表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
触手 in クーラーボックス(仮)  作者: 一級フラグ建築士
第2章 社会不適合者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/148

深入りしなければ安全。ただしリターンは雀の涙。

 砂塚から刺さる視線を感じながら、ダンジョンに入場する。まぁ見事にダンジョンには誰もいない。立地は悪くないんだけど、取れるのが藻と小魚だとこんなにも人気が無いものか。神埼と一緒に行ったダンジョンとは雲泥の差がある。人が踏み込んでいないからろくに手入れもされていない。人がよく出入りするダンジョンだと、屋台や案内板・道路に通信アンテナと様々なダンジョン内の施設が充実しているけど、ここには、設備のせの字も見当たらない。


 そんでもって、広がるのは池と湿原とちょろちょろ流れる小川である。清流で水量も豊富だけど、その景色がずーとずーと、ダンジョンの奥まで続いている。奥から手前へと、まるで雄神川のように、川が流れているみたいだ。深いところもあるみたいだが、すぐ手前の湿地なんかは、ちゃぷちゃぷと長靴で歩けるぐらいの水位しかない。


 そんでもって、歩くたびに暗褐色のぬるぬるとした藻が、長靴に引っ付いてくる。これが『アシツキノリモドキ』だ。そこら中の石やらなんやらに、大量に存在している。天然にある本物の『アシツキノリ』は希少な存在だが、このダンジョンに存在するモドキの方は、それはもう大量にある。


 ちなみに生でも食べれる。ダンジョンに生息しているものなので、衛生的には大丈夫だろうけど、さすがにこのまま食べる気はしない。寒天状になっているので、酢の物や煮凝り、乾燥させて練り込んだり…とか。いろいろと食べ方はあるが、現代でわざわざこのアシツキノリモドキを、手間暇かけて食べようとは思えない。栄養はいいらしいけど。


 で、その清流の中に見える、トゲ付きの小魚の群れがいくつか。こちらも天然ものは希少な『トミヨ』であるが、ダンジョンに生息するのは『トミヨニ』である。…サクラサーモンモドキといい、モドキだのニだのもうちょとなんとかならなかったのか?とおもうけど、実際に天然に生息している生物に似ているのだから、多少は仕方がないのか。


 で、このダンジョン入口で出現するモンスター枠が、このトミヨニである。大きさ実に数cm。…つまり、これを倒して得られるものは、小さな小さなな小魚の肉と、これまた米粒みたいな魔石である。…こんなものを集めてどうしろというのだ。一応、その肉は食用だが、これを満足に食べようと思ったら、それこそ、バケツに山盛りに捕獲することからはじまる。そして、それだけ取るのであれば、手作業でとるのではなくて、罠をかえておけば済む話だ。


 つまり、このダンジョン、すぐ入口で苔と小魚の採取はできるが、ただそれだけで大きく得られるものがない。もう少し進めばまた別だが、今度は湿地という足場と、どんどん流れが強くなっていく川が邪魔をする。最終的には、1階層の奥の時点から水の中を進んで、険しい地形を越えて2階層まで降りなければならない。つまり、専用装備が必要になるのだ。


 安全で資源も豊富だが、市街地から遠い上に、入口付近では特別美味しい食材がとれる訳でもない。探索者として経験を詰むなら、スライムを蹴り飛ばしたり叩き潰したりするほうが建設的。深い階層に行けばまた別なんだろうけど、低層の人気が無いと深い階層に行くまでのインフラが整備されないため、挑む人が少なくなってどんどん過疎っていく悪循環。それでも奥に進むなら専用装備が必要。


 「——なら他のダンジョンで良くね?」というのが、多くの他の探索者が出した結論である。だが、砂塚が言ったように、ダンジョンの放置は危険なことが分かっているため、一応見張りの受付が配置だけされて、簡易な出張所が作られていると。


 …さて、魚捕り用の網を振るえば、簡単に大量の藻と小魚が網に入る。いちいち一匹ずつ締めるのは面倒なので、入口にて支給してもらった氷入りのバケツにいれて氷締めする。…ダンジョンから生体の持ち出しは許されていないからだ。


 当然藻の方も同様だ。食用のためなら持ち出せるが、観賞用としての持ち出しはNG。持ち出した藻は、湯がかれるかそのまま酢漬けにされるかする。生食したい場合は、その場で食べるか、探索者協会公認の提携店でのみ。まぁ、生態系にどのような影響があるか分からないからね。まぁ一部地域では手遅れになっているところもあるらしいが。特にアメリカとか。


****************************


 どんどんと進んでいく。最初はほんとうに池を歩くような感覚だったが、どんどんと流れが早くなっていき、足場も悪くなっていく。険しい岩肌に、苔や藻でぬるぬる滑る足元。ついに2階層へ進む段差まで到達したが、そのためには1階層から2階層へと流れる急流をくだっていく必要がある。入口の池や湿原と違って、ここまでくると水の深さも大人なら頭まで簡単に浸かる深さになるし、危険度が増してくる。


 どう考えてもキャニオングの為の、専用の道具とライフジャケットやウェットスーツもしくはドライスーツが必要だ。私の運動能力では、この急流を越えた後、自力で戻ってこれる気がしない。もはや川ではなく滝だ。…そんな険しい地形に流れる急流の先を見ると、大きな湖が見える。その湖が、まさに2階層の入口だ。実際に怖いもの見たさでここで遊んでいた探索者が、そのまま落っこちて、魚型モンスターの餌になったとかいう事故もあると、砂塚から聞いた。


 この湖から先は『トミヨニ』以外の魚型モンスターが出現するようになるし、実際に泳いでいるのが見てとれる。事前情報通りならば、なんとかカープの類等をはじめとする淡水魚系のモンスターがいるはずだ。


 試しにわざわざここまでがんばって運んできたので、ボロの釣り竿を垂らしてみる。糸はなんとか届くというぐらいだ。釣りエサは余ったサクラサーモンモドキの魚肉である。まぁ、なかなか釣れないだろうし、気長n…もうひいてる!?


 「ぐっ…重たい…。」


 ギリギリミシミシと釣り竿が悲鳴をあげていくが、まだ耐えられるが、このボロの釣り竿ではかなり厳しい。ぐぐぐぐ…ミシミシと今にも釣り竿が折れそうだ。


 そうこうして、なんとか一匹釣り上げる事に成功する。見た目は鯉に近いモンスターだ。噛みつかれる前に、棍棒で叩きつける。身は痛むけど安全が第一だ。そのまま念の為氷の入りのバケツに放り込む。たった一匹釣り上げただけなのに、めちゃくちゃ疲れた…もう帰ろう。 

別作あり〼

愛用のクッションがどうもなにか変

https://ncode.syosetu.com/n4475kl/


青空設置しました。

https://bsky.app/profile/sternjp.bsky.social

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
川が中途半端な深さだとあしを動かすのも難しくなるので、そのあたりも不人気の理由なんでしょうね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