すれ違って、すれ違って、すれ違う。
「先輩、メールで送ってきた葦附ダンジョンって、どこにあるんですか?」
神埼とのダンジョン探索の日が来た、といっても、前回の探索から数日しか経っておらず、私が葦附に訪れてから2日後の話である。カバンの中にはちゃんと、「トミヨニの甘辛」をタッパーに詰めてきている。さすがの神埼も葦附ダンジョンのことは知らなかったようで、途中で合流してから向かうことになった。
葦附は私の家から歩いていけないこともないが、神崎は車だ。故に途中で神埼に拾ってもらうことにした。ダンジョンの場所とそこまでのルート、それから神埼と合流しやすいポイントを考えた結果、近所のコンビニ前での待ち合わせになった。
昼前に合流ということになったので、少し朝早く起きて、久々にコンビニで朝食を買う。久しく利用していなかったが、今はラーメンフェアというものをやっているようで、「魚介豚骨つけ麺」にした。そのままイートインで食べたのだが、久々に食べるコンビニ飯が体に染みる。最近はもっぱら、『サクラサーモンモドキ』を食べていたからな。いや、それだけみたら贅沢の限りなんだろうが。毎日同じ味で、そろそろバリエーションにも困っていたところだ。
で、今はコンビニに来た神埼の車に乗り込んで、葦附のダンジョンに向かっているところだ。神埼も前の職場の事を思い出したのか、私のことを名前ではなくておそらく無意識に先輩と呼んでいる。まぁ、神崎が好きなように呼べばいいんじゃないかな。私は構わない。
「事前にメールしたように、雄神川の堤防沿いにある。ショッピングセンターから、川沿いに南だ。雄神川を渡る大橋の近くにある。」
「あー、もしかしてあの車幅が狭い橋ですか?橋って渡ります?」
「いや、渡る必要はない。こっち側にあるからな。」
「それは助かりますね。」
わかる。あの橋怖いよな。
「ところで、先輩…じゃなかった。裏野さん。メールで事前に葦附については聞いてますけど、直接話を聞きたいんですけど。」
「あー、まぁそうか。そうだよな。川沿いにあるダンジョンなだけに、湿地や川や湖がほとんどを占めるダンジョンで、下層にいくにはかなりしんどいダンジョンだが、1階層では藻と小魚が取れる。ダンジョン探索としての旨味はほとんどないけど、1階層の終点から2階層の入口に釣り竿を垂らせば、それなりの魚型モンスターが捕獲できる。」
「事前情報通りですね。」
「で、ダンジョンとしての旨味はないんだけど、そこの受付が知り合いで、過疎ダンジョンだから来てくれると給料があがるって言われてな。」
「本当ですか?裏野さんの知り合いなんていたんです?」
「ほっとけ。」
お前もその数少ない知り合いの一人だぞ、神埼。
「まぁ前回のダンジョンは、人が多すぎて大変でしたしね。静かなダンジョンでゆっくり探索ってのも悪くないかもしれませんね。」
「まぁ、ダンジョンとしての旨味は無いんだけどな。実際試しに行ってみたんだが数百円の稼ぎにしからならなかった。」
「…一人で行ったんです?」
「そうだが?」
「そうですか。」
そう言うと、神崎は静かになった。割とおしゃべりな印象があったんだけど珍しいな?
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葦附に到着して、車から降りる。前回は徒歩で来たから気が付かなかったけど、ちゃんと駐車場があるんだなよなココ。…いや本当に簡易な出張所ではあるんだけど、それなりにいろいろと設備があるから、維持費とかどうなってんだろう。…いや、砂塚があいつ赤字って言ってたな。赤字なんだろう。
「先輩、ここが葦附なんですね。想像してたより、思ったよりちゃんとしてますね。」
「あー、まぁ、いろいろと設備がある関係だろうな。」
「じゃぁ、さっさと受付しましょうか。」
「いらっしゃいま…あ、裏野さんじゃないですか、本当に来たんですね。酔狂ですね。」
「お前が来てくれって言ったんだろ。砂塚。」
お前が始めた物語だろ。
「…おや女連れですか?あの裏野さんが?」
「事実だが、そうじゃないぞ。砂塚とは面識がなかったか?」
「裏野さん?この人が知り合いですか?」
あー、この感じ、やっぱ二人共面識なさそうだな。
「順番に紹介するか。神埼、この受付の人が砂塚だ。前の職場で一緒だった人でお前の先輩に当たるな。で、砂塚、こちらが神埼だ。一緒に仕事してたような気がしたんだけど、覚えはないか?」
「…あー、そう言われると見覚えがある気がします。」
「そう言われると私も。もしすると、勤務時間帯が違ったのかもしれません。私は夜勤組でしたので、おそらく神埼さんは昼勤組だったのではないですか?」
あ、そう言われるとそうだ。神崎は昼勤組で、砂塚は夜勤組だった。私は昼出勤で夜まで仕事をしていたから、二人共面識があったんだ。逆に昼勤組と夜勤務組が一緒に仕事をすることは、殆ど無い。二人共が「見たことはある気がする」となるのは当然だ。
「と、まぁ、神埼、ちゃんと私の知り合いだろ?」
「そうですね。確かに仕事上での知り合いはいますね。裏野さんにも。」
おう、プライベートの知り合いが、全くいないと思ってるなお前?
「で、なんでその神埼さんと裏野さんが一緒に?」
「そりゃ、今日一緒にダンジョン探索するパーティーだからな。」
「…へぇ。デートですか?」
「いや、普通にパーティーメンバーで一緒に潜るだけが?」
「そうですね。」
おい、なんで二人共微妙な顔をしてるんだよ。お前ら。
別作あり〼
愛用のクッションがどうもなにか変
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青空設置しました。
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