自分しか出来ないと思っている事は、大概は他の人の方がうまくやれる。
「死ぬ…。死ぬって…。」
結果として、往復15kmぐらいは歩いた気がする。家についたときにはもうヘロヘロだ。しかも帰りはサーキュレーターを運んでいた。小型だったので、それほど重たかったものではないが、それでも大変だった。唯一心配だったのは、水流の存在がバレていないかということだったが、無事大人しくしていてくれたようだ。
カフェでのコーヒーを含めて、4時間ぐらいの外出になった。久しくこんな長時間は外出していなかったな。脚もちょっと痛い。学生の時は平気だったんだな15kmぐらい。そしてこの暑さだ。ついついコンビニで飲み物を買いながらになる。これ以上暑くなるようなら、私は本当に外出できるんだろうか。
まぁそんなことはどうでもいいか。
とりあえず偽装のためのカーテンを作る。といっても、押し入れから出した布地を適当に裁断するだけだ。…窓が横が90で、縦が…サーキューレーターの高さ分短くするから…1m20ってといころか?実際に当てながらメジャーで計測する。うん、だいたいそんなもんかな。本来は端っこの処理なんかをしたほうが良いんだろうが、今はそこまで重要ではない。とりあえず目隠しになればいい。
部屋の入口に設置する暖簾の方も、とりあえず目隠しになればいい、かといって不自然に長くすると要らぬ疑いを持たれるかもしれない。ドアノブを基準にしてドアノブを隠さない高さに調節すればよいか。…ふむ。暖簾の方は90x90でいいかな。
裁縫は得意ではないが、他にお願い出来ない以上、自分でやるしか無い。押し入れに裁縫道具もあったような気がするがどうだったかな…。
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「切れねぇ。」
ハサミが切れない。布が思ったより硬い。なんだこれ。というか、ハサミのほうが切れ味が悪いのか?あと、布をまっすぐ斬るのが難しい。カーテンにする方はある程度歪んでいてもいいが、暖簾の方はまずいだろうか。
そんなこんなで布地に苦戦をしていると、水流がクーラーボックスから出てきた。床に敷いた新聞紙を濡らしながら、こちらに向かってくる。
「どうした水流。ハサミをつかっているから危ないぞ。」
そういう風に止めようとした所、それを無視してこちらに近づいてくる。困ったな、こちらは刃物をつかっている。一応触手もモンスターの扱いだから、ちょっとハサミがあったったぐらいで怪我をしたり、死んだりすることは無いだろうが、危ないから近づかないで欲しい。
「水流?」
水流は私が苦戦している布地に近づくと――
スパァン!
「は???」
強風が起こったと思ったら、次の瞬間、布地が切れていた。しかも綺麗に真っ直ぐに。想定していたサイズに切れた布地を確認した水流は、一仕事終わったとばかりに、クーラーボックスに戻っていく。
「は????」
布地を置いてあった床を確認してみるが、傷はまったくない。見事に布地だけが切れている。…これはもしかして魔法ってやつか?触手が魔法を?
「…。」
水流の謎が、また一つ増えた瞬間である。
別の作品もあります。よしなに。
愛用のクッションがどうもなにか変
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