じゃぁ結局、魔法ってどういう原理で現実に作用してるんですか?
翌日。ついに『明後日に、探索者協会まで来てくれ。』と連絡があったと、砂塚から連絡が来た。正直面倒くさいし、出たくはないんだけど協会側の言い分も理解できるっちゃできる。逃げ道が既に塞がっているので、大人しく猫を被ってなんとかするしかないだろう。それはそれとして、朝の寒さがいよいよ許容できなくなりつつある。越冬準備が間に合わなければ、とりあえずコンポストにあのタイルを仕込んで土流に温めさせようかと考えているが、どうしようか?
それはそれとして、今日もタイル同士を叩きつけて粉を作ってやりたい。もう少し効率的なやり方がアレばいいが、タイルはタイルでしか削れないので仕方がない。っていうか、土流、結局あの粉を食べたのかね?そもそも、なんで出来てるんだこのタイル。元はゴーレムの一部だろ?…その一部がなんで魔力で発熱するんだよとは思うけど。もとは何かの部品なのか?タイルごとに、個体差があるのもよくわからない。「そんな謎な物買ってくるなよ!」という話では有るけれど、魔道具よりも安定してそうだったし安かったからな。
まぁ、今日は他に、特にやることも無いしな。ゴロゴロしてるぐらいなら、朝食を食べた後にタイルからの粉づくりを進めてやるとするか。あー、その前に魔力の知覚練習でもしようかな。プライベートダンジョンで。
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最近、プライベートダンジョンは魚釣りだけじゃなくて、魔力の練習場所にも活用している。まだ魔法は発現できないけど、そもそも水に魔力が有ることが分かっているし、なんとなく、認識しやすい。あと万が一に魔法が間違って発現しても、壁に向かって打てば被害が無くて良いという配慮だ。最近は水流もよく魔法を一緒に使ってくれている。
ところで今日の水流なんだが、いつもの風魔法や水魔法みたいな魔法じゃなくて、なにやら別の魔法を練習をしている。たぶんだが、魔法でタイルを切断できるように頑張っているんだろうけど…。池の水を吸い上げて、エアーカッターとウォータカッターを重ねて射出しているが、うまいこといってない。
確かなんだけど、ウォータージェットカッターでもそれらしくなるには、10MPaぐらいの出力は必要になる。それも研磨剤を入れてだ。つまりは水だけだともっと高い圧力が必要だろう。ダイヤモンドの粉を研磨剤にするのがベストの方法だが、別に砂でも問題はない。当然、ダイヤモンドより切れ味は落ちるが…。
おそらく水流が時々使ってる風魔法は、サンドブラスターの要領で砂もしくは研磨剤になるような細かな粒子と大気をMIXしたものを、圧力をかけて固めてから射出する『エアーカッター』の類だと思っている。問題は、その大気をどの様に加速、あるいは圧縮しているのかが私には分からない。木材のカッティングするためには、そこそこ圧縮していると思うんだけど、その場合もっと気流が発生すると考えられるんだが。…大気を操るって圧縮するために、魔力を使っているのか?
私は水流の使う『エアーカッター』を見ながら、その魔法の原理のイメージを考える。少なくとも射出には魔力は使っているのは確実だ。真空の刃を飛ばすようなパターンでも、大気操作は絶対に必要になる。そして、真空を作るよりも大気を圧縮するほうが操作的には簡単だろう。私がイメージしやすいところで言えば、『魔力で大気をギュッっと圧縮して、その圧力を小さな穴から射出する』というエアジェットカッターの基本的な原理による方法だ。
だが、昨日水流が見せた魔術は、そのプロセスとは異なった。粉と空気を混ぜたものを円盤状に回転させて、その回転をどんどんと加速させてその摩擦で<<シュルルル>>と音が鳴っていた。つまり、これは圧縮をせずに加速させているということだ。大気それ自体を流れさせて、おそらく魔力で強引に加速させて刃にして切り裂く。…これに使う魔力は…『大気の操作』と『その加速』あたりか?
