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触手 in クーラーボックス(仮)  作者: 一級フラグ建築士
第5章 越冬準備と家から引きずり出されるニート(前編)

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当たらなければ、どうという事は無い。

 「おはようございます。先輩、ちゃんと髭剃り出来たみたいですね。」

 「そりゃぁ、普段面倒くさくて剃ってなかっただけで、髭剃りぐらいはできる。」

 「裏野さん、残念ながら信用してないので。」

 「解せぬ。」


 髭を剃っただけで、この言われようである。確かに久々に剃ったけどさ。 


 「髭剃りの後のケアは?」

 「やった。本当に必要なのか?」

 「必要です。髭剃り後はケアしてください。」

 「それに、なんで化粧水が二本も必要なんだ?」

 「アフターシェーブローションと化粧水です。目的が違います。併用してください。」

 「アフ…何?」

 「アフターシェーブローションです。」

 「…必要なのか?」

 「必ずやれ。」

 「イエッサー。」


 正直美肌とか、まったく興味無いんだが。やらないと殺されそうだ。冗談抜きで、ちゃんとやらないとダメそうだ。ちゃんとやらなかったらおそらくは、神埼の正拳突きを味わうことになるだろう。絶対に喰らいたくはない。


 「砂塚ちゃん、コンタクトはどうします?眼鏡から変えたほうが良くないですか?」

 「いえ、駄目です。絶対コンタクトの管理ができません。細菌感染が怖いので駄目です。」

 「あー。分かる。」

 「人を何だと思ってる。」

 「「駄目人間。」」


 それはそうだけどさ。最初からだけど、社会不適合だって言っているだろうに。そんなやつをリーダーにしたのはお前らだぞ。文句言うなよ。いや、文句は言ってないか。ただ、強制連行はされたけど。…やっぱりリーダーにする仕打ちでは無くないか?逆に事やると絶対セクハラ・パワハラになるだろうに。女性二人組が、その腕力で男性を拉致するのは問題にならないのはなんでや。こんな世の中を許すな。


 「ま、ちゃんとやってるのならいいです。そんな事より、装備の更新の話をしましょう。今日の目的それですし。」

 「あぁ、真っ先に神埼の装備の見直しだろ。」

 「そうですね。今のところ神埼さんが、一番ミスマッチしているので。」

 「標準的な駆け出し用の探索者の装備セットだけど、これじゃ駄目なの?」

 「駄目ではないんですが、通常考えられる戦闘って武器を使うんですよ。」

 「殴ったほうが早くない?」

 「どうして戦闘の事になると、神埼さんは急にIQが落ちるんですか?」

 「ひっどーい!」


 やっぱりこいつ、バーサーカーかなんかだろ。神埼。しかも、IQが落ちるだけじゃなくて、実際にちゃんと戦えてるのがおかしいんだよな。どうして、あの速度の触手を手刀で叩き落とせるんだよ。おかしいだろ。


 「という訳で、神埼さんの主な戦い方が格闘戦になるので、護身用の武器と格闘戦向けの装備が必要です。これは、初心者向けの装備セットでは解決しません。現状、棍棒がただの重りと化してますし、でかすぎるシールドは行動阻害にしかなってません。」

 「あ、それ感じてた。棍棒とシールドが邪魔だなって。」

 「まぁそうだな。全身、防刃の強化スーツとか、急所に軽量のプロテクターとか付けて、可動領域が広いというか、行動しやすい装備のほうが神埼向けだろう。」

 「その通りです、裏野さん。そしてそういう軽量かつコンパクトな装備って、初心者向けの『とにかく防御力』の発想の装備とは、相容れないんですよ。」

 「つまり、戦闘スタイルで何を重視するかという問題だな。素早さと攻撃力特化の神埼では、防御力特化の装備はお荷物でしか無い。」 

 「満点です。やはり裏野さんは自分に興味があることだと、頭の回転が早いですね。」

 「…皮肉か?」

 「褒め言葉です。」


 まぁ、普通に考えたら分かるだろ。軽戦士に、重戦士が持つような盾を持たせてもなんの意味も無い。ゲーム的に言うと、アタッカーにタンクの装備をさせても、持ち味を殺すだけだ。神埼はその身体能力を活かした、高速移動と格闘攻撃が持ち味。拳闘士とか忍者とか、そういった類の戦闘スタイルになる。つまり、こういうことだな。


 「もう少し噛み砕いて説明するか。神埼に盾は不要。なぜなら神埼は、攻撃を避けるから。当たらなければそもそもシールドなんか要らない。それでも避けられない攻撃を受けた時は、全身スーツで防御。そしてスーツでは保護されない急所は、軽量のプロテクターで固める。」

 「あー、なるほどです。」

 「では武器は?」

 「メリケンサックと重りを仕込んだ靴…だと古典的だな?現実解は、ガントレットとスパイクブーツ。」

 「80点です。悪くないですが、スパイクブーツは地面の状況によってイマイチです。それなら古典的でも、重たくて硬い靴の方が、まだ応用が効きます。」

 「…む、確かに。対応できるフィールドと状況の広さ、それに敵との相性等、色々と考慮すべきだ。条件が定まっておらず、様々な状況下に対応しなければならないならば、汎用性の高さを考えなければいけないか。」


 うっかりしていたが、スパイクブーツでは地面環境次第では行動が阻害される。当然それは神埼の戦闘力の低下に繋がる。古典的だが重たいだけの靴のほうが、対応できる局面が広い。


 「となると、なんだ。ガントレットは確定だろ。足の方は、なにかもっと良い装備が有るのか?」

 「有ります。実はなんですけど、つま先に鉄板が仕込まれている安全靴でいいです。というのも、神埼さんの蹴りってつま先なんですよ。だから、つま先に重りがある方が、加速と威力がでます。」

 「なるほど。理解した。」


 なるほど、安全靴でいいのか。


 「あとは何かあるか?」

 「まぁ、格闘メインとは言え、近接武器は持っておいたほうが良いですね。邪魔にならないならナイフあたりですけど、刃物は扱いが面倒くさいんですよねー。」

 「だが、棍棒は邪魔になるだけだぞ?…いや、それこそメリケンサックの方向で行くと、打撃武器で取り回しが良いものが一つ有る。トンファーか。」

 「えぇ、トンファーなら邪魔になりません。神埼さんの装備は『ガントレット』『防刃・耐衝撃スーツ』『プロテクター』『トンファー』『安全靴』この五つを購入でいいと思います。予算内で、しっくり来るものを選んでください。後で私も確認します。」

 「はーい!」


 神埼の装備が一通り決まったとなると、次は私の装備か。ちょっと楽しみだな。

別作あり〼

愛用のクッションがどうもなにか変

https://ncode.syosetu.com/n4475kl/


青空設置しました。

https://bsky.app/profile/sternjp.bsky.social

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