ、教えたので実際にやってみるか。」

 「…私はレシピさえ分かればいいので。」

 「うまく逃げたな。だが、まぁ、確かに砂塚はそうだな。じゃぁ神埼?」

 「せーんぱい♡。トミヨニのトゲが刺さった指が痛くて、包丁が握れません♡。」

 「…お前そんな声を出せたんだな。」

 「せーんぱい♡。」

 「…別にいまここで調理する必要は無いよな?持ち帰っていいんだぞ。」

 「後生です!私に代わって作ってください!埋め合わせはするんで!お願いします!」


 しょうがねぇなぁ…。

別作あり〼

愛用のクッションがどうもなにか変

https://ncode.syosetu.com/n4475kl/


青空設置しました。

https://bsky.app/profile/sternjp.bsky.social

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― 新着の感想 ―
やはり主人公、お仕事モードに入ると饒舌になるタイプだったり。さすが仕事一筋。
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