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憧れの高校生活2

俺達は数学1の授業を受けている。

分かっていた事だが中学より結構難しくなっている。

今はちゃんとついていけてるからいいがついていけなくなったら終わりだ。

そんな事を考えながら授業を聞いていると雫から手紙が送られてくる。


【竜が授業中に起きてるなんてどうしたの?何か悪いものでも食べた?】


ただ真面目に受けてるだけで変な事扱いされるとかおかしくない?

ていうか俺、中3は真面目に受けてたんだけどな。


【変なもんは食べてない。俺を不真面目なやつ扱いはやめてくれ】


っと。

俺は書いた手紙を雫の席に投げる。

すると今度は後ろの誠華から手紙が渡される。


【お前ら気をつけておけよ。天郎先生は元チョーク投げ世界大会1位の実力でチョークだけで岩をも砕いたらしいからな】


チョークでどうやったら岩が砕けるんだ。

俺はこれも雫の席に投げることにした。

すると性懲(しょうこ)りも無く雫が投げてくる。


【元々不真面目なあんたが悪いんでしょ。私は急に竜が心を入れ替えてたから怖かっただけ】


急にって。

急じゃないだろ。

そうか、こいつ中3は俺とクラス違ったもんな。

いちいち休み時間になったら俺と誠華の所に来てたもんな。

友達いないのかよ。

すると雫からまた手紙が渡される。


【竜、ブーメラン刺さってるよ】


こいつ怖すぎだろ。

俺は頭に刺さったブーメランを取り雫に手紙を書く。


【授業に集中させてくれ】


これでよし。

俺は雫の机に手紙を投げ入れる。


「高野さん、授業中に異性と手紙のやりとりはいい度胸ですね」


あ、先生にバレました。

先生は俺と雫の頭目掛けてチョークを投げる。

雫は咄嗟に頭を下げたおかげで助かるが残ったもう一個も俺の方に飛んでくる。

俺はすぐに教科書を頭全体を守る様に持つ。

チョークが教科書に当たると勢いが殺しきれずそのまま頭に向かって進み続け


「いってぇ!」

「竜、ちょっと邪魔」

「そんな事言うなよ誠華」


頭にぶつかり誠華の席まで飛ばされる。


「これに()りたら手紙交換なんて辞めることですね」

「す、すみませんでした」


これ、軽く頭蓋骨にヒビが入ったんじゃないか?

