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触手 in クーラーボックス(仮)  作者: 一級フラグ建築士
第5章 越冬準備と家から引きずり出されるニート(前編)

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触手のグッドコミュニケーション。私のバッドコミュニケーション。

 「…サンシェード設置したばかりだけど、もう涼しくなってきたな。いや、ようやくと言うべきか?…あー、『9月だっていうのに暑すぎた』って言うが正しいか。」


 葦附第二階層で起きた例の騒動から、数日。懸念事項だった現場検証等に呼ばれることは無く、まったりとした日々を過ごしている。水流と魚を釣って、土流とハーブをいじるという、半ばスローライフ。経済的には厳しくっても、これぐらい平和な生活がやはり一番良いだろう。まぁ問題は、その生活がダンジョンという存在に依存している為に、探索者というリスクをどこかで受け入れなければならなくなる事か。


 例の騒動では正直、死んでもおかしくなかった。というか、幸運が重なっただけで、そうでなければ9割死んでいただろう。私が生き残ったのは、単に幸運だったからだ。だが、それがダンジョンであり、モンスターであり、探索者という仕事である。…まぁまだ、探索者という仕事に足を踏み出せたばかりであり、実態はやっぱりほぼほぼニートと変わりがない。


 まぁ、ダンジョン探索でちょっとまとまったお金が手に入ったりとか、収入が全く無い訳ではない。この間の騒動でも、死ぬほどというか、死にかけるほど辛い目にあったし、探索結果という意味での成果はゼロに等しかったが、あのシマシマの『討伐報酬(魔石代含む)』と名目が分からない『協力金』ということで、探索者協会から受取口座への振込があった。その金額おおよそ40万円ってところだ。あんな思いをしてこの金額なのは、喜ぶべきなのか悲しむべきなのかは微妙なところである。


 それと別に、ほんの少額であるが救助した探索者からお礼が少し。彼らも大変だろうというのに…。ただしこちらは、神埼と砂塚と話し合ってパーティーのプール金として置いておく事にした。…あれ?砂塚ってうちのパーティーだったっけ?まぁ、入ってくれるなら入ってくれるで戦力的に非常に助かるけど、職員と利用者のパーティーで問題ないのか?まぁあったらあったで、探索者協会からなにか言っていくるか。たぶんおそらくメイビーきっと。


 とりあえず数ヶ月は何もしなくて済みそうな金額だが、そろそろ早急に対策しなければならない課題があるので、そちらの費用に消えてしまうだろう。


 …さて、ところでだが、今机の上には、「触手です。よろしくお願いします。」と、言いたげなちょこんと小さな塊がぷよぷよとしている。拾ってきた初日はヒトデみたいとかいったが、まじまじと観察するとヒルみたいな感じか?なんていうか、丸いというか潰れたモチというか、ちょいヌメの弾力がある感じ。


 そう、いつのまにかウエストポーチに入り込んでいたあの個体である。うっかり確認しないで生体をダンジョンから持ち出してしまったので、完全に私のやらかしである。報告したら「じゃぁ他にもいないか家宅捜索ね!」ってなりかねないので、もう黙ってるしか無い。


 そのまま討伐っていう手段も取れるけど、前にも言ったように特に敵対行動をしているわけでもないし、水流と土流に初日から詰め寄られて「触手はもう駄目です。」みたいなのを見せられたら、叩き潰す訳にもいかない。さらに言えば、問題がある個体なら、水流がとっくにスライスしていると思われるので、なおさら私があれこれする気にはなれない。…つまり、持ち帰ってきた時点で当家で面倒を見ることが確定してしまった。


 というわけで新入りであるが、どうも水陸どちらでも問題無さそうだ。…というか、たぶん葦附の隠し部屋で巨大化してたあれと同一個体だろうから、それはそうか。あの個体も、ダンジョンでは陸上を移動していたし隠し部屋では水にどっぷり浸かっていたし。問題はどうやったらアレだけ大きくなるかなんだけど、シマシマの能力の可能性もあるのでよくわからない。


 連れてきた当初、死にかけたあとで死ぬほどだるかったので、必然的に水流と土流にまかせておいたら、最初は「おう、お前どこからきたんやコラ」みたいな対応だったのに、そのまま初日で打ち解けたようで、水流にひっついていたり、土流にひっついていたりする。種類が違うとは言えど、やはり同じ触手なのか打ち解けるのが早いな。…人と人が打ち解けるのは大変なんだけど。…あ、いや、単純に水流と土流のコミュニケーション能力が高いだけか。


 それはそれでどうなんだ。私が。


 …コホン。それでだが、観察しているとやっぱりヒルっぽい種類みたいで、水流のクーラーボックスに入れてあるプライベートダンジョンの水を吸って膨らんでみたり、釣り上げたダンジョンの魚の血を吸ってみたりしている。あと、よくみると吸盤があったり、体表をよくみるとシワがあったりとかする。水流みたいにすべすべつるつるだったり、土流みたいな体節が沢山あったりとかはしない。


 そしてやはりなんだが、これはどうやっているか分からないが、魔石から魔力を吸い取れるようだ。たぶん、あの隠し部屋でやっていたのは、あの大きな魔石から魔力を吸い取って、体に魔力を移し、それを魚に食べさせるという荒業だ。つまり、魔石から魚への魔力供給を担わされたという感じ。…うん。やってることが実験動物のそれだ。かなり、酷いことをしている。


 要するに、この新入り。魔力だろうが血液だろうが水だろうが、『いろんなものを吸える』っぽい。ジュースとかを与えたりとかはしてないので、本当になんでもかは分からないが…。なので今のところは、この新入には、魚を捌く前に血抜きをするのを手伝ってもらっている。完璧に血抜きしてくれるからすごい助かる。後片付けも楽だし、洗い物がへるのだ。餌やりも出来て一石二鳥どころか三鳥ぐらいある。


 今のところ水流と一緒に寝たり、土流と一緒に寝たりしているので専用の寝床は用意していないが、いつまでも決まらないのはどうかと思うのでなにか考えてやるべきか。早めになにか考えてやりたいんだが、それよりも先に『そろそろ早急に対策しなければならない課題』をなんとかしなければいけないので、それが終わってからでも許してくれるかな。どうだろうか。…もしかしてだけど、こういうところがバッドコミュニケーションだったりするのか?うーん。

別作あり〼

愛用のクッションがどうもなにか変

https://ncode.syosetu.com/n4475kl/


青空設置しました。

https://bsky.app/profile/sternjp.bsky.social

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