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触手 in クーラーボックス(仮)  作者: 一級フラグ建築士
第4章 第二階層の秘密

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保険とはいうのは土壇場で用意するのではなく、事前に想定して備えるものである。

 「砂塚ちゃん、考えたんだけど。」

 「はい、なんですか?」

 「それだけ強くて魔力があるなら、自分で壊せばいいのに。」

 「たぶん、見つかりたくないのでは?」

 「なら、痕跡ぐらい隠蔽しない?」


 概ね神埼の言うとおりだ。わざわざルーキーシュレッダーとその上位種のボスに魔力を分けなくても、自分で魔力をつかって破壊したほうが早いだろう。わざわざ分割して供給した上に、ちまちまと水魔法で崖を破壊するよりも、一回の大技で崖を破壊したほうがいい。そうしないということは、わざわざ魚たちにやらせる意味があるということだ。つまり見つかりたくないと思っている。


 だが一方で、自分の痕跡についてはばっちり残すというお粗末さである。隠れたいのか、隠れたくないのかよくわからない。回りくどいことをやっておきながら、見つかってもいいやと思っている。どうにも腑に落ちないが、合理的な説明がつかない。


 「そう言われればそうだな。なんでこんな回りくどい事やってるんだ?」

 「うーん。実験とか?」

 「実験?」

 「モンスターの兵器利用とか?」

 「…発想が飛躍しすぎですが、まぁあながち間違って無さそうな意見ではあります。ただ、理由は不明ですね。」


 実際としては不明だが、とりあえずこのまま進めばまもなく湖に到着する。否が応でも真相はそこで分かるだろう。…問題は、私達が勝てるかどうかだが。不安だな。


****************************


 「扉ですね。見事に。」

 「扉だな。」

 「扉だね。」


 隠し通路の洞窟の先には、大きな扉があった。ダンジョンの自然生成なのか、それとも意図して建造されたのかは分からないが、明らかにこの先に痕跡が続いている。突入しないと何も始まらないが、死ぬほど罠臭い。このまま突撃したくないが、正直カードらしいカードも無い。


 「砂塚どうする?まぁ、もう、入るしかないが、思いっきり罠だと思うぞ?」

 「でしょうね。開けた瞬間待ち伏せでしょうね。」

 「じゃぁ入るのはまずい?」

 「いえ、入るという選択肢しかありません。」

 「じゃぁ、どうするの?」

 「破城槌とかで破壊出来れば便利なんですけどね。バカ正直に開ける気にはなれません。」

 「棍棒じゃ駄目か?」

 「威力不足ですね。」

 「魔法やスキルは?」

 「耐魔加工されてますね。物理でこじ開けるのがお勧めです。」

 「…棍棒しか無いぞ?」

 「…ダメ元で破壊してみますか。」


 そうやって扉を破壊する方法を、私と砂塚で相談していたのだが、有効策が思いつかない。そのまま大人しく入るしか無いだろうか…。


 「ブースト!スピードブースト!エンチャント!」

 「「は???」」

 「せーの!」


 後ろから聞こえる神埼の声に、砂塚と二人して素っ頓狂な声をあげる。脳内に「またか」とか「いつの間に覚えた」とか「待て!」とか「人の話を聞け」とかいろんな言葉が浮かぶが、もはや手遅れなのは明白である。もう、その人間ミサイルが、発射寸前だ。


 「えーい!」


  <<ズドン>>


 神埼の諸々は、全てが終わった後に追求するとして、金属製の対魔加工されているはずの扉は、あっけなく吹き飛んでいく。ギャグアニメかな?という感想が出そうになるが、ぐっと飲み込む。破城槌が無いと無理だろう。そう思っていたはずの強固な扉が、部屋の奥へと吹っ飛んでいく。そしてド派手な音を立てながら地面に衝突?して、その動きを止める。


 「開きました!」

 「『開きました!』じゃないんだよなぁ。」


 この際、神埼のパワーについてはもう突っ込まない。だが、やれると思ったことを砂塚の指示を聞かないで実行するのはやめてくれ。結果的に扉破壊できたけど。いや、できるのがおかしいんだけど?…どこから間違ってるのかもう分からないけど、違うんだよな。そうじゃないんだよ。


 …まぁもういいや。それよりもこの先にいるだろう。元凶をなんとかするのが先だ。…いや、もう開いた扉…なくなった扉?もう扉じゃないなコレ。入口?…入口から、中もう見えちゃってるんだけど。ぬむぬめの正体がさぁ。見えちゃってるんだけどさぁ。


 どうするんだよこの空気。


 「扉は…開けるものだぞ。」

 「開けましたよ?」

 「「違う、そうじゃない!」」


 それはそれとして、扉の向こうには小部屋があり水面が見える。おそらく潜れば湖につながっているんだろう。そんなことよりも、その水に体の一部を浸しているのはやはり触手のモンスターだった。概ね予想通りではあるが…こいつからは意思を感じない。おそらく魚の餌だ。なるほど、コレだけでかいから痕跡を消せなかったのか。


 で、だ。


 この触手の塊が、勝手に餌になる為に移動する訳がない。つまり、この塊を運んできた何某かが存在しているはずである。ご丁寧に入口を岩で隠した上に、扉を閉めたやつが。だが、入口から小部屋の中を見渡しても、水に浸かっている触手しかいない。


 入口からじゃ分からないなると、とりあえず小部屋に侵入するしかないが、どうも頭の一部が疼く。…昔から、嫌な予感がすると頭が疼く。非常によろしくない感じがする。


 「砂塚。ヤバい気がする。」

 「…撤t—」


 そう砂塚に進言し砂塚が『撤退』を宣言しようとした瞬間、小部屋から飛び出した触手が私の足に絡みついた。砂塚と神埼は迎撃した上に私を庇おうとしたが、触手の方が早かった。…正直、水流に巻き付かれた時の方が痛いし早いが、そのまま部屋の中に引きずり込まれる。


 「裏野さん!」

 「先輩!」


 とりあえず緊急時用に付けておいたヘルメットのライトを点灯し、受け身の態勢をとる。足に巻き付いた触手は、無理に剥がすと骨が折れるだろう。だから無理に解こうとはせず、引きずられるままに任せる。はっきりいって絶望的状況だが、触手に()害意は感じられない。…触手の害意ってなんだよ。水流と土流との付き合いが長すぎて、触手の害意が分かるってどういうことだよ。大分毒されてる気がする。


 あと男の触手プレイに需要はないぞ。

別作あり〼

愛用のクッションがどうもなにか変

https://ncode.syosetu.com/n4475kl/


青空設置しました。

https://bsky.app/profile/sternjp.bsky.social

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