天郎先生は何事もなく授業を進める。

頭がズンズンする。

そんな事がありつつ授業が終わりお昼休みが始まった。


「痛すぎだろ。これ」

「竜、大丈夫?」

「お前が避けなかったらもうちょっと大丈夫だった」

「私だって頭が痛いんだよ」


雫は頭を撫でながら話す。


「いやぁ。頭を下げてチョークを避けたのはいいんだけどそのまま机に頭をぶつけるとは思わなかったよ」


理由しょぼ。

俺なんてチョークで岩を砕くような人の攻撃を頭に直に受けたんだぞ。


「手紙交換なんて辞めることだな。お前達の体がもたないぞ」

「授業中は動けないから暇なんだよ」

「授業を受けろ。授業中の1番の暇つぶしは授業を聞くことだろ」


確かに。

俺は誠華の話を聞きながらお弁当を食べる。


「まぁ竜、お詫びにこれをあげるから許して」


雫は俺にお弁当のおかずを渡してくる。


「雫の手作りなら許してやろう」

「手作りに決まってるでしょ。両親は仕事で忙しいんだし」

「よしきた」

「いいなぁ竜」


これは絶対渡さないぞ。

雫のご飯は美味しいんだ。


「誠華にもあげるよしょうがないなぁ」

「キタコレ」

「俺の特別感が無くなるじゃん」


俺のお詫び品が頼んだら貰えるもの程度なのは困るんだよな。


「じゃあ私が雫になにかおかずを渡せばいいだろ」


誠華はそう言い雫に金持ちそうなおかずを渡す。


「これで許してやろう」


俺は雫のおかずをパクッと食べる。


「おいちぃ」

「良かったな」


やっぱ美味しいっすわ。

毎日食べたいぐらい。


「ていうかちょっと視線を感じる気がする」

「そりゃ私達みたいな美人でハーレムを築いてるからでしょ。視線を感じて当たり前」


自分の事を美人というかこの娘は。

ていうかなんで誠華もドヤってんだ。

俺にとってはお前らは普通程度だからな。


「ていうかこの視線は羨ましい物を見る目な気がする。お前の言った通りだった場合、嫉妬の目で見られるだけだと思うから違う」

「ハーレムだよ?羨ましいと思って当然」

「そうだ。両手に花状態なんだからもっと胸を張れ」

「この日本じゃ一夫多妻制はないからお前らの中から1人選んだら殺し合いが起きそうだな」

「竜をそこまでして取ろうとは思わないし自意識過剰じゃない?」


はいはい。

俺は自意識過剰でナルシストですよっと。


「まぁいいや。そういえば誠華って生徒会に入るんだよな。生徒演説とかどうするんだ?明日だろ?」

「まぁ父さんにどういうのがいいかを聞くことにするよ」


お前の父さん使うとかズルじゃん。


「ガチで狙うんだな」

「生徒会長になってアニメみたいな青春を謳歌するんだ」

「理由しょぼ」

「お前がこの学校を志望した理由と同じくらいだろ」


確かにそうだけどさ。

生徒会ってもっと責任感が伴うものだから中途半端な覚悟じゃダメだと思うんだよな。


「生徒会って現実じゃそこまで権力ないでしょ。アニメみたいには行かないと思うんだけど」

「だが青春はできる。多分だけど」


多分って言い始めたよ。

適当すぎだろ。


「じゃあ生徒会に入るのに必要なものは?」

「やる気、頭脳、あとはなんやかんやがあれば大丈夫」

「統率力もいるだろ」

「1年生なんだから書記か会計に決まってるだろ。生徒会長は2年生からだ」


そこは1年生からにしとけよ。

屋上解放してる癖にそこはアニメの世界似せてないのかよ。


「…あ、そうじゃん。俺がここに入った理由って屋上が開いてるからじゃん。やらかした」

「今から行くか?私はまだ食べ終わってないが」

「私も食べ終わってないよ」

「俺も食べ終わってないけどさ。お天道様の下でいただきますを言わなきゃ意味ないんだよなぁ」

「じゃあ明日でいいだろ。そんな事をいちいち気にすんな」


明日は絶対に忘れないぞ。

屋上でご飯を食べるのが何よりの夢だったんだ。


「屋上で食べる以外に高校生活でしたい事はないのか?」

「修学旅行で夜中のヒソヒソ話、なんか学校で1番可愛いって言われてる人と恋愛、聞いた事もないような部活に入る事、後はトラックに引かれて異世界転生」

「修学旅行は私達は多分部屋を別々にされるから無理、恋愛に関しては夢見んな、部活に関してはそんな部活はない、異世界転生は高校生活に全く関係ない」

「異議あり!」

「弁護人、どうぞ」

「修学旅行に関してはお前ら以外の友達を作ればいいだろ」

「異議あり!」

「検察官、どうぞ」

「お前、中学で私達以外に友達出来たことないだろ」

「異議あり!お前らがいるから別に必要なかった。ただそれだけだ」

「それは出来なかった言い訳だ!」

「裁判官って意外とする事ないんだね」


雫、それは流石に裁判官をなめすぎ。


「それでは異世界転生に関してだが主人公は大体高校生だ!つまり高校生活に含まれるということに他ならない!」

「異世界転生するなんてどんな高校生活なんだ?」


それはそうだけどさ。


「異世界転生したら竜がひとりぼっちになるだけだよ」

「…お前らを巻き込んで良いものとする」

「異世界が気になるからよしとしよう」

「あ、いいんだ」

「では、閉廷。カンカン!」


雫が裁判官の木槌みたいな物を叩いた効果音を口で言い話し合いが閉廷したようだ。

話し合いが閉廷ってなに?


「あ、そうだ雫。今日、証明写真撮っていかないか?まだだったろ?」

「履歴書もついでに買っちゃおっか」

「そうか、2人はバイトか」

「そうそう、豊臣金杉(かなすぎ)って言う人とその人の奥さんの豊臣愛有(あゆ)って人が運営してる焼肉店に応募するんだ」

「焼肉店か…まかない目当てじゃないよな」

「そ、そんなわけな、ないよね。ねぇ、竜」


雫、なに動揺してんだ。

本当の事を言えばいいだろ。


「当たり前さ。みんなの笑顔が僕にとっての給料さ」

「あ、まかない目当てなんだな」

「別にバイトだしいいだろ」

「まぁそれもそうだな」

「じゃあなんでまかない目当てはダメって雰囲気だしたの?」

「うーん、なんとなく?」

「誠華のお弁当からなんか取ろっと」

「またか?別にいいけど」

「いいんだ」


誠華のお弁当はいかにも金持ちそうなお弁当なんだけどな。


「よし、ごちそうさま」

「私もごちそうさま」

「ちょっと早くないか?」

「俺達はどっかの誰かと違って量が多くないからな」


誠華は俺達の2倍ぐらいある。


「運動してるから仕方ないだろ。ちょっと待ってろ早く食べ終わるから」

「喉つまらせんなよ」


俺と雫はお弁当をカバンの中に直しスマホを取り出す。


「じゃ、音ゲーして待っておくから早くしてね」

「今日はなんの曲で勝負するんだ?」

「最高難易度のアレで」

「いいであろう。クックックッ。目にもの見せてやる」

「お前ら、私を置いて面白うそうなことを始めるな!」


誠華はそう言うとすぐに食べ終わりお弁当をカバンの中に直しタブレットを取り出す。


「よし、やってやる」

「学校にタブレットは引くわ」

「誠華、流石にそれはちょっと…」

「酷い」


そんな事を思いながら音ゲーを起動する。

…俺が憧れてた高校生活ってこんなのだっけ?

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