つまりそこらの探索者程度なら、なんとかできるという自信があるという事。
「…助かった、会話は聞こえていた。他の皆も助けて欲しいと言いたいところだが、君たちに賭ける。この大惨事が始まったのは、君たちが到着する20分前ぐらいからだ。」
「お任せください。」
神埼が文字通り無理やりに、湖の周りに倒れている探索者を引きずってきた。水魔法がバシバシ打ち込まれたが、その水弾を全てかいくぐり負傷者を引きずってきた。「突破するだけなら可能」と言ってたけど、本当になんとかしてしまうとは…。やっぱり神埼、デタラメに強くないか?まぁ、今はそれは良いとして、襲撃時間的に、やはり第二階層最奥が怪しい。おそらく、地底に洞窟があるんだろう。急いで第二階層最奥を目指す。
「スリーマンセルで行動します。魔力供給源が一体とは限りません。神埼と私で裏野を挟む形にします。神埼は前方の警戒を、私は全体をフォローします。裏野さんはケイビングの準備を。そのスーツと靴。ケイビング用ですよね。」
「…まぁな。本当にケイビングで使う事になるとは思ってなかったけど。」
「洞窟内部のマッピングと、照明は私がスキルと魔法でなんとかします。」
「助かる。それだけで難易度がぐっと下がる。」
「予備のライトはありますか?」
「ある。一式、カバンごと持ってきたからな。」
「非常用に貸してください。神埼さんにも。」
「OK。当然だ。」
中身を詰め替えるのが、面倒だっただけだがな。重たいから持ってこない方が良かったとすら思っていたんだが、まさかここで使うことになるとは。神埼と砂塚は普通の格好だが…大丈夫か?
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第二階層最奥に到着した。もうちょっと進めば、第三階層に繋がるゲートがある。何故ココまで戻ってきたのかというと、下層からあがってきたモンスターの何らかの痕跡が残っている事に期待した為だ。もちろん、下層からモンスターが上がってきたという仮定が、間違っている可能性もある。しかし、その心配はなかったようだ。
「ばっちり跡が残ってますね。ここまで逃げてきた猿のモンスターともエンカウントしてますけど、それとは別の…足跡?がばっちり。岩場にぬるぬるとした跡がのこってますし、苔や藻も平気で引きずって動いてますから、痕跡丸残りです。」
「そうだな、明らかに猿やネズミの足跡とは違う、ぬめぬめした痕跡がある。湖に侵入したモンスターとは別の可能性ももちろん残るが、この痕跡が魔力供給を行っているモンスターの可能性が高い。追跡しよう。」
ちなみにココまでエンカウントした猿のモンスターは、神埼の蹴りで一蹴された。やっぱり、強さがおかしい。…まぁそれはどうでもよくって、この痕跡の主を追跡しなければならない。問題は足というかなんか這いずった感じなんだよな。二足歩行や四足歩行の生物の痕跡とは明らかに別だ。
そこから、その痕跡を追跡して第二階層を進んでいくとちょっと進んだ先の岩場…それも大きな岩がゴロゴロしているゾーンに突入していく。雰囲気としては第二階層であるにも関わらず、第三階層に近い。第二階層でも最奥へ続く主要ルートから少し外れて、比較的流れの速い川が流れていて足場も悪い。そして、崖の下になっていて一見、袋小路だ。
「これは…あの先か?川辺の支流の先の水たまりだな。」
「この岩で痕跡が途切れてます。大岩の死角で見づらい位置ですね。隠し通路を設置するには最適なポイントです。」
「この岩どかせるか?」
「造作もありません。破壊しますね。ブースト。」
砂塚が岩を蹴り飛ばすと、ガラガラと音をたてて岩が崩れていく。おそらく強化魔法を使って身体強化を行ったのだろう。
「隠し通路発見です。痕跡バッチリです。」
「方角的にも間違い無さそうだな。」
「神埼さん、先頭をお願いします。」
「はーい!任せて!」
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プライベートダンジョンでのケイビングはロープ不足で失敗に終わったが、この葦附でのケイビングは、マッピングができる砂塚に加えて前衛を担当する神埼が一緒だ。隠し通路の洞窟であるにも関わらず、内部はそれなりに広い。ただ入り組んでいるということもなく、ダンジョンのやや外れの地形に沿って、第二階層最奥から第二階層入口方向にむけてのほぼ一本道だ。
人であっても問題なく進めるだけの高さと幅がある、真っ暗な洞窟だが砂塚の魔法があたりを照らしているので、洞窟内部の痕跡もバッチリだ。チョロチョロと流れる水も、ぬるぬるとした痕跡もなにかもがはっきり見えている。そのままその痕跡を追いかける。
「順調過ぎますね。」
そう砂塚がつぶやく。同感だ。
「順調なのは良い事では?」
「いや、ここまではっきり痕跡がのこっている上に、隠し通路でありながら、なんの痕跡もない。もし私がこれを意図してやってるなら、護衛を配置した上に罠も用意する。」
「同感です。意図して第一階層と第二階層の間に湖を配置して、制限しているとしか思えません。」
「つまりどういうこと?」
「この洞窟自体が罠、あるいは、痕跡が見つかっても問題が無いと思っている。」
「…もしかしてまずい?」
「だけど、やるしかありません。ここで討伐しないとたぶん、二度と地上に戻れませんよ?」
「うへぇ。」
まぁ、この分なら数分もしないうちに追いつくことだろう。だが、そんな事より問題はこのヌメヌメの痕跡だ。…正直に言うと、このぬめりの感じと跡、私は何度も見たことが有るんだよな。それはもう本当に何度も見たことが有る。
まるで、水流が這いずった跡、それに似ているのだ。
別作あり〼
愛用のクッションがどうもなにか変
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