地獄への道はいつだって善意に満ちていると言うけど、それは本当に善意ですか?
水流が風魔法と水魔法を同時発動させることで、圧縮空気で水弾を撃つ事を覚えた。ジェットカッターの理論をぶつぶつと独り言で伝えてしまったらしく、水流がいままで使ってた水弾よりも威力が強くなっている。やらかした気がするけど、まぁ水流が強くなる分には別にいいかな。…まずい気もしなくはないが、水流は良い子だよ。だから大丈夫。たぶん。
まぁそんな事よりも、タイルから粉末を作るのがもうちょっと楽にならないかを考えよう。ダンジョンでの魔力練習を程々で切り上げて、部屋にもどってPC前でああでもない、こうでもないと頭を捻る。
現状、ダイヤモンドを制するにはダイヤモンドの理論でとりあえずタイル同士をぶつけることで、ちまちまと粉を作れるところまでは進んだけど、このやり方では非効率だ。現実のダイヤモンドはそれこそ、カッティングをするのならば、ジェットカッターの理論で複雑な形状をカットしているのだが…。
まぁ、ダイヤモンドはイオンビームやレーザーをあてても加工が可能だが…。あくまで、物理的な切削加工をするには、やはりダイヤモンドなのだ。ダイヤの粉をまぶした、専用の研磨機にあてて削っていく。だから、タイルも同じ様に加工すれば削れるハズなのだが、その専用の研磨機がない。最初の粉だけ独力でつくって、あとは高速回転する研磨盤に押し当てるというのができない。
これを魔法でなんとかしたい訳だが、水流の魔法ではカットはまだ無理だろう。全然威力もスピードも足りない。まぁ、今回のタイルに関してはカットでなくても破壊出来ればいいのではあるが。…うーん。破壊かぁ。確か、簡単にものが壊せる方法っていろいろなかったっけ?共振破壊とか、温めてから急激に冷やしたりとか。…あっそうか。
それに気がついた私は、タイルを手に通り裏庭にでる。そして、地面に置いたタイルに魔力を通して温める。このタイルはたしか、持てなくなるぐらい熱くなるタイルだったはずだ。ものの数秒で、タイルが熱量を持ちつつあるのを感じる。そのままタイルに魔力を通し続けて、ガンガンタイルを温めていく。火事がちょっとだけ怖いけど、玉砂利の上だし大丈夫だろう。
そして、熱々になったタイルに、ダンジョンから汲んだばかりの冷たい水をぶっかける。じゅわああああと、水がタイルに触れて蒸発する音が聞こえる。…うーん。これじゃ足りないかな。確かにタイルに魔力を通すと、熱くはなるんだけどこの程度の温度では足りない気がする。同様に、冷やす方もダンジョンの水は確かに冷たいけど、これじゃ足りないかも。
要は、材質が耐えられる以上の急激な温度変化を与えたい訳だが。タイル自体の発熱と、ダンジョンの水程度の温度差では、いまいち効果が薄い気がする。多分この、温度差による破壊方法なら、楽にタイルを破壊できる気がするんだよな。そして、それほどまでにこのタイルを熱するには、火魔法が必要だ。
うーん。巡り巡って、結局は私が魔法を使えるようにならないと駄目か?それとも、なんかそういう道具とかあるかなぁ。
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「帰りたい。」
いろいろ考えた挙げ句、結局自分の力ではタイルを破壊できないという結論に至った。専用の道具や、魔法の使用が必要だね。ちまちまとやれば、タイルでタイルを削る程度ならできなくはないけけど…。というわけで、魔法の練習とちまちまとタイルを削るとかやっていたら、あっという間に、協会に行く日になってしまった訳で。そうして、まだ家なのにも関わらず、口から飛び出した言葉は「帰りたい」である。
なお、協会の指定は午前9時である。また、いつも人が寝ている時間帯に呼び出しをしてくるんだよな…。
しかも、「ちゃんと身だしなみを整えておけ!」と神埼と砂塚から、厳しく、それはもう厳しく言われましたからね。朝早く7時には起きて、朝風呂なんて入らなきゃいけなくなった訳ですよ。これなら流石に文句ないだろ。髭もちゃんと剃りますし、化粧水と、なんとかなんとかいうヤツもちゃんと肌に付けますよ。…あれ、なんだっけ?化粧水じゃなくて…まぁともかくつければ良いハズ。ヨシ。
にしても、ニートのおっさんが、肌を気にして化粧水とかって傍から見たらどうなんかね?
「…ふぅ。じゃぁ、留守番頼んだぞー。」
正直これから起きるイベント内容のことを考えると、気分が鬱々としてくる。表彰とか…面倒くさいから、お金だけ貰えないですかね。いや、でもなぁ、わざわざやる理由も聞いちゃったからなぁ、断われないんだよなぁ。なんで私なんかが、こんな目に遭うんかなぁ。人助けしただけなのに。しかもそれしたのは、神埼だし。
今からでも、逃げ——
<<ピンポーン>>
…無理だな。おい、約束の時間より大分早いぞ神埼。ここから逃げたとしても、神埼の追跡を振り切って逃げるのは、確定で無理ゲーです。お疲れ様でした。っていうか、約束の時間より、20分は前だぞ。支度は出来てるけど、どうする?…って言ったところで、部屋に上げるわけにいかんしなぁ。水流達が見つかったら終わる。っていうか、家の前で待ってればいいって言ったのに、チャイム鳴らすのか。
詰んだ。このまま外に出て、神埼の車に乗り込むのがベストだ。
「先輩、おはようございます。」
「…外で待ってればいいって言ったのに。」
「そういうわけにもいかないでしょ。挨拶ぐらいしないと。」
「時間より早いぞ。」
「だって、そうでもしないと、先輩逃げるかもしれないじゃないですか?どうです?」
「…ソンナコトナイゾ。」
えぇ、ありませんとも。ちゃんと行くよ。
「ホントかなぁ~?」
おい、やめろ、危ないイントネーションでそのセリフを言うんじゃぁない。
別作あり〼
愛用のクッションがどうもなにか変
https://ncode.syosetu.com/n4475kl/
青空設置しました。
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