指示する触手、従う私、後片付けも私。
今日ちょっと過ごしやすかったので早めに更新
クーラーボックスに腕ごと突っ込んだせいで、ねっとねとになった手を、水道の水で洗う。ついでに、流水で指先を冷やしてやる。うん。やっぱり少しやけどした気がする。もう二度とそのまま炎天下の石を、直接触れない。本当にわかっていたハズなのになぁ。
十分に指先が冷えたのを確認したら、今度は、ピッチャーに水を汲む。これは庭にぶちまける分だ。冷たい水をなみなみと入れる。…もう一本用意しておくか。一本のピッチャーに、1.8Lなので、2本でで3.6Lになる。これだけ流せば、問題ないだろう。
部屋に戻ると、触手はそのまま窓の外を見つめていた。やはり、あの落ちているヤツが気になるようだ。私は、そのままそっと近づくと、裏庭にピッチャーの水をぶちまける。びちゃびちゃと音をたてながら焼けた玉砂利を濡らしていく。そのまま続けて、もう一本のピッチャーの水もぶちまける。…これで大丈夫だろう。
先ほど見つけた、なにかをつまみ上げる。見た目は小石だが、ピカピカと透明に透き通っている。水晶ほど透明ではないが、向こうが透けて見える。それと、大きさの割に若干重たい気がする。
部屋の机の上に置くと、「コトン」という音を立てる。自然の石にしては形がととのっている。これは一体なんだろうか。少なくとも自分がばらまいた玉砂利の中には、こんなものはなかったはずだ。それとは別にもってきた小石もあることにはあるが…。どうもそれらしいものには見えない。
となると、こいつは外からやってきたことになるが、裏の家との境界にはブロック塀が存在する。そうなると、この石はすくなくとも、ブロック塀の高さよりも高い位置が落ちてきたことになる。そうなると、屋根の上から落ちてきたってことになるんだが。…そういや、その触手もどうやってうちに来た?そう言われれば妙だ。触手が屋根から落ちてくることはあるまい。
まさか、裏庭で湧いたとかもあるまい。…無いよな?とりあえずこの謎の石の正体については、後でネットで調べてみるか。
一方で触手はというと、私がそれを拾ったら満足したのか、自分でクーラーボックスの中に戻ろうとして…していたが、数瞬、その場で立ち止まったあと、ピッチャーの方に方向転換していった。そして、空になったピッチャーに巻き付いて、体を左右に揺らしてアピールしている。こいつやっぱりなんか自由意志持ってないか?気のせいか?気のせいだろう。気のせいってことにしておこう。とりあえず…はいはい、水のおかわりですね?分かりましたよ…。まったく。
「わーたって。急かすなよ。」
私がピッチャーを掴むと、するすると、触手は絡んでいた体を解く。まるで「早く新しくて冷たい水を汲んで来い!」と言わんばかりである。触手にこき使われる飼い主なんて、たぶん歴史上、私が初めてだろう。
新しい水を汲んできて、クーラーボックスの中の水を入れ替えてやる。氷もお詫びで追加してやると、触手は、待ってましたとばかりに、自分からドボンと飛び込んだ。冷たい水がすこし跳ねる。
…さて。
絨毯になぁ。染み込んだ粘液がなぁ…。次は雑巾とバケツだ。念の為アルコールもかけておこう。そしたら…飯かな。
とれるんかね?この粘液。
別の作品もあります。よしなに。
愛用のクッションがどうもなにか変
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