なるほど、原理から考えると何が魔力で魔法を成立させいるのか分かるのか。そして、大気は魔力で操作できるって事だな?じゃぁ、大気をギュッっと集める操作もできるハズ。つまり魔力のゴム風船をイメージして、そのゴム風船の一部に穴を開けると、そこから圧力で押し出された大気が高圧で噴射される。あとは魔力の圧力で中の大気が無くなるまで…。か。これだと、大気を集めて圧縮するための魔力が必要になるのか。確かに、加速だけの方が簡単そうに思える。
んん…。でも土魔法って、土壁を生成したりするけどそれは土がないところでも出来るよな?水魔法も水生成が可能な訳だし、風魔法は大気操作だけじゃなくて、大気生成が出来るのでは?
つまり、射出する分の大気を集めるのではなく、魔力のゴム風船を先に用意して、その中に大気を直で生成してやるとどうなる?…大気を集めるのと圧縮工程が省けるけど、魔力のゴム風船の耐久性が問題になる。結果として、なんか二度手間な気がする。そもそも圧縮しないで、高圧で大気を噴射できるならそれに越したことはない。大気生成ができるのであれば、そもそも生成した大気をそのまま高圧で噴射できたりしないのだろうか?
つまり、生成時に大気の密度を操作できないかという話か…あぁいや、その前に、大気の操作って、どのレベルでできるんだろうか?つまりはガスを操作してる訳だけど、これがたとえば塊で動かしているのかそれとも、分子レベルで動かしているのかで話が変わってくる。それこそチェーンソーの刃と同じだ。ガスでできたブレードを作って動かすよりも、切っ先だけを高速で動かしたほうが良い。操作の単位は精密になるけど、でっかいブレードを丸ごと動かすよりも、おそらく遥かに小さな力で動かせるはずだ。
風魔法を使えるようになれば、私にも水流の魔法がもう少し具体的に分かるんだろうが。
昨日水流が動かしていた粉も、粉を動かしてるのかそれとも大気を操作してすくい上げてるのかで認識が変わってくる。つまり、対象と方法だ。魔法を何を対象にして、どう動かすのかというプロセスの問題。結果は同じでも原理が異なれば、もっと簡単に魔法が使えるんじゃないかと思うんだよな。
水流のように大気を固めて加速させて射出するような、暫定名称『エアカッター』は現状、私には発現できそうにない。だが、例えば指先で生成したエアーを指向性を持たせて射出するぐらいなら、それよりは簡単に思える。ただし、当然圧縮した大気よりは威力が落ちるだろう。ただ、その場にある大気だけでは、やはりものを切断するだけの高圧への圧縮や加速はめんどくさい気がするんだよな…。
「…ん?水流?どうした?えっ考え事が全部口に出てたって?」
どうやら、ぶつぶつと独り言を喋っていたようで、全部水流に聴かれていたようだ。そして、何やら水流は、空間の大気を操作して…ちょっとまて、何をする気だ。
<<ビュオオオオ>>
渦巻く大気の流れでわかる。水流の前で大気を圧縮している。緩やかだが着実に、ボール状の大きさに大気をまとめて圧縮している。そしてその圧縮塊に穴を開けて、前方方向に圧縮空気を噴射。あっ、噴射時に水も組み上げて混ぜて——
<<バチュン>>
射出された水と大気の混合物は、プライベートダンジョンの壁にあたって弾けた。そして細かくなった水の粒子が、ミスト状になって漂う。なるほど、水弾を圧縮空気で加速させたのか。あのルーキーシュレッダーの水弾なんかより、やばそうな気がする。水は圧縮出来ないから加速させて射出するしかないけど、エアーなら圧縮できるからそれをつかって打ち出せば、威力があがるって寸法だ。
余計なことを教えた気がするけど、ドヤ顔?ドヤポーズか。ドヤポーズの水流を見ると、まぁ、なんか、どうでも良い気がする。
別作あり〼
愛用のクッションがどうもなにか変
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青空設置しました。
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