コミュ障だから、分かるんだよな。そういうの全部。
「裏野さん、気を抜いている所悪いんですが、これで終わりじゃないですよ。パーティー登録もしないといけませんし、他の話もあるのでこのあと会議室です。」
「勘弁してくれよ。」
「それに、お昼も食べないといけませんし。今日のお昼は協会のおごりですよ。」
「…それって、協会関係者と会食しろって言ってる?」
「ちっ。一周回って冷静になっちゃいましたか。」
「おい。砂塚。お前ぇ!」
流石にそう何度も、同じ手は食わんぞ。こっちの思考能力を奪っておいて、情報をあえて伝えない手口にはもう騙されない。まぁ、ここまで来て逃げたら、それはそれで不味いことになるだろうし、探索者協会だ。逃がしてはくれないだろう。実際、先程から一名、遠くからこちらを窺ってるやつがいるし。おそらく監視?なんだろうけど。一応、表彰に呼ばれたってことはゲストなんだけど、そこまでやるかね?
「なぁ、砂塚、気持ちは分かるけどさ。ここまで来て逃げないから、監視つけるのだけはやめてくれよ。」
「…何言ってるんです?監視なんて付けてませんよ?」
「は?現に、表彰中から、今現在にいたるまで、こっちをずーっと見てるやつがいるだろ?」
「…裏野さん、小声でお願いします。」
「…分かったけど、なぜだ?」
「理由は後で。そのずっと、こっちを見てるヤツって誰です?」
「アイツだ。」
私は、休憩スペースの出入り口方向を、そっと指差す。
「砂塚の差し金だろ?」
「…見覚えがありませんね。協会職員じゃなさそうです。」
「は?じゃぁなんだ、まったく無関係?」
「そうですね。しかし、どうしますかね。まさか、協会内部でこんな堂々と。」
「なんだ、なんの話だ?」
「にしても、よく気が付きましたね。」
「コミュ障だからなぁ、他人の視線には敏感なんだよ。トイレで上から覗かれてる時とかさぁ。いじめっ子に見つからないように、こそこそと移動する場合とかさぁ。」
「先輩…。」
小学校中学校って勉強できないアホが、親が偉いとか金持ちってだけで、やりたい放題だからな。勝手に人のノートの中身を見て、そのノートをちぎって、クラス中にばらまくとかやるぐらいには。だから、そういうアホのおもちゃにならないように、獲物を狙う視線ってのには、嫌なほど過敏にならなきゃいけない。ちなみに私は、それを財布でもやられたことが有る。まぁ流石に、それをやったバカ一同は、別室送りになったが。
でも、それでも所詮別室送りなんだよな。いじめとか超えて犯罪だろ。正直。
「で、なんで関係者じゃないアイツが、ずっとこっちの事みてるんだ?」
「その話は後で、とりあえず捕獲したいので、気がついてないふりしてもらえますか?」
「へいへい。それなら得意だぞ。いつも通り振る舞ってるように擬態するのは。」
おもちゃを狙うアホから逃げるには、そいつが別のおもちゃを見つけるまで、ひっそりとその視線に入らないことだ。つまり、一般に溶け込む。いつもと同じに、何も気がついていない、背景のその他大勢とまったく同じになればいい。なぜなら、おもちゃはその他大勢から選ぶのではなく、「おもちゃにしても問題ない弱者」を狙うのだから。
「それとも、こっちから奇襲します?やりましょうか?」
「考え方が行動力の化身。」
「一応、ただこっちを見てるだけの可能性があるので流石に。」
「はーい。」
にしても、また面倒くさい事になったな。ただこっちを見てるだけの一般人ならいいんだけどさ。そうじゃない場合のほうが高いんだよな。本当にずーっと見てるんだよな。気持ち悪いぐらいに。ただ、その場合、なんでこんな中年ニートを監視してるんだよ。意味不明すぎるだろ。どう考えても、ストーキングするなら、隣の美女と美女の二人だろ。見た目は美女だぞ。見た目は。
「ところでなんだけど。」
「なんですか?」
「パーティー登録ってしないと駄目か?」
「した方がいいです。というか、制度についてはちゃんと調べてたんじゃないですか?」
「あー、はじめの頃はどうせソロで活動するだろうしってことで、一応試験範囲は覚えたんだけど、パーティー関係は、必要ないだろって考えて忘れた。」
「ソロで探索なんて、出来るわけないんですよ。」
「言うな。今は後悔してる。」
だって、その時は一緒に探索する知り合いなんて出来ないと思ってたし、いないと思ってた。現実は違ったけど。
「パーティー登録すると、精算時にいちいち分配で揉めなくて済みますし、保険などで優遇があります。それから、税制でも優遇がありますね。パーティーでかかる費用の経費と損金参入が、より簡単になります。」
「あー、なんとなく分かる。」
「探索者ランクを上げるのもにも、パーティーとしての活動実績が加算されますし、パーティー全体での魔石などの売却実績が考慮されるようになります。これはパーティー申請をしてないと考慮されませんね。」
「そういえばそんな事いってたかも。」
なるほどねぇ。
「…あっハーブティーが無くなった。」
水筒に結構補充してきたつもりだったんだがな、あー、そういえば、砂塚と神埼にも分けたっけ。どうしようかな。協会からもらったお茶は、正直飲む気がしないし。
「自販機行ってきていいか?」
「協会に用意してもらったお茶、そんなに不味いんですか?」
「不味い。」
「…流石に変ですよ。先輩。それ。そんな不味いお茶、出す事あります?」
「さぁ知らんけど。お茶が出るだけマシだろ。」
「…どういう意味です?」
「予約していった企業説明会、私だけ席がない上に、ペットボトルのお茶も無かった。」
「…なんでそんな企業応募したんですかぁ。」
「地方のTVでCM出したり、世界規模で活躍してる産業メーカーの企業だったんだけど。」
「やめてください、具体的な情報をだすのは。」
しょーがねーだろ。事実だし。
別作あり〼
愛用のクッションがどうもなにか変
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青空設置しました。
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