「冷静に考えればいい」と言われても、それができるのならば、疾うにやっている。
再び部屋に戻った私は、やはり裏庭が池になっているのを確認する。室内から裏庭にでると、まさに別世界が広がっているような状況だ。…いやまてよ?裏庭に繋がる窓は、自室だけじゃないはずだ。そう、縁側からも裏庭に出れる。で、あれば、縁側からもこの裏庭が見えるはずである。…そっちはどうなってるんだ?そっちからも確認した方が良いだろう。一応、長靴をもっていこう。
縁側に出るためには、一度リビングを経由しなければならない。今日は確か…母はいなかったはずだ。大丈夫。私は一度窓を閉めて、部屋を出る。そして普段、家族で食事する時ぐらいにしか立ち入らない、リビングへとはいる。…よし、誰もいない。そのまま、リビングを抜け、縁側に出る。
縁側は全面、窓ガラスがあるのでそのまま外の様子がみえる。窓を開けずに縁側から裏庭を見る分には、普通の裏庭の用に見える。特に変わった様子は見られない。が、一応開けてみるまでは分からないだろう。窓をあけて、そのまま持ってきた長靴を履き、外に出る。…普通の裏庭だ。そうなると、あの裏庭が池となった世界は、私の自室からしか見えない可能性がでてくる。
「…これは自室からだけか?もっと確認しておいたほうが良いな。」
今度は、裏庭から自室に入ってみる。窓は閉めたが、鍵は開けておいた。そうなれば、外から窓をあけて、自室に入ることが可能だ。玉砂利が敷いてある自室前まで移動すると、そのまま自室の窓をあける。そして中を覗く。…うん。自室だね。それ以上でも以下でもない。何事もなければ、このまま自室に入れるはずだ。
私は窓を開けて、そのままそこに室内を覗こうと、顔を部屋内n『ゴンッ!』
「おっおっ…あ゛」
油断した。強打だ。いや、冷静に予想すべきだった。私はバカだ。あっちから普通の裏庭に出られないのならば、こっちからも普通の部屋に入れない可能性を考慮するべきだった。見事にここにも、透明度の高いガラスの壁のようなものがある。窓を開けたのに、まだそこに窓がある感じ。硬さは比較にならないけど。まぁ、ともかく、外から部屋に入れない事が判明。…いや、待て。
今開けたのは、外の私から見て、右側の窓だった。そして、部屋ないから開けたときは、左の窓だった。そこは問題ない。では、反対側はどうだ?部屋内からは、いつも開けていた右側、つまり外からみた時の左側。私は右側の窓そ閉め、左側の窓を開ける。問題なく、部屋内が見える。そのままそっと、腕を室内へと入れてみる。…特に何にも阻まれる感じはしない。
私は、そのまま長靴を脱ぎ、部屋にあがる。当然部屋中から見えるのは、右側が空いた窓と、いつもの裏庭だ。
「まさか。」
私は窓を閉め、今度は部屋内から左側の窓を開ける。…あぁ、うん。池になっている裏庭が見える。つまりこれは、(部屋内から見て)左の窓を開けたときだけ、この世界に出入りできるということを意味する。つまり出入り口は、この左の窓だ。
そしてその出入り口の先にいるのは、高級魚である『サクラサーモンモドキ』が泳いでいる裏庭。いや、裏庭に重なる別の世界。
私はこの現象を説明できる理由に、一つだけ心当たりがある。
――人はそれを『ダンジョン』と呼ぶ。
昨日(一昨日)は気がついたら床で寝てたのでお休みしました。
ちゃんと毎日投稿したい。(努力目標)
別の作品もあります。よしなに。
愛用のクッションがどうもなにか変
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